電磁波に苦しむ人は保健所への相談を

服部知己さん(群馬県、電磁波研会員)

 3月に群馬県内の保健所長を退職される服部さんは、かねてから「電磁波による症状で悩む方は、お住まいの自治体の保健所に相談したほうがいい」とおっしゃっていました。そこで、服部さんに、保健所(または市町村保健センター)への相談について電磁波研会報へのご寄稿をお願いしました。
 原稿をいただいて以降、3月になって、服部さんが勤務する保健所へ電磁波過敏症についての相談電話があり、服部さんが対応されました。診療してくれる医療機関を知りたいようだったので県内の診療所を伝えました。服部さんが保健所の業務で電磁波過敏の相談を受けたのは、この時が初めてだそうです。

服部さんのおはからいにより、群馬県の保健所のウェブサイトには、電磁波過敏症についての案内が掲載されている(https://www.pref.gunma.jp/page/615589.html

 普通の家電製品を使うにも支障があるような自他ともに電磁波過敏症と認める人がいる。それほどでもなくても近くの携帯電話基地局やデジタル電力計、いわゆるスマートメーターから出る電磁波で体調不良がおきるようだと感じる人もいる。これらの人々は一般の医療機関で診療をしてもらおうとしてもほとんどの場合、専門外だとの理由で断られる。そのような電磁波に苦しむ患者(以下、単に患者と記す)に理解を示す医師は極めて少ないからである。診てくれる医療機関が見つからない場合、患者は保健所に相談してみるのもよいと思う。原因や治療法がわからない病気であっても相談にのるのは保健所の仕事だからである。
 もしも患者からの相談があると保健所職員は驚くだろう。これまでそのような相談を受けた保健所はほとんどないだろうから。しかし専門外だからと断るわけにはいかないから、勉強したり調べたりして何らかの助言などをしてくれるだろう。助言は電磁波を避ける方法にとどまらず、それぞれの患者が抱える生活上の支障を緩和する方法にも広げてもらえるかもしれない。適切な助言ができない場合でも患者に寄り添い、一緒に考えて行きましょうと励ましてくれるかもしれない。
 保健所に相談に行くことの効果は患者自身の利益にとどまらず保健所職員にもよい刺激となるだろう。メディアが電磁波問題に対して沈黙を貫き絶対に報道しない今日、保健所職員も患者に接するより他に患者の苦しみを知りようがないからだ。それまで使われることのなかった「電磁波過敏症」、「電磁波」、「高周波」「低周波」という言葉が職場で使われるようになるだろう。相談件数が増えれば行政に与える効果はそれだけではない。少ないとはいえ患者が一定数実在しそうだとなれば、都道府県あるいは国においても電磁波に関する健康相談件数などを調査し公表するようになるかもしれない。
 以上述べた理由で患者さんは遠慮しないで保健所に相談することを検討してほしいと思う。
 相談する際のアドバイスを一つ申し上げたい。それはどんな状況でどんな症状が起きるかをわかりやすい文書にして持参することだ。口頭での訴えを担当職員が正確に記録するのは難しいし大変だ。そのため上司への報告も不正確になるおそれがあるからである。

市町村保健センターも
 なお、健康相談に応じてくれる行政機関は保健所以外にも市町村保健センターがある。こちらにも保健師さんが配置されているので気軽に相談してよいと思う。
 最後に保健所や市町村保健センターに関する法的根拠である地域保健法を見ると、第6条では保健所業務がいくつか列挙されているが、最後に「その他地域住民の健康の保持及び増進に関する事項」とある。また第18条には市町村保健センターについて「市町村保健センターは、住民に対し、健康相談、保健指導及び健康診査その他地域保健に関し必要な事業を行うことを目的とする施設とする」とある。当然だが法的にも電磁波に関する健康相談を受けることは保健所や保健センターの業務と言える。

地域保健法より

第五条 保健所は、都道府県、(略)指定都市、(略)中核市、その他の政令で定める市又は特別区が、これを設置する。
第六条 保健所は、次に掲げる事項につき、企画、調整、指導及びこれらに必要な事業を行う。
 十一 治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病により長期に療養を必要とする者の保健に関する事項
 十四 その他地域住民の健康の保持及び増進に関する事項
第十八条 市町村は、市町村保健センターを設置することができる。
② 市町村保健センターは、住民に対し、健康相談、保健指導及び健康診査その他地域保健に関し必要な事業を行うことを目的とする施設とする。

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