高周波電磁波の安全性に関する動向 2014年のレビュー

 1年前の会報86号に「携帯電話電磁波の安全性に関する動向:2013年のレビュー」を掲載しました。今回は「2014年のレビュー」を掲載いたします。昨年と同様、「Electromagnetic Radiation Safety」というウェブサイトに掲載されたものです。このサイトは、カリフォルニア大学バークレイ校の公衆衛生部のモスコビッチ(Joel M. Moskowitz)博士が個人で運営しています。この記事は、米国を中心に、高周波電磁波について1年間に起きた重要なトピックをまとめたものであり、出典はこのウェブページからリンクされています。原文は「Wireless Radiation Safety in 2014: The Year in Review」【網代太郎・訳は網代及び市民科学研究室代表の上田昌文さん】


 今年発表された二つの大きな研究が、無線電話(携帯電話及びコードレスフォン)使用で脳腫瘍リスクが増加することを見いだしました。高周波電磁波に関するいくつかの重要な政策対応も、2014年に起こりました。
 フランスの研究者は、生涯で896時間以上の携帯電話使用で、脳腫瘍の約3倍の増加を見いだしました。スウェーデンの研究者は、1486時間以上の携帯電話の使用で脳腫瘍の2倍の増加を、そして25年以上の携帯電話とコードレス電話の使用で3倍のリスクを見いだしました。
 これらの研究は、2010年に発表された13カ国によるインターフォン調査で見いだされた携帯電話ヘビーユーザーの脳腫瘍リスク上昇に、証拠を付け加えるものです。世界保健機構(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は、2011年に高周波電磁波が「ヒトに発がん性があるかもしれない」と発表した際に、インターフォン研究とそれ以前のスウェーデンの研究者による研究を主な根拠にしました。
 スウェーデンの研究についてのロイターヘルスによるニュース・レポートは全世界のマスコミ報道を促進しました。260以上のニュース記事が50カ国で18の言語で発表されました。携帯電話電磁波の発がん性が世界的な関心事であることが証明されました。

昨年の重要な進展

  • 米国内務省は、連邦政府を時代遅れの基準を使用しているとして訴えました: 「連邦通信委員会(FCC)が使っている電磁波基準値は加熱作用を根拠にしたままであり、基準値は現在ほぼ30年時代遅れで、今日では不適当です」。連邦が保護している野生生物種を携帯タワーからの電磁波被曝による悪影響を及ぼす危険にさらしていることにより、基準値は連邦法に違反しています。
  • 98人の科学専門家が署名した四つの決議がFCCに提出され、高周波電磁波(特に携帯電話電磁波)についてより強い規則を発令することを政府に求めました。
  • ウォールストリート・ジャーナルは米国の携帯電話タワー(全部で約30000を数える)の10のうち一つが、法定制限を上回るマイクロ波を放射しており、したがって労働者の健康を危険にさらしていると報じました。そして、違反したことによる出頭をFCCが命じたのは1996年以降たった2件であると指摘しています。
  • アメリカ疾病対策センター(CDC)は携帯電話の使用について予防的な健康への警告を出す最初の連邦保健機関になりました; しかし、メディアがこの重要な政策変更を報じた後、CDCは後になってそのウェブサイトから警告を削除しました。
  • 高周波電磁波の影響を調査する18カ国54人の科学者は、政府に携帯電話、コードレス電話、Wi-Fii、放送アンテナ、スマートメーターと赤ちゃんモニターを含む無線装置から発されるマイクロ波への公衆の曝露を最小にするよう求める提言をカナダ保健省に提出しました。
  • SINTEF(ノルウェー産業科学技術研究所)はスカンジナビアで最も大きな独立した研究機関ですが、ヒトに発がんをもたらす可能性があると考えられている磁場を、ハイブリッド車や電気自動車から減らすための製造設計上のガイドラインを提案しました。
  • カリフォルニア州バークレー市議会は、携帯電話の体からの最小隔離距離に関する概要資料を消費者へ提供するよう小売業者に求めることになる「携帯電話 知る権利条例」を立案するよう市の法律顧問に指示しました。もし「CTIA(セルラー通信工業会)無線協会」が市を訴えるならば、この草分け的条例を弁護するとハーバード法学教授ローレンス・レッシグが申し出ました。
  • 29人の個人が自分たちの脳腫瘍に関して無線産業を訴えている裁判で、ワシントンDC上級裁判所は、原告側参考人の証言を認めました。この決定は裁判をディスカバリー(証拠開示手続)段階へ移行させることを可能にします。産業側は適切な文書を公表するよう要求されるでしょう。
  • ロサンゼルス統一学区は、電磁波過敏症(EHS)に苦しんでいる教師について、彼女の教室でWi-Fiをオフにさせるという彼女の要求と、将来Wi-Fiを設置していない別の学校へ異動させるという彼女の要求を認めることにより、彼女を公式に受け入れました。これは合衆国の公立学校組織による初めてのEHSの受け入れです。
  • ヒトの精子への携帯電話電磁波の影響についての研究の体系的レビューは、携帯電話への曝露が精子の質に悪影響を与え、一部の男性の不妊症の要因になるかもしれないことを見いだしました。

 2014年に出された二つの無線製品が異例のマスコミ報道を受けましたが、マスコミはこれらの製品を使うことによる潜在的健康リスクに言及しませんでした:

  • グーグルグラス(眼鏡)は、比吸収率(SAR。マイクロ波の吸収量の限度基準値)が多くの携帯電話よりもかなり高いです。携帯電話と異なり、眼鏡はユーザーの頭に装着されるので、特に懸念されます。
  • iPhone6は、たいていのスマートフォンのように、いくつかの伝送装置を持ち、同時にマイクロ波を出します。これらの送信機がオンにされると、この電話から発される電磁波はSARの法定制限値近くになります。なので、曝露を減らすため、使っていないすべての送信機(例えばWi-Fi)をオフにしなければなりません。アップルによれば、iPhone6はオンになっているときは常に少なくとも5mmまたは10分の2インチ体から離しておくべきです(すなわち、装置の最小隔離距離は5mmです)。

 「PRLog」(報道発表配信サイト)からこの年に配信されたもっとも人気の10の高周波電磁波についての報道発表と、Electromagnetic Radiation Safety ウェブサイトに掲載されたもっとも人気の10の記事を、以下に人気順にリストします。2014年に、報道発表は65000以上のページビューがありました。そして、このウェブサイトには100カ国以上の訪問客からの13万ページビューがありました。


最近24時間の訪問者上位記事

Copyright(c)電磁波問題市民研究会 All Rights Reserved.