スマートメーター交換顛末記

「聞いてないよ!」
 思わず、あのコメディアンの決めセリフが口から出てしまいました。なんと、知らない内に玄関の上を見上げるとスマートメーターに取り替えられていたのです。
 私の住んでいる辺りは、見かける家のメーターは多くがアナログで、スマートメーターを見かけることはあまり有りませんでした。それ故、まだうちは大丈夫と高を括っていたのですが、突然スマートメーターに替えられてしまったのです。周りを見ると、うちだけじゃなく、隣もその隣もスマートメーターに替えられてしまっていました。
 そこで郵便受けを見ると「7月6日(木)にスマートメーターに取り替えます」とのチラシが入っていたのです。7月6日は、朝早く出かけ、夜遅くに帰ってきたため、交換することは知らないままに勝手に交換されたようです。つまり、チラシを今日投函し、今日替えたのです。「お知らせしましたよ」と言うために交換直前にチラシを入れたり、留守だと分かると交換後にチラシを入れたりした可能性も考えられます。
 こんなだまし討ちは許されるものではない!
 怒りがおさまらず眠りにつこうと思ったが、頭が重くてなかなか寝付けないのです。昨日までこんなことはなかったので、これがスマートメーターの影響かと実感しました。これはスマートメーターのままでは体を壊すと痛感しました。

朝一で東京電力に抗議する
 翌、7月7日、金曜日の朝9時半にコールセンターに電話をかけました。
「スマートメーターに勝手に取り替えるのは非常識だ。こちらは合意していない」という旨を話しましたが、いずれスマートメーターに替えることになるなど、こちらの要望を聞こうとしません。
 そこで、自分は電磁波に過敏であることを付け加えて抗議を続けました。すると、診断書を持ってきたら、通信装置を外すこともできるなどと、提案してきました。一瞬、それでもよいかと思ったが、いやいや、ここで折れてはいけない、徹底抗戦することに決めました。
 そこで少し作戦を変えてみました。
 自分が了解している社会通念では、二者、ないしはそれ以上の関係者が何かことをはじめる場合は、お互いが合意の上に進めるのではないか。一方的な告知だけでことを進めるというのは、社会通念上ありえないし、非常識極まりない。いや、東京電力はそれが常識なのか。それはある種の暴力ではないかと詰め寄りました。
 すると担当者は、そういうつもりではないと。
 いや、こうして勝手にスマートメーターに替えられたことは、事実であり、そういうつもりでやったことは明らかだと再度抗議しました。
 さらに、そういうつもりがないのであれば、原状復帰するべきだとこちらは強く言いました。この住居の契約をしているのは、私と大家であり、東電よりまず、私と大家の二者の合意がないと、設備の変更はできないのではと聞きました。
 さらにさらに、スマートメーターに替えて健康被害がないのであれば、東京電力の社長、さらにここを管轄する支社長(あとで渋谷支社と判明)の名前と印で、健康の影響が出たら、慰謝料およびそれに関わるすべての責任を負い、補償するという主旨の書類を出してくれと要望しました。
 コールセンターの人は私には権限がないと言いつつ、上のものと相談しますと何度も待たされ、約30分原状復帰をいい続けました。
 すると、私では答えられないので、担当部署から電話すると、電話を切ろうとするのです。
 いや、そう言って電話がかかってきた試しがない。これでウヤムヤにするつもりなんですか? と続けて言うと、必ず電話すると繰り返しました。
 では、あなたの名前、その上の人の名前、そしてどの部署から電話があるか、そこの電話番号をすべて教えろと言いました。
 自分の名前と電話をかけてくる部署名は言いましたが、それ以外は明かしませんでした。そういういい加減なのでは信じられないと改めて主張し、絶対にかけてくるよう強く、強くいい電話を切りました。

原状復帰へ急展開
 次なる作戦を練りつつ、待っていると12時半頃、渋谷支社の女性から電話がありました。いきなり低姿勢で、「この度はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。すぐにアナログメーターに取り替えます」と。
 戦う気満々でしたが、余りにあっけないので、驚きましたが、いつ替えてくれるかを再確認しました。すると、今日取り替えると言い、それは間違いないのかと再度確認しました。これから業者に連絡を取り、少しおまたせするかもしれないが、今日取り替えるとのことです。
 本当に今日、取り替えてくれるのか!?
 日も陰りはじめ、やはり口だけかと次の作戦を考えていると、家のチャイムがなり、メーター交換に来ましたと、工事担当者が玄関で待っていました。
「元のメーターと交換しますね」と工事担当者は言いつつ、ものの5分ほどで交換を完了しました。
 工事担当者いわく、スマートメーターは携帯電話ほどの電磁波なので、問題ないと聞かされているそうです。
 いや、だからその携帯電話ほどの電磁波は高いんですよと、さらに、このようにスマートメーターからアナログメーターに戻すことや、スマートメーターへの交換を断る人はいますかとの問に、渋谷支社の場合は、時々拒否する人もいて、その場合は交換せずにアナログメーターのままにしておくとのことです。
 交換した時は夕方で暗かったので分からなかったのですが、次の日、改めてアナログメーターを見ると、なんとピカピカです! 製造年は1998年とありますが、本当はもっと使えるのに、交換したい年月に合わせたシール(今年11月)を貼ったような気もします。

交換後のアナログメーター

 こうして1日でスマートメーターからアナログメーターに戻すことができたのですが、今後はスマートメーター拒否のステッカーを貼り、アナログメーターをできるだけ維持したいと考えています。
 なぜ、こんなに簡単に交換が進んだかは不明ですが、いくつか推測してみます。 
1、よかったのは、初動の速さが考えられます。取り替えた直後ならアナログメーターがないとは言えないからです。
2、冷静に相手の非を突いたこと。感情的にならずに、論理的に話せば相手は自分たちが悪いことを認めざるを得ません。そこで、そのことを徹底的に突きアナログメーターに戻させるという手です。
3、話の内容を必ず録音すること。これは「言った、言わない」を避けることと、言質を取ることです。暴言を吐いて大変な目に会う人もいますからね。
4、最後は妥協しないことです。
 私の経験がどれくらい役に立つか分かりませんが、参考になればと思い、この顛末記を記しました。【鮎川哲也】

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