次世代スマートメーターWi-Fi搭載可能に 920MHz帯より電波強く

野村総合研究所「次世代スマートメーターの標準機能について」(「第7回次世代スマートメーター制度検討会」配付資料)2021年12月17日より

 現在のスマートメーターに代わって2025年度からの導入を目指している「次世代スマートメーター」の仕様などを検討している経済産業資源エネルギー庁(エネ庁)の検討会[1]は、次世代スマートメーターにWi-Fi(2.4GHz)通信機能を搭載できる仕様とすることを決めたと、ニュースサイト「日経クロステック」が1月7日に報じました。現行スマートメーターで利用している920MHz帯「Wi-SUN(ワイサン)」よりも電波が強くなるとみられ[2]、電磁波過敏症などの健康影響が増えることが懸念されます。
 スマートメーターの通信には、電力会社とデータをやりとりするための「Aルート」のほか、家庭内などと通信するための「Bルート」があります。Bルートを利用すると、その家庭の電力使用量を端末などに表示させて住人の節電意識を刺激したり、対応する家電と接続することで外出先などから家電を操作することなどが可能になるとされています。
 無線マルチホップの場合A、Bルートともに、同じ920MHz帯のWi-SUNで通信しています[2]。次世代スマートメーターでは、Aルートは920MHz帯のまま、Bルート用のほうをWi-Fiで通信させるという案が検討されていました。
 Wi-Fi導入の理由は、Bルートの利用促進です。三菱総研が第5回検討会に出した資料「次世代スマートメーター導入に向けた論点について」によると、2019年末までのスマートメーター導入台数6105万台に対するBルートの申込率はなんと、たったの0.06%です。そこで、家庭に普及しているWi-Fiをスマートメーターにも搭載すれば、利用を促進できるという考え方です。しかし、そもそも需要がないから普及しないのではないでしょうか。市民が必要としていない機能のために電波を増やす仕様にすることなど、到底容認できません。当会は、Wi-Fiを搭載しないよう、2021年5月に行ったエネ庁からのヒアリングの際、エネ庁の担当者へ伝えていました(会報第130号参照)。
 日経クロステックの報道によると、12月17日に開かれた第7回検討会でWi-Fi使用が決まったとのことです。第7回の議事録はまだエネ庁のウェブサイトで公開されていないので、エネ庁のGさん(電力・ガス事業部政策課電力産業・市場室長補佐)に確認したところ、報道の通りWi-Fi使用が決まったとのことでした。標準は現在と同じWi-SUNのみですが、需要家が希望すればWi-SUNとWi-Fiが使用できる通信部と交換するとのことです。

パブコメで反対意見を
 Wi-Fiについては、常に電波が出ている状態なのかとGさんに質問したところ「それは分かりませんが、家庭のWi-Fiは常に電波が出ていますからね。現在のWi-SUNも常に電波は出ていますし」との回答で、おそらく常に電波が出る状態になるものと思われます。
 まだ時期は未定ですが、いずれ検討会は報告書をまとめ、パブリックコメントを募集するはずです。その際には、Wi-Fi反対などの声を皆さんから上げましょう。
 なおこの報道によると、次世代スマートメーターの導入は2024年度の予定でしたが、スケジュールを精査した結果1年遅らせて2025年度からとしたそうです。2034年度までにすべてのメーターを次世代スマートメーターにすることを目指すとのことです。【網代太郎】

[1]「次世代スマートメーター制度検討会」
[2]関西電力の無線マルチホップ式スマートメーターのみ、AルートでWi-SUNでなくWi-Fi(2.4GHz)を利用している

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