質問・要望への回答 厚生労働省

基地局問題院内集会(2023年8月)

厚生労働省の担当者

1 基地局からの電磁波による症状を訴える声は貴省に届いていますか。どのような声が何人ぐらいから届いているか、お示しください。また、それらについて貴省は、どのように受け止めていますか。
 H難病対策課長補佐
 厚労省のHです。ご質問の件は、厚労省では把握しておりませんが、WHOで、いわゆる電磁波過敏症について、人により症状が多様であり、その症状を電磁界曝露と結び付ける科学的根拠はないとの見解を示していると認識しております。厚労省としても、症状と電波曝露の因果関係について確かな科学的根拠は現時点では確定されていないことから、別の症状に応じた適切な医療を受けていただくことが望ましいと思っております。
 大久保 国民生活センターへは、基地局についてかなり訴えられています。だから厚労省はその気になれば国民生活センターと連携して、どういう被害があるかはやればできるんです。総務省に気兼ねしてやっていないけど、厚労省の立場から取り組めば国民生活センターのデータはいっぱいあります。そういう新しい発想を持ってほしいんです。
 福島瑞穂議員 国民生活センターには、たくさん相談が寄せられているのであれば、それを取り寄せて分析するとか検討するっていうことを、厚生労働省としてはやってくださいませんか。
  そうしたことを消費者庁と連帯して調査しますといったことは、ここで答えるのは難しいです。
 福島 この場では難しいということですが、ぜひ持ち帰って検討していただきたいです。つまり被害の実相が総務省にも厚生労働省にも本当に伝わってないんじゃないかと、共有されていないのではないかと思います。私たちも国民生活センターにどのような相談がどれぐらい来ていて、年度がどうかとかいろんな中身についても聞いてみようと思います。実際、電磁波の被害をどれぐらいの人たちが思って訴えているのかというのは、一応、聞くべきじゃないですか。例えば基地局の周辺のことも含めて、どんな人たちがどのような形で言っているのかという実態調査は、厚生労働省は国民の健康の管理についての省でもあるので、ぜひ持ち帰って実態調査、最低でも、国民生活センターに寄せられているものを分析、検討してもらいたいんです。私たちは私たちで、国民生活センターにどのようなものが寄せられているかを直接、聞いてみようと思います。

2 海外及び国内で基地局あるいはそれ以外の電磁波発生源による健康問題に関する研究や情報を、貴省はどの程度把握していますか。
 H
 これまで電磁界による健康影響、生体影響についての多くの研究成果が報告されており、国際専門組織や各国の政府機関からこれらの研究を精査、再評価したレビューの雑誌が発行されていると認識しております。細かく見ても平成5年から、総務省から大学等で委託する研究体制によって、電波の安全性に関する研究が推進されていると承知しております。

3 電磁波問題は健康問題であるという認識を貴省はお持ちですか。
 H
 WHOで、電磁過敏症について、この症状を電磁界曝露と結び付ける科学的根拠はないと示しておりますが、ただその原因が何であれ影響を受けている人にとっては、日常生活に支障をきたす問題となり得るという見解を示していると、厚労省としても認識しております。

4 電波防護指針は熱作用を基に作られていますが、電磁波の非熱作用について貴省はどのようにお考えですか。
 H
 こちらも総務省と同じ立場で、電波に曝露された場合、刺激作用と熱作用といった科学的に確立されている作用が起こり得るということは分かっておると認識しております。またWHOでも組織に熱が発生するよりも低いレべルでの無線周波数の電磁界曝露による健康への悪影響について、研究により可能性のある証拠は示されていないとの見解を示しております。電波防護指針は在り方の検討に当たって、参照している国際ガイドラインの作成者である国際非電離放射線防護委員会でも、健康への悪影響を生じる可能性のあるもっとも低い曝露レベルでは、熱的なメカニズムによるものであるとの見解を示しております。そうしたことから、携帯電話の電波からの人体防護については、現行の電波防護指針を遵守することで、非熱作用があるとしても、それに対しても防護し得るものと認識しております。

5 電磁波の安全基準を、国民の健康を所管する官庁等が策定している国・地域はありますか。具体例でお示しください
 H
 申し訳ありません。こちらについては厚労省では把握していません。

6 日本では電波の利用促進を進めてきた旧郵政省を包含した総務省が高周波電磁波の安全基準を定めていますが、本来ならば健康の増進を所管する貴省が策定に関わるべきではありませんか。貴省の見解をお尋ねします。
 大久保
 電波利用を進めようとしている総務省が、安全基準を作るのはおかしいと思っています。本来、厚労省が率先して健康問題に入り込んで、安全基準を作る必要べきだと思います。だからそういう国があるかを聞いているんです。これをきっかけに調べてください。総務省のような電波利用をいっぱい増やそうとしている省庁が安全基準を作るのは自己矛盾ですよ。そう思いませんか、一職員として。
  総務省が作成している電波防護指針の策定のための構成委員が、厚労省からも委員が加わっておりますので、今後も総務省と連携していきたいと考えております。

7 WHO(世界保健機関)は低周波と高周波の電磁波について「環境保健基準」を公表していますが、世界的にみても、WHOと関わるのは厚労省であって、総務省が主管するのは筋違いと思いませんか。
 H
 こちらに関しても、総務省で現在、所管しておりますけれども、先ほどの電波防護指針でも厚労省からの構成員が入っていますように、連携していきたいと考えております。
 大久保 日本の場合は総務省だけど、健康問題に関係するならば、厚労省は関わるべきでしょう。建前よりもまず本音で聞きたいんですよ。

8 2003年4月発表のフランス国立応用科学研究所の「基地局周辺300m以内と301m以遠との影響比較調査」と同様の基地局の疫学調査を日本でも行ってください。
 H
 こちらにつきましても、総務省と……。

9 2003年9月発表のオランダ3省(経済、保健、通信)実施の「第三世代基地局影響調査」と同様の影響調査を、「4G・5G基地局影響調査」として日本でも総務省、厚生労働省、環境省の3省合同で行ってください。
 H
 こちらにつきましても、同様のこちらの研究のほうの細かい内容につきましては、先ほど総務省のほうから説明があったとおりなのですが、現時点で厚労省としても同様の調査を行うことは考えておりません。
 大久保 福島瑞穂議員が言われたけど、国民生活センターのデータを見ればすごい不満が出ること分かるんですよ。まずそこからですよ、アプローチは。それを踏まえて、総務省がしないのであれば、三つの省庁が合同して調査をし、実体を知っていく。そうした上、省に持ち帰って検討してみますという答えをしてもいいんですよ。

10 電磁波過敏症について貴省はどのようにお考えですか。WHOは「症状は確かにある」としています。因果関係が科学的に証明できていなくても、予防原則の観点から、電磁波の対策や規制をする国もあります。基地局、その他の電磁波の影響から健康被害を訴える人が増えているという状況を優先し、日本での実態解明のため、貴省として早急に調査に取り組んでください。
 H
 電磁波過敏症について、先ほどもお話ししたように、現時点でその症状を電磁界曝露と結び付ける科学的な根拠はないですが、それぞれの症状は確かに現実のものでありまして、その原因が何であれ、影響を受けている方々にとっては、日常生活に支障をきたす問題となり得ることを示していると認識しております。【まとめ・鮎川哲也】

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