健康と自然を守れる経済発展のあり方を

基地局問題院内集会(2023年8月)

石黒貴子さん(院内集会実行委員長)

石黒貴子さん(右)

 今年の夏は、とても「熱い」夏でした。「行政に聞いてみよう! 4G・5G携帯電話基地局は安全か」院内集会開催に際して、多くの貴重な出会いと経験をさせて頂くことが出来、その一つ一つは文字通り、とても熱いものでした。今回の院内集会は、携帯基地局設置に際してのあり方を問うものでしたが、身近に存在している高周波電磁波のリスクに対しても、同時に言及されるような会でもありました。
 私は集会声明案を読ませて頂きました。良質な研究成果や疫学調査が急がれること、現状では、どのような病院でも電磁波による健康被害について、適切に診察をしてもらえない事についての恐ろしさや、予防原則に基づいた対策の指針が、行政で検討されるべきであること、そのために、私たちの税金を、適切に使って頂きたいこと等、切実な思いを伝えさせて頂きました。
 5Gの出現により、携帯基地局が何百倍にも増えたぶんだけ、健康被害を受ける人も増えていると思われる中、電磁波による被害についての情報が少ない分、体調不良の原因が電磁波の影響とわからずにすごしている人も、まだまだ沢山いると思います。携帯基地局に限らず、Wi-Fiや端末等からの電磁波による健康被害があることを自覚している人にも、自覚がなく過ごしている人にも、適切な情報が広く周知されていく、その願いが込められた集会でした。
 今回の会でよかったと思うことは、この問題について、普段はそれぞれ全く違った経験、価値観を持った人たちが、ひとたび集まれば大きな力となりうる、という事をひしひしと感じる事が出来た事でした。実行委員会では、普段定例会等で顔を合わせている方々の、これまでに見えていなかった魅力を発見する事が出来たのも、最後までやり遂げていくためのモチベーションにつながり、何より、多くの言葉を交わさずとも、この問題がいかに根深く個々人の気持ちや生活を苦しめているか、社会から孤立させられ、時にはこれまでの人間関係すらも破綻させられてしまうか、
ということがすぐに分かり合える仲間、同志とも言えるような人たちが、全国にたくさんいるんだ、ということを感じる事ができました。
 長い間蓋をされ続けていたこの電磁波の健康問題について、一緒に考え、行動を起こすことができる人たちの存在は、私たちの今回の集会にとって、大きな力となったと思いますし、また、これ以上蓋をし続けていくことは難しいのかもしれない、という、各省庁に対するインパクトにも繋がったのではないかとも思いました。また、今回の集会のことを多くの人たちに知っていただく事で、そんなことがあったのか、と、これまで何気なく日常の中に溶け込んでいた電波利用についての接し方を改めていく人たちも増えていくかもしれない、との希望をよせました。
 一人一人が、電波利用のメリットと同時に、デメリットとなりうるリスクの側面をよく知り、予防原則に基づいた最低限の対策をするよう心がけるようになれば、今の通信産業のあり方や、事業形態そのものが大きく変革せざるを得ない状況となってくるのかもしれません。そうなると、
国の経済構造そのものに対する変革をも求めるような事にもなるのかもしれません。
 けれどもそれが、国民一人一人の健康を自然と守る事につながるのであれば、それ自体が本来あるべき成り立ちとして、企業や国が、別の発展のあり方を、それぞれの立場から模索し、改革していくことを、義務として果たしていかなければならないのは当然とも言えると思います。そんな世の中になることをまずは想像しながら、肝心なのは、この歩みをやめないことだと思いました。継続は力です。もっとたくさんの人たちが結束する事が出来るような場が生まれれば、自然と世の中は変わっていくはず。それを信じて、これからも、電磁波問題についてを真剣に考える「同志」とも思えるような方々と、様々な活動をご一緒させて頂きたいと思いました。

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