「携帯電話を考えなしで使うのは危険」と英国放射線防護局は警告

5年前の委員会報告は無視された
 英国放射線防護局(NRPB)の専門家たちの正式な報告書は、「大人も子供も携帯電話を考えなしで使うのは危険だ」と警告した。NRPBのトップであるウィリアム・スチュワート卿は、携帯電話は必要な用件の時だけ使うようにと、携帯電話の危険性を警告した。彼は5年前にも同様の勧告をした。しかし、その勧告はほとんど無視されたことを知っている。
 携帯会社が前回の勧告を無視して子供たちに携帯電話を使うよう勧めたこともあり、子供の携帯をもつ割合は5年前の2倍になっている。スチュワート自身は、自分の孫に携帯を使うのを禁止しているし、子供たちが携帯電話の使用に注意するように考えている。

なぜ子供にとって良くないのか
 専門家たちは「携帯電話リスクは不確実な段階だが、子供は神経組織が未発達だし頭の細胞へのエネルギー吸収率は大人より高く、電磁波を曝露される生涯期間は子供のほうが長いので、それだけ子供のほうが電磁波の影響を受けやすいと考えている。
 子供が携帯を使うべきか否かについて、英国内では大いに論争されている。英携帯会社『コムニーク8』は最近4歳から8歳の子供をターゲットにした「マイモ」という名の携帯電話を発表した。(訳注;NRPBの勧告後「マイモ」は発売中止された)。最近の調査によると、英国の小学生の4分の1が携帯を持ち、11歳から16歳の90%が携帯を持っているという。

ケータイ会社対NRPB
 米携帯会社モトローラはNRPBの勧告に挑戦的で、「子供にケータイは制限すべきだというが、そうした科学的根拠はなにもない。それはあくまで親の判断だ」とホームページで反論している。
 NRPBは、2004年10月に出たスウェーデン・カロリンスカ研究所のレポートを注目している。10年以上携帯を使うと聴神経腫瘍が増大すると示されたレポートだ。2004年12月にEUのREFLEX報告も出た。携帯がガンの原因になりうるという報告だ。
 今後も携帯の便益とリスクを巡る活発な論争が続くであろう。【抄訳・渡海伸】

原文:“Get off that mobile, expert tells children” 2005年1月9日 THE SUNDAY TIMES

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