スマートメーター交換後に料金が倍増

H.K.さん(会員、千葉県)

 自宅の電力量計をアナログメーターからスマートメーターへ交換された後、前年までと比べて電気料金が約2倍に跳ね上がったH.K.さんからメールをいただきました。ご本人の許可をいただき、編集のうえ、ご紹介いたします。H.K.さんは大学でコンピュータを、大学院で生理学を研究され「電気については専門家ではない」とおっしゃっていますが、電気にもお詳しいご様子です。H.K.さんのご報告からも、東電という会社の体質のどうしようもなさが、あらためて伝わってきます。
 海外でもスマートメーター後に料金が急増したという苦情についての報道があります。また、ご報告でも紹介されている通り、スマートメーターを含む電子式メーターで不正確なものが少なくともオランダの75万の家庭に設置されていると推定する論文をトゥウェンテ大学(オランダ)のフランク・レフェリンク(Frank Leferink)教授らが書いています(。


 現在私は、スマートメーターに交換後に電気代が約2倍になったことで、東京電力と交渉中です。 仕事の都合で私は2002年5月に他県から千葉県に引っ越してきました。この間、私は2004年に健康を害し、それから生活保護のお世話になっております。現在52歳で、一人暮らしです。

電気の使い方は変わっていない
 昨年12月後半に、私のアパートの部屋の郵便受けに「12/21(金)に電気メーターを交換します。不在でも工事するがよろしいですか?」という旨のビラが1枚入っていました。当時、スマートメーターを知らなかった私は、交換を許可し、東京電力に委託された業者によってスマートメーター(OSAKI A5WA-TA 4024-1 No.A18 X566838)に交換されました。その後に請求された金額(2019年1~5月分)が、例年(2017~2018年の平均)の同じ月の額の約2倍に跳ね上がりました。金額的には、冬場で1カ月に約1万円多いです。これは、到底容認できません。私の電気代(東京電力からの請求額)の推移については、表1をご覧ください。今年になってから合計41,451円も多く徴収されていることになります。生活保護費をいただいている者としては、正直、生活が立ちゆきません。
 まず私は、電気代が増えた原因を知るために、いくつか確認しました。
 (1)私が今年になって新しく買った電気製品はありません。また、既に持っている電気製品の使い方や時間を変えたこともありません。
 (2)テレビや新聞のニュースを見ての通り、今年の冬が特段に寒かったわけではありません。私の部屋でも、大出力でエアコン(暖房)を使う必要はありませんでした。私は、小さなサーキュレータを併用しているので、エアコンの設定温度も最高24℃で済みました。
 (3)私の部屋の漏電ブレーカーが落ちたこともありません。即ち漏電していません。
 つまり、今年の私の電気の使い方は、例年並みです。それで私は、3月16日の昼前に、東京電力のカスタマーセンターに電話し、「今年になって電気代の請求額がおかしいので、一度調べてください」とお願いしました。

図1 H.K.さん宅の電気料金(東京電力がネットを通して電気使用量や料金などの情報を提供するサービス「でんき家計簿」より)

表1 H.K.さん宅の電気料金(例年との比較)

東電社員が検査して「説明」
 社員が18日午後に私の自宅に検査に来ていただけることになりました。私はそのとき、東京電力の対応の早さに感謝さえしました。当日、東京電力からI氏という男性が私の自宅アパートにいらっしゃいました。私は彼から名刺をもらわなかったのですが、後でS氏(後述)に尋ねたところ、I氏は「千葉総支社京葉西地域技術サービスグループ」の社員とのことです。
 まずI氏は、今年の1月と2月の私の部屋の電気消費量を3時間ごとにグラフにしたものを見せました。そして「今はこうしたグラフを出せるので、あなたがどういう生活をしているかよく分かる」と仰いました。これは、プライバシーの侵害です。そもそも、時間ごとの電気量の値の推移をいくら見ても、電気代が今年になって急増した理由は分かりません。I氏は「スマートメーターは、30分おきに自動的にデータを送信している」と仰いましたが、私はそのデータが既に間違っていると考えています。グラフは、その間違った値を時間ごとに並べただけです。いずれにせよこのグラフは、今年になって私の部屋の電気代が約2倍になった原因について、説明力を持ちません。
 それから彼は「メーターのチェックをする」と仰い、私の目の前て一応「検査」らしき作業を始めました。私は、彼に見知らぬ測定機器(?)の結果(数字と記号の羅列)を見せられて、「ほら、誤差は無いでしょう? スマートメーターに異常は無い」と言われました。しかし、この説明で納得できるお客がいるとしたら、東京電力の社員だけでしょう。

「アナログメーターの誤差のせい」
 今年の請求が例年の約2倍になっている点を私がI氏にお聞きしたところ、彼は「昨年まで安かったのは、交換前のメーター(アナログメーター)の誤差のせいだ」と仰いました。そして彼は「今のスマートメーターは正常で、こちらが正しい値だ」と仰いました。
 例えば、全体の5%程度の変動なら「誤差」と言う場合もあるでしょう。しかし、全体が2倍になっていてそれを「誤差」と仰る神経が、私には分かりません。論外です。万に一つ、交換前のメーターに誤差があるなら、東京電力はそんないい加減なもので電気量を測り私らに請求していたのですか? もしそうなら、私は東京電力の誠意を疑わなければなりません。
 「過去の電気代が少ないのは、古いメーターの誤差のせいだ」と仰ったI氏は、さらに「だからと言って、過去の不足分を今から請求することはない」と仰いました。私でなく他の人だと、過去の不足分の支払いまでちらつかされたら、今回の問題(電気代急増)に関して沈黙し泣き寝入りするかもしれません。
 I氏が「アナログメーターの誤差」を言うなら、それを証明する定量的で具体的な証拠を提示してほしいです。それができない限り、過去の分は不足しておらず、ましてや過去の不足分の請求・支払いの問題は、始めから存在しません。
 I氏は「スマートメーターは正確だ」と仰い、スマートメーターのメリットばかりを並べ立てました。しかし、現段階でスマートメーター(と、それを運用するシステム)は、発展途上で未完成という感想を私は持っています。それなのにI氏の説明は、先に「スマートメーターは正確。現在の請求は正しい」という結論ありきで、当方の言うことを最初から聞いてないようです。それが彼の仕事なのでしょうが、問題は「公共」料金に関します。もしも、フェアで正確な情報交換ができないなら、そしてユーザーとの間に十分な信頼関係を築けないなら、東京電力は電力会社としての責任を問われかねないと思います。

例年より多い分の料金の返還を要求
 I氏の説明に納得できなかった私は、3月19日に、東京電力エナジーパートナー(株)宛てに手紙を書きました。その内容の前半は、私がここまで書いたこととほぼ同じです。手紙の最後で私は、次の3点を要望しました。
 (1)私が今年の1~2月分として支払った分のうち、例年の同じ月の額より多い分を速やかに返金してください。超過分を算定する上でより正確な情報を御社がお持ちなら、それに基づいて超過分を計算・返金してください。その情報が無いなら、例年の同じ月の値から推測するしかないでしょう。
 (2)御社が私に送付した今年3月分の請求書を無効とし、正しい値の請求書を改めて発行してください。
 (3)現在私の部屋のスマートメーターを、新品の別のものに交換してください。そうしなければ、今のメーターは今後も異常値(と私は考えています)を出し続けるでしょう。少なくとも、私は今のスマートメーターを信用できません。
 ちなみに、この手紙を私が書いたとき、最新の請求書は3月分でした(今は6月分の請求書が来ています)。
 すると3月22日に、東京電力パワーグリッド(株)京葉支社料金第二グループS氏より私に電話があり「来週に説明します」とのことでした。その後「連絡は、メールか郵便にしてほしい」という私の希望で、メールをやり取りさせていただきました(メールだと、後に記録として残るので)。
 まず3月26日のメールでS氏は、「H.K.様の要望にございます(1)2019年1、2月分の超過分の返金ならびに(2)3月分の請求書無効については、現在、取付されておりますスマートメーターの異常ならびに故障の有無を確認してからとし、まずは(3)現在のスマートメーターを取替し、第三者機関へ調査依頼したいと考えております」と仰いました。これについて私は、
 (1)「第三者機関」とはどこか?
 (2)どんな検査をするのか?
 (3)スマートメーターの document(取扱説明書・仕様書など)が欲しい、という内容の返事を出しました。
 電磁波研のウェブサイトに掲載されている「スマートメーターなど電子メーターが最大約7倍の誤測定 オランダの研究者が論文」の記事で紹介された論文(Leferink et al.,2016)によると、3相交流電力の使用量を測定するスマートメーターは、電圧が理想的な正弦波のように変わる厳密な電源(an ideal sinusoidal voltagefrom a four-quadrant power amplifier)を供給された場合でさえ、大きな誤表示が出ています。また、いくつかのスマートメーターでは、非線形で高速なスイッチングの負荷(non-linear,fast switching,load)につなげたとき、大きな誤差が出ました。電磁波同士の間に「干渉」(Electromagnetic Interference; EMI)が存在し、それがスマートメーターの誤表示の原因になっているというのが論文の主張です。(注1)
 つまり、少なくともこれらの条件をも検査する必要があるわけで、それで私は上記の3点に対する回答をS氏に求めました。
東電提案の検査は無意味
 これにS氏は、その後のメールの中で、
 (1)について、第三者機関として、日本電気計器検定所(経産省管轄)を予定している。
 (2)について、日本電気計器検定所のホームページを見てほしい。
 (3)について、取扱説明書・仕様書などは、ホームページで公開している以外は開示できない。
 とお答えになりました。こうした回答は、私もある程度は予想していました。しかし日本電気計器検定所のホームページは簡略過ぎて、専門的なことは分かりません。これでは、正確な議論ができません。私には、東京電力と検査機関の意見を鵜呑みにするしか無いからです。
 しかも、日本電気計器検定所のホームページに、「電気メーター1個の試験時間は約48分」とあったので、私は心配になりました。先の論文(Leferink et al.,2016)の著者たちは、スマートメーターの動作が時間的に変動するので、最低24時間、中には48時間以上の計測をしています。日本電気計器検定所が「48分」で電磁干渉(もしスマートメーターの誤計測・誤表示の原因がこれなら)を検出するのは無理でしょう。そんな検定所の試験は無意味です。
 私は、この辺りのことをS氏にわかっていただきたかったのです。ところがS氏は、4月5日のメールの中で「日本国内においては、取引・証明に使用される計量器(特定計量器)は、特定計量器検定検査規則で規定される30項目以上の構造に関する試験と器差試験の基準を満たすことを、公的な機関である日本電気計器検定所が試験し確認しております(型式承認制度)。」と日本電気計器検定所のホームページから引用しました。しかし項目数は重要ではありません。今回のトラブルの原因を検出するのに妥当な試験を正確にそれも十分な時間をかけ反復して行えるかどうか、それが重要です。
 日本電気計器検定所で、出荷前のすべてのスマートメーターを詳しく調べるわけではありません。まず、メーターの製造者が、「代表」となるメーターを検定所に申請して、30以上の項目について検査を受けます。これに合格すると、その「型式」(設計)が承認されます。これと同じ設計で作った個々のメーターは、「48分間」の簡易検査(器差検査)を得て、合格した物が市場に出荷されます。つまり、各世帯に実際に取りつけられているスマートメーターは、簡易的な検査のみをクリアしたものです。
 また、先の論文では、実験で誤表示を起こしたスマートメーターのすべてが国(オランダ)の基準を満たしています。これは極めて重大な事実で、スマートメーターは、国の基準を満たしても誤表示・誤計測を起こしているわけです。即ち、国の基準がまだ技術に追いついていません。実際、欧米では、スマートメーター関係の基準が何度も改訂されています。
 同じメールの中でS氏は、さらに「弊社で使用しているスマートメーターにおいても日本電気計器検定所で型式承認を得たうえで、検定を合格した計量器を使用していることから、ご使用いただいた電気の使用量については正しく計量されているものと考えております」と仰いました。これには私も失望しました。これだけはっきりとした異常値が5カ月も連続で出て、海外ではその原因について研究の成果が上がっているのにです。いい加減にしていただきたいと私は思いました。この時点で私は、S氏との交渉を一旦終了しました。なおS氏は、私が報告したI氏の対応についても、スマートメーターの電磁干渉についても、一切コメントしていません。

家電がスマートメーターに電磁干渉
 スマートメーターに交換してから請求金額が急増した原因は、次の3つのいずれかではないかと、現在私は考えています。(a)スマートメーターの個体差(初期不良)、(b) このタイプのスマートメーターの設計上の不具合、(c)この2つと私の電気製品を使っている環境が「たまたま」ぶつかった。
 (a)スマートメーターに個体差が多いのは、既に日本経済新聞(電子版:2014年10月28日)などで報じられた通りです。一般的に、新しい技術は初期トラブルが多く、それはデジタル技術であっても同じです。国の基準を満たしても、非常に小さい確率で初期不良はあり得ます。個体差による初期不良なら、正常な製品に交換するだけでよく、このスマートメーターが採用している原理・設計自体に深刻な問題はありません。
 (b)先の論文は、現在のスマートメーター(ヨーロッパで手に入るもの)のいくつかが、非線形もしくは高速なスイッチングを含む負荷につないだとき、表示誤差が大きいと報告しています。ご存知と思いますが、最近(特に2000年以降)に作られた電気製品には、高周波数・低電圧・大電流を必要とするものが多いです。しかもその一方で、省エネが求められてきました。そこで特に現在の、LED照明・蛍光ランプ(調光できるもの)、デジタルテレビ、ブルーレイレコーダー、パソコン、携帯電話・スマートフォン、エアコン、冷蔵庫、電子レンジなどは、インバーター(Inverter,直流や交流を周波数の異なる交流に変換する装置)や、DC-DCコンバーター(デコデコ。直流を直流に変換する装置。電圧を変えたり安定化させる)を用いたスイッチング電源を含むようになりました。これらはいずれも、強いノイズ(Conducted Emission,Radiated Emission)を発します(鈴木,1996; 鈴木,2015)。こうした負荷に対してスマートメーターは、電磁干渉を受けない、電磁感受性(Electromagnetic Susceptibility;Immunity)の改善された設計であるべきです。このように、電気製品が外部にノイズを出さず、かつ、外部からのノイズの影響を受けない性質(性能)のことを「電磁両立性」(Electromagnatic Compatibility;EMC)と呼びます。この問題は古く(百年前)からありますが、近年になって特に重要となり、急速に研究者が増えている分野です。現在、この問題だけを扱う専門雑誌が、国内外で複数あります。
 したがって、高い電磁両立性を実現するための十二分に「余裕のある」設計が必要です。具体的には、スマートメーター内のA-Dコンバータ―の前に十分な性能のローパスフィルターを入れることから始まり、高性能の電流センサ(電流を直接正確に測定することはできないので、ここを安価な部品で済ませようとすると大変なことになる)を用いるとか、やるべきことは多くあるはずです(Leferink et al.,2016)。しかし私の見る限り、スマートメーターでは、まだその技術が十分に確立・蓄積されてないようです。また、安いスマートメーターでは、本体の消費電力を下げるためにサンプリング周波数を下げる機種さえあると聞きます。これにnoisyな信号が入力されると、非常に深刻な結果を生みます。さらに、ラジオ波のみがノイズとしてスマートメーターを誤作動させている場合、電圧・電流センサと信号処理部(加算部・乗算部)の間のケーブルにフェライトコアを巻くだけでも効果があるようです(Have et al.,2018)。
「スマートグリッド」構想を推進する経産省が管轄している日本電気計器検定所が、このスマートメーターの設計上の不具合を素直に認めるとは私は思えません。巧妙にもみ消される可能性すらあります(最悪なのは、検査で異常無しで、そのまま廃棄処分とか)。ただこの場合、同じ設計の製品はすべて潜在的な異常の可能性を持ち、このことが明らかになれば、東京電力もメーターの製造者も深刻な問題を抱えることになります。

自宅家電の消費電力量を試算
 (c)先に述べた(a),(b)および私の電気製品の使用条件が複合してエラーが出ている可能性もあります。それぞれ一つだけでは問題が無く試験も合格するのに、3者を組み合わせると初めて異常が出るわけです。もちろんこれを第三者機関で試験しても異常を検知(再現)できないでしょう。この場合、メーターの誤計測・誤表示の一因として、私の部屋の電気製品の内容と使用状況も問題になります。そこで次に私は、自分の住居(賃貸)にあるすべての電気製品の消費電力(定格・実測)を個々に調べました。製品に書いてある数値や、取扱説明書の数値(カタログ値)を参考にしました。私が取扱説明書を紛失した製品については、ネットでダウンロードして参考にしました。さらに、可能な限り、ワットモニター(ワットチェッカー)で実際に製品の消費電力を測定しました。なお測定に使用したワットモニターは、「サンワサプライTAP-TST8N」(測定限界は最小0.3W)です。このワットモニターで見た限り、私の部屋の電気製品には、接触不良・絶縁不良(ショート)などの異常はありませんでした。電気製品はすべて正常に動作していました。(注2)
 調べたデータをもとに今年2月分(最も請求額が大きかった)の私の電気使用量を計算しました(表2)。「使用時間」はすべて1日毎に換算し、単位は時間/日です。「消費電力」の単位はW(ワット)です。「消費電力量」はそれぞれ1ヵ月毎に換算し、単位はkW時/月です。消費電力量は、(消費電力(動作時)×使用時間+消費電力(待機時)×待機時間)×28÷1000で求めました(28は、2月の日数)。上記の計算をすると、今年2月分の私の使用電力量の合計は362.1kW時です。これを、一律「1kW時=30円」として計算すると 電気代は10,862円となります。東京電力のサイトに使用電力量を入力すると電気代を計算するサービスがあるので、これを利用すると10,601円と出ます。この値は、例年(2017~2018年)の2月の電気代とほとんど同じです。にもかかわらず私が今年請求されたのは、688kW時、21,259円でした。例年の約2倍です。他の月(1、3~5月)でも同様の結果です。ここまで一貫した規則性があって、今まで例外がありません。どう考えても、今年になってからの毎月の請求額が異常です(今年6月分のみ、例年の2倍よりは少ないです)。

表2 H.K.さん宅の電気使用量、電気代の試算

市役所に相談
 今年になってから、(私の計算では)4万円以上余計に東京電力に電気代を徴収されています。緊急の出費のために少しずつ日々お金を貯めており、当初それで高い電気代を支払いました。しかしこれも底を尽き、5月からは食費を削るしかありません。さすがに限界なので、私は市役所の生活支援課(生活保護を担当する課)に出向き、担当のケースワーカーさんに初めて事情を訴えました。ワーカーさんは、今年4月から新しく私を担当するOさん(生活支援課に来て3年の若い女性)でした。当初、彼女もこうした案件を扱ったことが無いと、対処に困ってらっしゃいました。彼女は私に、市の消費生活センターに行くよう提案されました。そういうものかと私が市の消費生活センターに行くと、相談員と所長さん(彼女は、前に市役所の生活支援課にいらしたそうです)が熱心に話を聞いてくださいました。しかしその結果、「消費生活センターはあなたを手伝うが、そもそもこれは本来市役所の生活支援課の仕事です。我々は市役所と共同で事に当たりたい」と言われました。それで私が市役所に戻ると、ワーカーのOさんが「自分は詳しくないし、権限も無い」とお困りになり、……お役所ってこんなもんですな。いや、仕事熱心で優秀なワーカーさんはたくさんいらっしゃいます(念のため)。ただ、生活保護の受給者は、自分を担当するワーカーさんを選べません。最終的にOさんが東京電力に電話を一本して、私の電気代トラブルの件を伝え、担当部署の方から私に電話するよう促しました。すると、その日の夕方、自宅に戻った私に、東京電力のS氏(前述)から電話がかかってきました。そういうわけで、S氏との交渉が再開されました。

うるさい客にはプレッシャー?
 今度の交渉で私は、表1や表2のデータなどをS氏にお送りいたしました。彼はしばらく反応しませんでした。待ちくたびれた頃に、私の「電気ご使用量について、前回検針日の5月13日から6月3日までの1時間ごとのグラフを作成し後日郵送させていただきたいと思いますので、ご確認をよろしくお願い申し上げます」とメールが来ました。私は「それは無意味です。春に御社のI氏が「検査」にいらしたときも、まず3時間ごとのデータを1カ月分ほど見せてくれました」と断りました。東京電力の「顧客対応マニュアル」には、「うるさい客には、まず細かいグラフ(データ)を見せて圧倒しろ」とでも書いてあるのでしょうか?
 すると今度は、S氏から私の電気消費について「※5/13 0時指針2353.27 6/4 0時指針2498.86 145.59kWhの使用量を算出しています。また、本日17時44分現在4A(400W)の電気が流れています」と実況中継するメールが来ました。これは、プライバシーの侵害をわざとやってますね。「こちらからはお前の生活が丸見えだぞ」とプレッシャーをかけたいのでしょう。S氏は、自分を「京葉支社料金第二グループ」の「チームリーダー」だと仰いましたが、こんな幼稚なことを平気でなさいます。彼は「データにはデータを」と考えたのかもしれません。しかしスマートメーターの問題点として、プライバシーの侵害と監視ツールになり得る危険がよく挙げられますよね。S氏のやることは、I氏のやったこととほぼ一緒です。東京電力の「顧客対応マニュアル」には「それでも文句を言う客には、どんどんプライバシーを暴いて怖がらせろ」と書いてあるのでしょうか? 一番やってはいけないことを彼らはやっているのに、自分では気づかないのでしょうか?

アパートの管理会社に相談
 私のアパートの管理会社とのやり取りも書いておきます。消費生活センターの相談員の方は、「管理会社に連絡して、他の部屋でも電気代に異常が無いか調べてもらってはどうか」と仰いました。それを受けて、まず市役所生活支援課のOさんが管理会社に電話しましたが、「成果は無かった」と私に仰いました。
 それで私は管理会社のいつもの担当の方にメールで面会の約束をいただいて、直接出向きました。ところが、私が管理会社に行くと、営業本部長のY氏が出てきて、「担当の者は、別件が長引いて来られない。自分が代わりに応対する」と仰って名刺をくださいました。さらに彼の横にもう一人、応援役(多分、平社員)がいて、二人がかりで私と向かいました。早速私は、「スマートメーターがトラブル続きなのは、ご存知ですよね?」と言って、それまでに調べた資料(特にスマートメーターの発火など)を出そうとすると、Y氏は、「スマートメーターは、東京電力の所有物だ。だからうちは一切、関知しない。ノーコメントだ。うちにその話を持ってくるな」と仰いました。それに合わせて横の応援役が一々頷いたり、私の発言に忙しく茶々を入れました。特に、大の男が二人で声を揃えて「ノーコメント!」と叫ぶ辺りは、マンガを見ているようでした。「営業本部長」ともあろう方が、私一人を相手に応援が必要だとは情けないです。
 その後、Y氏は、「うちと東京電力は、もちつもたれつの関係だ。だからうちは、東京電力とケンカできない。最悪の場合、電気を停められる」と仰いました。私が「御社の物件が、スマートメーターのせいで火事になってもいいんですか?」と聞くと、Y氏は「それはうちも困る」と仰いました。また彼は「この問題は難しい」と仰り、「それでも文句があるなら、部屋を出て行ってもらう」と私の退居の可能性さえちらつかせました。そういうわけで、私と管理会社との交渉は何の成果もありませんでした。

アナログメーターへの交換を要求
 私は現在、東京電力に、(1)スマートメーターをアナログメーターに戻すこと、(2)超過した徴収分を返金すること、の2点を求めております。しかし私と東京電力の交渉は平行線を辿るばかりです。
 (1)についてのS氏からの新しい回答は、以下の通りです:「スマートメーターからアナログメーターに戻している件について、千葉エリア内では、取替してない事を確認しておりますが、他支社について本社へ確認しております」(6月4日のメール)、「スマートメーターからアナログメーターに戻している件について現在、アナログメーターへ戻すことは、行っておりませんが過去分について本社へ確認しております」(6月28日のメール)
 (2)についてS氏は当初、私の部屋のスマートメーターを日本電気計器検定所で検査してからと仰っていました。しかし私が日本電気計器検定所への不信感(経産省の管轄だから)を示すと、今度は「弊社、技術サービスグループの作業員2名による検査」に切り替えました。私が詳しく問い合わせると、ここは3月18日に検査にいらしたI氏のいる部署でした。また、検査の内容も、I氏のときと大体同じらしく、これではあまり意味がありません。そのS氏からのメールは以下の通りです:「お取付けさせて頂いているスマートメーター(計量器)ならびに電線の接続に問題が無いか確認をさせて頂きます。その後、スマートメーターが正常に計量できているか動作確認装置を使用して動作確認を行います。その際に、動作確認には一定の負荷電流が必要となる為、照明や電化製品を使用もしくは停止させて頂く場合がございます。続いて同様の装置を使用して24時間程度使用量の計測を行い、実際の使用量確認をさせて頂きます。(略)3月18日に実施した検査との違いについてスマートメーターの動作確認は同様ですが、使用量の計測が前回と異なる確認になります」(6月12日のメール)、「2019年1月分以降、使用電力量が昨年より増えている事は確認しておりますので今回の検査にて、スマートメーターならびに電線の接続に問題が無いか確認をさせていただきたいと思います」(6月28日のメール)。
 S氏は検査の日時を指定してほしいと何度も熱心に仰っています。検査には、私が立ち会う必要があるらしいです。しかし私は、その要求に今のところ応じておりません。私がこの検査にあまり魅力を感じないからです。I氏のときのように、また「異常無し」だったら、これまでの努力や苦労が全部無駄になるようで……。単純に考えても、同じ部署が(ほぼ)同じ検査をしても、結果が変わるとは思えません。そういうわけで、現在、私と東京電力の交渉はこの段階で膠着状態になっています。

体重が10kg減る
 私は東京電力の社長に内容証明で訴えを送ることも考えました。しかし、今の私の経済的状況でそれを何度もくり返すのは無理です。連日の不毛なストレスと食費削減のためか、現在は、去年の12月より10kgほど体重が減りました。せめてもの救いは、私がネットでスマートメーターのトラブルについてネットで調査する過程で「電磁波問題市民研究会」の存在を知ったことです。特に、活動の初期の方たちの涙ぐましいほどのご努力とご苦労には、ひたすら頭が下がるばかりです。中でも私は、網代太郎さまの書かれた「スマートメーターなど電子メーターが最大約7倍の誤測定オランダの研究者が論文」という記事に強い興味を覚えました。私は、ここで紹介されている論文を入手して読み、これを手掛かりに10本程度の関連論文を探して読みました。さらに、網代さまの貴重な労作『スマートメーターの何が問題か』(緑風出版,2016年)も、図書館で借りて読まさせていただきました。その結果私は、「電磁波問題市民研究会」への入会を決意し、今この原稿を書いております。私は現在「電磁波過敏症」の症状を自覚してませんし、一方で生活保護という特殊な事情を抱えております。そのため、私の体験の報告がどの程度、電磁波問題市民研究会の皆様のお役に立てるか分かりません。しかし、広い意味で私も現在のスマートメーターに苦しんでおり、その私にできる限りの情報提供をさせていただきたく思います。
 
参考文献
Have,Bas ten et al.“Monitoring of Power Measured by Static Energy Meters for Observing EMI Issues”Proc.of the 2018 International Symposium on Electromagnetic Compatibility (EMC Europe 2018),2018,p.903-907.
Leferink,Frank et al.“Static Energy Meter Errors Caused by Conducted Electromagnetic Interference”IEEE Electromagnetic Compatibility Magazine,2016,Volume 5,Quarter 4,p.49-55.
鈴木茂夫.EMCと基礎技術.工学図書,1996年,131p.
鈴木茂夫.ノイズ対策は基本式を理解すれば必ずできる!.日刊工業新聞社,2015年,222p.

注1:”Electromagnetic Interference”の日本語訳は複数あり、例えば、網代さまの記事では「電磁妨害」、『世界大百科事典(改訂新版)』(平凡社,2007 年)とWikipediaでは「電波障害」です。しかし私のメールでは、便宜上、直訳的な「電磁干渉」に統一いたします。

注2:私が調べた電気製品には、消費電力の単位がW(ワット)でなくVAと表記されている物もありました。直流回路だと消費電力(W)=電圧(V)×電流(A)と定義され簡単です。しかし交流回路では、電圧と電流の位相差θを考慮して、消費電力(厳密には有効電力)(P)=電圧(V)×電流(A)×力率(cosθ)と定義されます(ただし、電圧も電流も実効値を使います)。ここでθ=0°のときcosθ=1で消費電力は最大となり、θ=90°のときcosθ=0で消費電力は0となります。そこで、この種の電気製品の消費電力(厳密には有効電力)を正確に計算するには力率(cosθ)の値が必要ですが、取り扱い説明書にはまず書かれていません。よって私は、ワットモニターによる実測値か、さもなければcosθ=1と多めに仮定して数値を決めました。そのため、実際の消費電力は、私の試算よりさらに少ない可能性があります。

 

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