これ以上の電波はいらないし、5Gは必要ない 忍び寄る5Gの危機

 最近少しずつ耳にするようになった5G。電波監理を行う総務省や携帯電話各社は5Gが普及することによるバラ色の未来を描くが、そのシナリオは思い通りに進むのだろうか。そして、私たちを幸せにするのだろうか。
 今後起こりうる問題などをあげ、5Gについて考えてみたい。
 まず、そもそも5Gは必要なのだろうか。5Gの大きな特徴は「高速・大容量化」「端末接続数」「低遅延・超高信頼性」だという。それにより、よく言われているIoT(Internet of Things)がより加速するとされている。つまりはあらゆるものがインターネットつながり、さまざまなものが情報交換を仕合い、制御していくというものだ。例えば、遠隔地から機械が操作できるなどだ。
 auのホームページによると、スポーツ観戦の際、手元の端末などでスポーツの映像などが高精細な画像できれいに見えたり、いろいろな視点や角度から観戦できたりするという。また、何かの行動をする場合、行き先の混雑状況や交通状況などのデータを統合して、究極の行動の効率化ができるそうだ。
 また、具体的な実証実験では5Gの持つ特長の一つ高速・大容量送受信と低遅延で危険な工事現場などで活用できるよう、遠隔操作で重機をコントロールできるというものだ。
 ソフトバンクでは最初の1台が有人運転をし、それに続く2台も5Gでつなぎ無人でコントロールして3台縦列走行が可能になったという実証実験が行われた。
 まだ各社は5Gに関しての実証実験を行ったり、計画したりしている。これらの情報を一見すると、着実に進んでいるかのように思える。
実験通り、うまくいくとは限らない
 しかし、実験はさまざま条件を整えて行われているので、これで成功、問題なしとはいえない。すでに世の中にはさまざまな電波が溢れ飛び交っている。また、突然停電になるなど別の条件がでて、シナリオ通りに行かないことは十分考えられる。
 遠隔操作で重機をコントロールしている最中に、電磁障害で暴走する可能性もゼロではない。人が操縦室にいる場合は、暴走しても制御できるが、そうでないとかなり危険な事態にもなりかねない。
 あるテレビのドラマで東京の病院にいる患者をニューヨークのカリスマとされる医師がモニターを見ながら遠隔操作で手術をするというシーンがあった。しかし、手術の真っ只中、カメラに血が飛び散りニューヨークではモニターが見えなくなった。血を取り除こうにも体の深い場所でそれができない。さらにかなり高度な手術のため、そのカリスマ医師以外誰も手術ができない。そこを東京の現場にいた医師が窮地を救うというストーリーであった。これはあながちテレビだけの話ではないように思える。
 ただ、現在開発されているのは手術支援ロボットで、患者の脇に助手の医師と看護師がついて補助を行うというもので、単独でということはなさそうである。

4GやWiFiでも十分
 しかし、この遠隔操作の機器は導入にかかる費用も維持費も非常に高価である。この分野で開発がすでに進んでいるので、5Gである必要があるのか不明である。
 これに限らず、5Gにするまでもなく、筆者は4GやWiFiなどでも十分のような気がする。例えば、映画はダウンロードするまでもなくストリーミングで見られるし、スタジアムでは目の前のプレーに見入っているので端末のモニターなど見る暇はない。情報がたくさん、瞬時に受け取らことができるといっても、もうこれ以上は必要ない。
 かつてテレビが地上波にプラスして衛星放送(BS)が始まり、さらにCSも加わり、多チャンネル化した。確かに見る選択肢は増えたが、見たい番組がないという声も聞く。いくらハードやインフラを整えたところで、何のために使うかの目的をはっきりしないと意味がないと考えられる。

米の消防士が5Gで健康影響
 一番 懸念されるのは、やはり電磁波に関してである。すでに5Gが導入されているところでは影響が出始めている。その一つがアメリカ・カリフォルニア州のサクラメント市だ。ここでは、消防署の外に5Gのアンテナが設置されると、消防士たちが頭痛や不眠だけでなく、記憶障害と意識障害を訴えるようになったという[1]。
 5Gアンテナと消防士の健康影響についての因果関係については、5Gのアンテナがない消防署へ勤務地が変わると、その症状が治まったことからも、健康影響は5Gアンテナである可能性は高いといえる。
 5Gアンテナの設置に関して、当時サクラメントは先行してサービスが開始されており、他の場所にはまだアンテナが設置しておらず、いわゆる逃げ場があったからよいが、10月1日からサクラメントは、ヒューストン、インディアナポリス、ロサンジェルスなどとともにベライゾン社が家庭向けの5Gサービスを開始したので、今後何らかの影響が表面化することが危惧される。

オランダで野鳥300羽が死亡

 また、オランダ・ハーグでは5Gの実験中に鳥が突然死亡する“事件”があった[2]。死んだ鳥の総数297匹のうち、150匹以上が突然死をしたという。それも木からバタバタと落ちて死んでしまったのだ。この際使用されたのは7.40GHzとうい周波数の電磁波で、鳥が死んだ場所から約400m離れたところにアンテナが設置されていたことがわかった。
 死んだ鳥の調査は進められているが、何らかの中毒になった可能性も否定できないが、鳥たちは病気にも見えないし、衰弱もしていなかったという。調査を進めたところ、内出血もないし、毒物の痕跡もないとのことだ。

追記:野鳥の大量死があった時に、この地区には5Gのテストアンテナは稼働していなかったとの報道もあり、5Gが原因ではない可能性があります。こちらを参照してください

 それより以前、オランダのフローニンゲンのロッパースムでは、5Gのテストをすると、突然牛の群れがバラバラになったという奇妙な出来事も起こっている。

窓ガラスが基地局に

AGCとNTTドコモが開発したガラスアンテナ(NTTドコモのウェブサイトより)

 このように5Gによって、ヒトや動物など生物に何らかの影響が出ているのは確かなようだ。
 5Gの電波は直進性が強く、ビルなど遮るものがあると、その場所には電波が届きにくい特性がある。そのため4Gの基地局よりはるかに多くの基地局が必要になる。
 基地局を増やすためともいえる技術の一つがAGC(旭硝子株式会社より社名変更)が開発したガラスアンテナである[3]。これは既存のLTEネットワークのための基地局で2019年より導入されていくようだ。AGCのホームページによると「景観を損なわない」とあるが、これは目立たないためどこにアンテナがあるか分からないことも意味する。こんなのがそこら中に貼られていくと、今以上に電波だらけになり、逃れることができなくなる。電磁波過敏症の人、いやそうでない人にとっても大変憂慮すべき事態である。
 このように5Gの危機は少しずつではあるが、確実に忍び寄っている。
 5Gについて、総務省で人体への安全性についての検討会が行われている。しかし、これまでのように問題ないとなるであろう。5Gが想定している周波数の電磁波は自然界には存在しない。それ以前にデジタルのパルス波も自然界にはない。これら人口の電波がさらにあふれる世の中になって、何も影響がなはずはない。私たちに人体実験を受ける義務はない。【鮎川哲也】

[1]水守啓「開始予定の携帯5G化、電波が人体に悪影響との指摘…頭痛や記憶障害、料金負担は割高に」2018年9月9日ビジネスジャーナル
[2]Galactic Connection「HUNDREDS OF BIRDS DEAD DURING 5G EXPERIMENT IN THE HAGUE, NETHERLANDS」2018年11月7日
[3]NTTドコモ、AGC「ドコモとAGCが提携し、世界初『窓の基地局化』に成功」2018年11月7日

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