リニア中央新幹線環境影響評価準備書への意見書(2013.11JR東海に)

1 磁界について

○磁界の影響については、①乗客、乗務員、車内販売員等への影響、②鉄道周辺への影響、の二つの側面があります。しかるに、準備書では例えば、「車体から6m地点で実測値0,19mT(ミリテスラ)、予測値0,18mT」と、「②鉄道周辺への影響」については若干述べているが、「①乗客、乗務員、車内販売員等への影響」についての影響評価がなされていない。一番影響を受ける対象への詳細な影響評価のない準備書は「環境影響評価」に値しない。車内各所での磁界実測値こそ提示すべきである。

○山梨リニア実験線における事例の引用又は解析を基本的な手法としているが、実験走行中の変動磁界の数値を公表すべきである。「超伝導リニアだから変動磁界はゼロ」という主張は勝手なJR東海の言い分であり、変動磁界があるかないかは、JR東海と独立した専門家、環境団体(NGO)も交えた科学的、客観的計測を基に解析すべきである。

2 騒音、低周波音について

○騒音の影響については、工事における騒音と列車走行のおける騒音の二つを取り上げている。そして、走行中における騒音では「地下を走行する場合を除く」としている。これは車内での騒音は視野に入れず、周辺外部への騒音しか念頭に置いてないことを物語っている。実際、騒音対策として「防音壁」「防音防災フード」の設置をあげている。だから、地下ならば「外部への騒音」の心配はしなくていいということになる。超高速走行による騒音や低周波音の人体への影響への考慮のない環境影響評価は欠陥に満ちている。

3 地盤、水質、水象等について

○リニアは大深度地下を通る線のため、異常出水、破砕帯問題、地下大水脈分断等々、環境破壊を引き起こす恐れが強い。しかし、準備書では「適切な工事処理」「点検、監視」といった言葉が並び、これまでの技術の延長上でしか環境影響評価をしていない。地下大水脈の分断による影響一つとっても環境破壊は免れない。極めてずさんで危険な計画である。

4 事故対策等

○大深度地下を通る線で災害や人災で事故が発生した場合の人命救助は想像を絶する困難をもたらすであろう。その場しのぎの小手先な技術対策でなく、広い観点からの国民的かつ専門的論議が必要である。しかし、準備書にはこうした観点が抜けている。

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