携帯25年超使用で神経膠腫リスク3倍

 会報92号に掲載した「高周波電磁波の安全性に関する動向2014年のレビュー」に「今年発表された二つの大きな研究が、無線電話使用で脳腫瘍リスクが増加することを見いだしました」と書かれており、そのうちの一つである、スウェーデンのハーデル(Lennart Hardell)氏らによる研究のアブストラクトと結果の一部を掲載します。悪性の脳腫瘍である神経膠腫と携帯電話使用との相関を示しています。原題Mobile phone and cordless phone use and the risk for glioma – Analysis of pooled case-control studies in Sweden, 1997–2003 and 2007–2009 【網代太郎・訳も】


 私たちは1997~2003年と2007~2009年に、悪性脳腫瘍と診断された患者について行った二つの症例対照研究のプール分析を行いました。患者たちは当時それぞれ20~80歳、18~75歳でした。腫瘍が病理組織学的に確認された症例だけが含まれました。年令と性別をマッチさせた人口ベースの対照が使われました。曝露はアンケートによって評価されました。参照グループ全体は性別、年令、診断年、社会経済地位を調整した無条件の回帰分析が行われました。全部で1498(89%)の症例と3530(87%)の対照が参加しました。携帯電話の使用による神経膠腫のリスク増加は全体としてはオッズ比(OR)1.3(95%信頼区間(CI)1.1-1.6で、潜伏期25年超のグループはOR3.0(95%CI1.7-5.2)に増加しました。コードレスフォン使用のリスク増加はOR1.4(95%CI1.1-5.7)で、最もリスクが高い潜伏期15年超20年以下のグループではOR1.7(95%CI1.1-2.5)でした。携帯電話及びコードレスフォン使用のORは、累積使用100時間ごとと、潜伏期1年ごとの両方で統計学的有意に増加しました。最も高いORは全体的に携帯電話あるいはコードレスフォンの同側使用で見いだされ、それぞれOR1.8(95%CI1.4-2.2)、OR1.7(95%CI1.3-2.1)でした。最も高いリスクは側頭葉の神経膠腫に見いだされました。携帯電話あるいはコードレスフォンの最初の使用が20歳以前の場合、それより後の年齢だったグループよりも高い神経膠腫のORを示しました。

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