車内、駅構内での携帯電話使用禁止の要望書(2003.10鉄道各社、民鉄協に)

鉄道会社各社御中

電磁波間題市民研究会
代表 野 村 修 身

車内および駅構内での携帯電話使用禁止の要望書

<要望の要旨>
 私たちは電磁波問題を研究し、電磁波によって起こる健康問題や社会問題を未然に防止するために1996年10月から活動している環境NPOです。私たちは97年から車内、駅構内での携帯電話の使用を禁止するよう関係団体に申し入れし、一定の改善がなされてきたことを喜ばしく思っていました。しかし、本年9月の貴協会の決められた電車内における携帯電話使用マナーについての決定事項は非常に後退された対応でしかないと感じられ、今回の申し入れを行います。
 電磁波の人体への影響について現在、国際的に論争が展開されています。しかし一昨年(2001年)6月、世界保健機関(WHO)のがん研究専門機関であるIARC(国際がん研究機関)が家庭で使われる50・60ヘルツの極低周波電磁波を21名のメンバー全員で「ヒトに対して発がん性の可能性あり」と分類したことで、状況は大きく変わってきました。さらに本年3月には日本において発表された文部科学省の疫学調査(1999~2001年度実施)でも小児白血病や小児脳腫瘍と電磁波との有意な関係性を示す結果が出ました。
 さらに、携帯電話に使われる高周波電磁波分野でも同様にWHOは2006年~2007年を目途に新しい環境保健基準を設定するため、現在研究調査を進めています。
 高周波電磁波に関しては、英国で2000年5月に携帯電話間題独立専門家委員会(スチュワート委員会)が、携帯電話の脳への影響を考え「16歳未満の子供の携帯年話使用抑制と携帯会社の販売自粛」などの勧告をし、英国教育省はその勧告を受けてその趣旨のパンフレットを国内の学校に配布していま、す。また740万ポンド(約13億円)の資金で携帯電話の健康影響調査にも乗り出しています。英国以外でも、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ロシアなど欧州の先進国では電磁波による健康被害を未然に防ぐため、子供の携帯電話使用抑制や学校周辺での携帯基地局建設規制など予防原則に立った方策が取られ始めています。
 今回の貴恊会の決定事項で「優先度以外ではマナーモードにするように」と言っていますが、マナーモード状態とは電源が入った状態です。携帯番話は移動童話の本質からアンテナとの位置確認のため3秒や5秒に1回づつマイクロ波を発信する仕組みになっています。そのため電磁波過敏症の人たちや心裏ペースメーカーをつけている人たちはその照射を防げませんし、子供たちへの影響も心配です。なによりも社会的弱者を優先席付近に囲い込むという発想は根本的に誤っています。車体が金属でできているため電車内では電磁波が乱反射しやすく、電磁波量がより増幅するという研究論文も国内で発表されそいます。こうしたことを路まえれば、今回の車内携帯電話マナーの方針転換は時代に逆行する対革と言わざるを得ません。私たちは「車内での携帯電話使用が他人に迷惑だから」ということだけではなく健康問題の観点から車内や駅構内での携帯電話の使用全面禁止すなわち電源オフを要求します。
 私たち研究会に寄せられる相談数から察して国内においてますます増えてきている電磁波過敬の人たらはもとより、それ以外の多くの人々の健康被害を未然に防ぐために、予防原則に立って以下の要望に応えるよう強く求めます。

  1. 車内での携帯電話、PHSの全面的使用禁止。全面的禁止とは電源を切ることであり文字転送 も含めてすべてを禁止することです。
  2. 駅構内での携帯電話、PHSの全面的使用禁止と「使用コーナー」の設置。
  3. 上記2点について車内放送やポスター等で積極的励行を呼びかけること。とくにペースメーカ ー使用者や電磁波過敏症あるいはアレルギー体質の人への配慮と文字転送も不可であることを 説明すること。
  4. 貴協会、あるいは傘下の鉄道会社がお持ちの携帯電話等に関するトラブルを含めた情報を提供 してください。

連絡先 大久保貞利(事務局長)

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