「リスクコミュニケーション機関」名乗る資格なし
「中立的な立場から電磁界に関する科学的な情報をわかりやすく提供し、リスクコミュニケーションの実践を行います。」電磁界情報センターのウェブサイトのトップには、そう書かれています。しかし、「中立的」かどうかは自分で決められることではありません。その団体の趣旨・目的、活動方針・内容、構成員、活動費の出所などをもとに、「中立的」かどうかを周囲が評価すべきことです。
本当に中立的なのか検証しようと、当会も参加している「電磁波から健康を守る百万人署名連絡会議」は、今年1月に同センターへ公開質問状を提出しました。2月に回答があったものの、質問へ十分に答えていない回答が多かったため、3月に第2回の公開質問状を提出しました。6月にようやく回答がありましたが、その回答もまた、あまりにもひどいものでした。
質問は全部で8項目ですが、このうち、第1項の質問と回答をここにご紹介します。
解説を加えるまでもなく、ご一読いただければ、同センターが質問に回答していないことが分かると思います。市民と日常会話レベルのコミュニケーションもできない同センターに、高度な技術を要するリスクコミュニケーションができるとは到底考えられません。少なくとも現時点においては、同センターに「リスクコミュニケーション機関」を自称する資格はない、と言わざるを得ません。【網代太郎】
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質問状(第1回)(2009年1月27日)
電磁界情報センターのウェブサイトには、「私たち、電磁界情報センターは、電磁界ばく露による健康影響に関する正確な知識が国民に正しく伝わっていないことから生じる問題の解消に資するためのリスクコミュニケーションの増進を目的とした中立的な常設機関です。」と示されています。「電磁界ばく露による健康影響に関する正確な知識が国民に正しく伝わっていないことから生じる問題」とは、どのような問題でしょうか? 具体的にお示しください。
質問状(第1回)への回答(2009年2月17日)
「原子力安全・保安部会 電力安全小委員会 電力設備電磁界対策ワーキンググループ報告書」でもいくつかの問題が指摘されていますが、電磁界情報センターでは、特に、電磁界の健康影響などに関心のある人の個別ニーズに応じたきめ細かな情報提供ができているのかどうかという問題意識を持っています。
質問状(第2回)(2009年3月18日)
(略)私たちは、貴センターが言うところの「電磁界ばく露による健康影響に関する正確な知識が国民に正しく伝わっていないことから生じる問題」とは具体的にどのような問題なのかを質問したのであり、第1回回答でご回答いただいた“貴センターの「問題意識」”を質問したのではありません。
そこで、質問にお答えいただきますよう、再度求めます。
質問状(第2回)への回答(2009年6月23日)
平成21年2月17日付『「電磁界情報センターに係る公開質問状」へのご回答』で回答いたしましたとおりです。
※公開質問状と回答の全文は、電磁波から健康を守る百万人署名連絡会議のウェブサイトでご覧になれます。