初めに緩和ありきの鉄道・ケータイ 新ルールを、木っ端みじんに粉砕する!

 川合徹さん(会員、東京都)

 近年、私はテレビ(地上波)も新聞もほとんど見なくなっていて(いわゆるマスゴミを見ても意味がない)、さらに大手の雑誌すら不愉快で見なくなっていて、情報は有線でのネットと各種団体の会報誌、そして実際の体験によってほとんど得ているので、その立ち位置での原稿であることをあらかじめことわっておく。
 関西地方の鉄道会社が電車内ケータイルールの緩和をしてから、何度か電話やメールにて、5、6か所問い合わせや意見伝達をしたことがあるが、ほとんどの会社(関西鉄道協会も)が、枕詞のように、関西は関東(首都圏)のように終日混んでいる・乗車密度が高いことはないから、この緩和でも問題が少ないことを聞かされてきた。そんなことから、関東で緩和が、ましてや関西と同様の方法による緩和が行われようとは、まったく想定してこなかったのであるが、甘かったというのが感想である。

朝日系列がいち早く「緩和」報道
 昨年の8月くらいに、複数のネット情報で首都圏も電車内ケータイルールが動くかもしれないとの雰囲気が少し現れたので、ネットや鉄道会社へのアプローチを始めた。そこからさかのぼると、私の感触では、テレビではANN(朝日放送系列)、新聞では朝日新聞がかなり早く踏み込んだ(緩和を前提としたような)報道をしていたので、それらに批判の声を伝える一方、他のニュース、ネット情報を探ってみた。その時点では他の報道機関やネットニュースメディアもきちんと鉄道会社にも取材をして、関東ではそんなことはありません、方法に無理がありますなどの、声を紹介していたはずであった。

突然のルール変更
 しかしふたを開けると、9月17日に、それも東北、甲信越も巻き込んだ37社あげてのアナウンス。裏で何をやっていたんだ…。つまり朝日系列はよく言えば、特ダネを得ていたということ、穿っていえば、リーク・やらせ記事であったということである。鉄道会社は利用者をだまし討ち。とても上場企業、公共の役割が高い企業・事業体、コンプライアンスが求められる組織とは思えないことをやってしまったということである。

利用者にうそ言うJR、メトロ
 その中でも特にひどいのが、東京メトロとJR東日本。多くの会社が、事前問い合わせに対して、ある種ごまかしの文言で嘘までは言わずに逃げていた一方、この2社はメディア発表する直近までも、「変えません」ということを言い続けてきたうそつき企業である。私は、この2社の電車に乗るたび、2015年流行語のひとつを使わせてもらって「東京メトロ(JR東日本)を許さない」の札をつけてアピールしている。さらにこれからは鉄道会社全体に「鉄道会社って感じ悪いよね」アピールもしたいと思っている。公平のため記しておくが、私が問い合わせをした多くの会社のうち。東急だけは「検討している」ことを事実として伝えていた。ただし内容については聞いても話してくれないし、利用者を巻き込んだ検討をしないことは他の鉄道会社と同じではあった。
 そう、なぜ鉄道会社は利用者を巻き込んだ、ルール設定をしないのだろうか? それを行えば、より良い方法、より多くの人に守られるルールがでてくるだろうに。もともとこの問題は鉄道会社だけが担うことではないのだから。また、電磁界情報センターのように御用団体ではないのだから、きちんとしたリスクコミュニケーションを行えばよいのに。また、発表から実施までは、最低でも2、3か月とるべきであった。
 私は確信しているが、彼らは自信がないのであろう。まるで今の社会状況、政権と同じというか、かなりパラレルであって、自信がないから公開しない、議論をさせない、ましてや数字すら出さないということだと思う。

なぜエビデンスを出さない?
 今回変更した理由のひとつとして、「スマートフォンの普及に代表される昨今の携帯電話の利用形態の変化など」もあげられているが、これは何を言っているかよくわからない。地下鉄では、以前から(違反行為の)通話はあまり多くなかったし、本来利用形態の優劣はないのだろうが、今でも多くの人が有効利用をしているとはとても思えない。スマートフォンでゲームをしたり、音楽を聴いたり、そもそも通信機器でやらなくてよいものの利用も多く見て取れる。シルバー世代にも普及が進んだということはあるだろうが、優先席で使えなくて困っている人がそれほどいるとは思えない。
 むしろ実態は逆で、旧ルールでのルール破りが極めて多かったではないか。そもそも一部の鉄道会社・路線を除いては優先席のゾーン(電源オフゾーン)は著しく狭いので、そうでないゾーンを拡大するほどの必要性があるとも思えない。私の印象であるが、京成・京急や東京メトロ丸ノ内線、そして京王、都営など、優先席ゾーンが広い路線のほうが、相対的にではあるけれど、ルールは守られてきたし、いろんなニーズや障害をお互い思いやって優先席付近を利用している人が多いように思われた。
 鉄道会社は少なくとも見かけ上、昔よりお客の意見を聞く体制(お客様センターなど)が整っているのだから、そこでの声の分析結果を公開すべきである。数や論理的意見の質的分析をである。アンケート調査や、モニター調査の結果でもよい。なぜ今に至るまで、どこも出さないのか? 出せないのではないか? 旧ルール時代の昔、関西の京阪は出していたではないか。民鉄も以前から行っている年1回の、どうしてもやらせ的な印象が強い「マナーアンケート」以外に、この問題に特化したアンケートを新設したらよいのではないか。
 メディアでもネットメディア以外は、ほとんどこの問題の調査がないのはなぜか?くだらない政治世論調査などはやり過ぎるくらい行うくせに。

医療機器の問題のみに矮小化
 私は、ケータイの電車内などでの公共空間でのルール設定は、医療機器などへの影響、からだに対する影響、そしてマナーの問題の3つに分けて考えていくべきであるということを前から言ってきた。3つに分けるかどうかはともかく、今まで関東の鉄道会社は、少なくとも優先席ルールを医療機器の影響だけで決めてきた、もしくは運用してきたわけではないはずである。
 今回の緩和は、なぜか医療機器だけの影響に矮小化されてしまった。一方、通話は禁止という、ここだけマナーの問題が引き続き入っている。
 医療機器だけのことでも、きわめてずさんな恣意的な参照をしているのが今回の緩和である。つまり「緩和」が先にありきで、
あとから理屈づけをしているようで、無理があるのだ。私は現場やお客様センターなどにも執拗な抗議、意見を述べ続けているが、皆、論理的に話をすると、困ってしまって(説明できないで)いる。おそらく一部の上層部が勝手にやったことで、これもお客はおろか、現場が望んだことではないのである。

都合のよいところだけの参照
 どういうことかというと、1つ。総務省の指針は「配慮」から「対処」に文言が変わっているのに、以前にも増して電源オフを守らせる施策、運用がされていない。2つ。新ルールのもともとの公開文書の最後に、「参考」としてさりげなく、指針のリスクへの過剰評価のことや影響が発生するとは限らないことがうたわれている、などとそこだけを引用している。実は指針には「調査に当たっては、関係団体等の協力を得て、調査時点において市場に出回っている代表的な機器を網羅するように調査対象を選定しましたが、市場に出回っているすべての機種を調査対象としたわけではなく、調査後に新たな機種が出されることなどもあります。また、専門家により妥当と認められる方法により試験を行っていますが、あらゆる環境条件等を考慮しているわけではありませんので、指針の活用に当たっては、このような点を十分に考慮する必要があります。」と書いてあり、それもHPではこれがトップに出てくる文言なのに、それを無視している。
 また、総務省の「生体電磁環境に関する検討会 第一次報告書(案)」に対するパブリックコメント(2015年7月1日公表)では、電磁波問題市民研究会の意見に対して、検討会の回答がこのようになっている。「(前略)公共交通機関等における携帯電話等のルール設定については、各機関等において個別の状況等を総合考慮して定められるものです。このうち、植込み型医療機器への影響に関しては、最新の総務省植込み型指針を参考とされることが期待される旨を報告書で提言しておりますが、マナーの問題等、他の状況をどのように考慮してルールを定めるべきかについては、各交通機関等で判断すべき問題と考えます。」
 そもそも、機器に関する緩和の流れであるが、もちろん影響がない・少ないとの動向は事実であるが、航空機であれ、医療機関であれ、すべて国、地域、実施機関等が総合判断して個別に行っている。航空機で、空中や走行時、ケータイを許す会社は今でも少ないし、wifiも安定飛行時に許すところもあれば、無線は一切禁止の会社もある。医療機関も、私の勤務する会社関係の健保組合診療所は、待合室は使用禁止である。

ルールは単純なほうが良い
 今、鉄道会社の優先席付近には、様々なハンデや状態を表すロゴマークが記されている。内部障害を喚起するものもある。しかしケータイを避けている人は対象外という矛盾。今回社屋まで抗議に行った東急の社内には、「すべてのお客さまが安心して快適に利用できる鉄道へ。」とのポスターがむなしくかかっていた。電波を避ける人は対象ではないのである。
 今回の方法、複雑である。JR東日本は何と「ルールが単純であり、わかりやすい方がよいというのは、お客様のひとつの意見に過ぎないものであり、私どもはそのような方法をとらなかったのです」と言い放ったが、一般的には、やはりルールはわかりやすく、いろんな人が共存できるものがよいに決まっている。私自身は電車内で電源オフゾーンを広げる方向で意見してきたが、もしルールを変えるにしてもやはり場所によって分けた方がよい。一歩ひいて、ケータイ使用エリアを増やすにしても、優先席が余裕があるところのみ、車両ごとに半分を電源を入れていてもよいとか、優先席と電源オフゾーンを切り離すなど、いろいろ他にやり方があろうものだ。やはり少なくとも首都圏では新ルールは無理である。

撤回させるまで頑張ろう
 さて、最後にまだまだ試行錯誤の状態であるが、私の実践を紹介することで、皆さんでそれぞれの取り組みのアイディアを出し合うきっかけになればと思う。
 大きくは、一人デモでもよいので、社屋に抗議に行こう。いろんな形で声を伝えよう。運動、場合によっては裁判も視野に。 電車に乗りたくなくなってきたが、仕方ないときは、「遵法闘争」というか向こうの論理に従って、それを完遂させるやり方がよいかと。今回37社はあくまで医療機器の影響しか考慮しなくなったのだから、ではそれ以外は、どのように安心安全を保障してくれるのかをせまる。放送は、ケータイ関連同時にやれとせまる。具体例は、新放送にプラスして、「優先席付近はもちろん著しい混雑時はどこでも電源を切るか、操作をご遠慮ください。また、ながらスマホは迷惑ですので、車内でもホーム上でも移動するときはいったん鞄の中におしまいください」など。
 また、今回電源オフの混雑の定義はあくまで、「人が触れ合う状況」である(文書に明示していない東海地方含めて確認済み)。決して「混雑時のみ電源オフ」などと逸脱したことは言わせない。「優先席付近では、人が触れ合う状況では電源をお切りください」と最低限言わせる。では、触れ合う状況とはどのくらい? 15cmをめどに、まずどの会社でも肯定してくれるのが、優先席で座れた場合は人が隣にいるときは電源オフ。空いてれば真ん中付近に座ることがおすすめ。少なくとも両隣は電源が入れられない。立っている人は、けっこう解釈が難しいので、座って避けたいときは行儀悪いけど、足を投げ出し1、2mは離れさせる。また思い切ってマナーに訴える手もあるが、これは強制できない。しかし、「今回のルール変更は、あくまで医療機器への観点だけであり、私はからだの事情で避けているので、少し離れてもらえませんか」は言えるし、これは何度か実験して快く承諾してくれる人も多いが、嫌がらせする人も少数いるのがつらい。
 立っている人がケータイを使っているときは隣に人がいないと、新ルールでは注意ができないが、ただ動線上であれば、その近づく瞬間電源を切らせることができる。ドア付近にいる人もどいてもらえる。そもそも少なくとも優先席があるドア付近は、乗り降りの際に人が集中するので、混んでいる時は当たり前だし、ぱらぱら程度でも禁止を言える、JR東日本はながらスマホの問題もあるので、(少なくとも優先席があるドア付近は)空いているときでも、つまり終日電源オフにするかは検討に値する意見だとは言ってくれている。他の会社にも図を書きながらドア付近のことは要望している。
 と、突き詰めると結構、新ルールは使いたい人にとっても使いにくいことがわかる。そこでは状態に合わせて電源を入れたり消したりしなくてはならないから。むしろ新ルールは、思い込みとは逆に、優先席付近では、著しく空いている時を除いては電源をお切りください(だって、触れ合う状況はオフだから)、ということで、あまり前と変わらないといえる路線も多そうである。
 このような論理で、現場やお客様センターにねちねちと迫り、けっこう皆さん否定できないというか、認めざるを得ないようである。日常利用する会社には確認済み。
 あと、ポスターに使われているイラストの批判もお忘れなく。あれって、著しい混雑のイラストだよね。あの状況なら、優先席に限らず操作はご遠慮、もしくはすべての電子機器電源オフじゃないの。つまりあれは、医療機器の装着部位が心臓の左上とは限らないことを示す図に過ぎないのである。これも現場に指摘すると、皆さん認めるが、誤解を招くから外してくれとの要求には未だ応えてくれない。ステッカーの英語のWhen crowded もやめてと要求している。きちんと人が触れ合う状況と書いてくれと。
 結局、瞬間ワープするわけでないので、物事を静的にしか考えていないところを、動的に考えることを求めることが大切。
 理解してくれる人も増えている一方、最近嫌がらせも多い。旧ルールで警視庁は、注意してもやめないときは、出すなら告訴届を受け取ると言ってくれたので、新ルールでも起訴を望み、そうする時もあり得ることをも今や覚悟するかである。

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