アナログメーターを維持するために

K.A.さん(埼玉県S市)

 電磁波過敏症(EHSまたはES)の方が、スマートメーターからの電磁波による健康影響を防ぐために、まだ交換時期がきていないアナログメーターを、さらに長い期間使えるアナログメーターに交換させることができた事例を、青山さんがご紹介くださいました。こうした交換によって電磁波の影響から自衛しつつ、時間を稼いでスマートメーターを押しつけようとする国の方針転換を期待するという作戦です。
 さらに、賃貸アパートでも、スマートメーターをアナログメーターへ交換させることができたとのことです。
 なお、アナログメーターの製造が中止されているわけではないこと、新電力小売会社との契約のためにスマートメーターが必要になる技術的な理由はないことについては、この会報の他の記事をご参照ください。【会報編集担当】


 私は2001年5月、新築のマイホームに入居後すぐにシックハウス症候群を発症し、同年10月、北里研究所病院にて化学物質過敏症(CS)との診断を受けました。その後2006年頃から徐々に電磁波にも過敏性を感じ始め再び北里研究所病院にて「化学物質とともに電磁波にも注意が必要である」と添え書きの加わった診断書をいただき、日々体調の良否と折り合いを付ける工夫をしながらの生活を続けています。

スマートメーターがやって来る?
 2016年4月1日からの電力小売りに向けて使用量の遠隔計測をするメーター、つまりスマートメーターが関東でも各戸に設置されることに伴う影響についてのセミナーが、電磁波問題市民研究会主催で開催されると知った時点で、T県に住む友人Hさん(お母様がCS/ES)が即、動きました。そして2月21日、平成36年9月が使用期限のアナログメーターに無事付け替えてもらったと聞きました。
 それなら我が家もお願いしようと考え、Hさんのレクチャー通りの手順で取り組んでみました。結果的には2月25日に無事付け替えが終わりました。

交換の手順
2月22日午前10時頃
 1)「電気ご使用量のお知らせ」の右下にあるカスタマーセンター「お問い合わせ先:電気に関するご用件」の電話番号に連絡(オペレーターに繋がるまでかなり時間が掛かる)
 2)繋がったオペレーターには、

  • お客様番号、契約者名、住所を告げて「電磁波に過敏で、携帯電話の使用にも制限がある生活なので、スマートメーターになるとさらに体調不良になると思って、現在設置されているメーターをアナログのまま使用期限最長の物に取り替えていただきたい、というお願いです」と話す。
  • オペレーター「お客様のところに設置されているのは平成32年8月(各戸のメーターボックスにシールあり)なので、まだ4年使用出来るからそのままでよいのでは?」と必ず答える。
  • 私「ではその後また最長使用期限のアナログメーターに取り替えていただけますか?」
  • オペレーター「いえ、現行のアナログメーターはすでに製造中止なのでそれは多分出来ません」
  • 私「現状では平成36年9月まで使用可能なメーターに取り替えた実例がありますので、ぜひそれにしていただければせめて8年は電磁波の影響が減らせると思ってお願いしています」
  • オペレーター「スマートメーターへの移行は国からの通達ですから順次取り替えるのが原則になっています。今設置してあるメーターの期限が来ればそれ以上の延長は出来ません」
  • 私「でも、先程話しましたように36年までのものがまだ現存しているのが事実で、取替えた事例もはっきりしているのですから、担当部署に繋いでくださるか直通電話の番号を教えてください」
  • オペレーター「(しぶしぶ)では担当部署から折り返し連絡いたします」

同日昼過ぎ
 1)住居管轄支社技術サービスグループから連絡(忘れずに相手の部署と氏名、直通電話番号を聞く)。

  • 相手「スマートメーターの電波はご存知のように携帯と同じ位で国の電波基準を遵守しているのですが、それでもお困りですか?」
  • 私「はい、携帯はイヤホン使用で本体は身体から離してバッグに入れたままとか、家では50cm以上離した状態での使用なのでスマートメーターのように定期的に四六時中、電波が無線で飛ぶのは体調不良の原因になるのは確実です。取り付けられてから体調不良になったら物言う部署を教えていただけますか?」
  • 相手「T県で取り替えた実績があるとのことなので確認します。T県で対応して当S市で出来ないのはお客様への対応としては不公平ですから、当事者に許可を得られて当該地の住所を教えてください」
  • 私「T県○市△・・・です。(告知可の許可済みだったので)」

 同日すぐ折り返しの連絡で2月25日取替え決定となり、完了しました。

それ以後の進展
 埼玉県S市には私を含めてCS/ESの発症者が4人とその家族で予備軍が3人居るのを確認しています。私以外でアプローチした2人とその家族宅の計5ヶ所。さらには強いES症状がありながら事業をしている方の社屋と展示場も含めて合計7ヶ所で取り替えていただきました。
 そして埼玉県T市でも1ヶ所対応していただきました。

当会の「スマートメーターは要らない」を聴いた後のさらなる展開
 私の息子は軽い金属アレルギーと花粉症があります。そして1日中パソコンに向かっての仕事をしています。
 我が家の周りでリフォーム、外壁塗装などがある時に彼が住む賃貸アパートを私の避難場所にしてもよい、と息子が云ってくれたので、彼がそのアパートに入居する時(ほぼ1年前)に出来るだけのCS対策をして、私が滞在できるようにしてくれました。
 ところが、そのアパートに入室してしばらくすると、右肩から後頭部にかけて凝りとも痛みともちょっと違う吐き気を伴った不快感がありました。そして浮動性のめまいが出てフラフラしました。
 当会の集会の後、もしかして?と思ってアパートへ行って確認したら、玄関ドアの上のメーターがスマートメーターでした。すでに設置されたスマートメーターを、アナログに戻すのはかなり難しいとの体験を聞いた後だったので悩みました。でも当たって砕けろ、ダメで元々・・・出来れば何とかなれば・・・などと逡巡しながら行動しました。

交換の経緯
3月12日

  • 息子に事情を話して電力小売りになっても値下げのメリットが受けられないだろうが我慢してくれるか、と聞くと了解してくれた。

3月14日

  • 東電には息子のアレルギー状態と仕事でパソコンにかじりついてすでに電磁波をたっぷり浴びているので、家に居る時にまでスマートメーターの影響は受けたくない、身体が電磁波への許容を超えそうな原因は排除しておきたい、母親と同じ辛さは味わわせたくない、そして折角私の避難場所にと室内環境を整えた出費が水の泡になるのは納得できない、等など訴えた。
  • アナログに戻した後、息子が退室する時は必ずスマートメーターに戻すようこちらで手配する。
  • 東電としては仲介の不動産会社の許可を取ってくれたら対応するとの返事。

3月16日

  • 菓子折を持って不動産店を訪問。本社管理部の担当者に電話してもらって事情を話すと、「実際に電気料金を払うのは入居者の方ですし、退室時の復元を確約していただいているのなら差し支えありません」と快諾していただいた。

 店を出てすぐ東電に報告。その後、3月23日にスマートメーターをアナログメーターに戻すことが決まりました。

3月23日

  • 午前9時半にアナログメータ-に交換。午後4時ごろまで滞在したが、体調不良は起きなかった。

お願いのポイント

  • ESの場合でも症状に統一性が無いので、個人の症状をあまりくどくど話さない。対応する窓口を混乱させて「電磁波過敏症って変な人」と思われるのはES全体にとって得策ではない。
  • 東電の研究部署はESの存在はご存知だと聞いている、とやんわり言う。
  • 自宅に住めくなる可能性のある原因は排除したい、持ち家でも賃貸でもそこで安全に暮らす権利は保障されて当然。
  • アナログメーターで固定する間は東電の電力しか買えないので、東電にとっては顧客の確保そのものになってメリットになるはず。

振り返って
 発電源に原発の無いクリーンエネルギーを購入したいのは山山ですが、ESでは現実の体調に鑑みてアナログメーターを選択するなら、苦々しくても東電からの電力購入を呑まざるを得ないのを知りました。理不尽で不条理な思いが渦巻いています。
 しかし、ESなればこそ予防的に使用期限最長のアナログメーターへの取り替えも叶い、話し合いによっては既設のスマートメーターをアナログメーターに戻すことも聞き届けてもらえたのだと思います。
 とてもありがたく、感謝に堪えません。
でもこの有り様は顧客に対して決して公平ではありません。今、健康な方たちにも予防原則が働いて当然です。たとえ価格が高くても選択の余地がある政策を望みたいものです。

アナログメーター使用期限切れ後の対策として東電からの提言
 平成36年以後、スマートメーターへの移行を余儀なくされた時、影響を避ける方法としては、戸建てで敷地にゆとりがあるなら電気工事店に依頼して、建物から離れた場所にポールを立て、そこにスマートメーターを設置する、というもの。ただし、ポール設置、電線の敷設とも個人負担になる。何m離せばよいのかは個人の感受性に因るものと思われる。
 すでにこうして小売り電力を利用すべく準備している人も居るとのこと。
 これもまた、私有地の無いマンション、アパート住まいの場合には不公平な提言です。消費者が不利益を蒙らず、かつ不公平でないシステムでクリーンエネルギーが買える日が来る事を切に祈ります。

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