東京メトロ銀座線の隅田公園下変電所計画は何が問題か

 東京メトロ(正式名・東京地下鉄株式会社)が、銀座線浅草終点駅近くの隅田公園地下に鉄道変電所を建設し、またすぐ近くに6階建ビル(配電所目的)も併せて新設する計画について、その問題点を今号も取り上げます。

なんで、災害避難場所に指定されている区立公園地下に、民営鉄道の変電所をあえて建設するのか。

 隅田公園は隅田川沿いの公園で、区民の憩いの場であり、観光客が多く集まる場です。さらに台東区から災害避難場所に指定されています。東京メトロの住民説明書でも「公園の地下に公営地下鉄の変電所を設置した事例があります。」とあり、民営地下鉄の変電所を建設した事例はこれまでありません。東京メトロはあくまで株式会社で民営鉄道です。しかも、公立公園なので、地下部分占有料は年間約205万円という破格の安さです。こんな区民の財産を特定の会社に使わせるのは不当です。

変電所には高圧送電線敷設がつきものですが、東京メトロは「高圧送電線は2万2千Vの地下埋設ケーブルを2回線受電する計画」としつつ、そのルートについて「今後、電力会社と協議する予定」としていまだに公表していません。

 2万2千V高圧送電線をどこに敷設するのかは極めて重要な問題です。これだけ具体的な変電所計画を示して置きながら、ルートはわからないはずがありません。案すら示さないのは、隠しているのと同じです。不誠実です。

変電所から出る電磁波の健康影響を「自然界や身のまわりの電気製品から発せられる電磁波と比べて」、「身体への影響は生じないと考えている」と説明する無神経さ。

 変電所ができれば、24時間、365日、極低周波電磁波が周辺住民に浴びせられます。その量は東京メトロの説明書によれば、「地下変電所(壁際)で最大30μT(300mG)」、そして「変電所地上部で最大1μT(10mG)」です。東京メトロは、こたつやヘヤードライヤ―等との比較表を載せて説明していますが、季節や時間帯で使用されている電気製品と常時電磁波を発生する変電所を単純比較することはできません。2007年に発表されたWHO(世界保健機関)の極低周波電磁波環境保健基準では、「0.3~0.4μT(3~4mG)で小児白血病発症率約2倍」とする慢性影響リスクを指摘していますし、「新設電磁波発生施設(変電所はこれに該当します)は、計画時に住民等と協議する」と勧告しています。

当初提案された「花川戸公園案」は反対され、白紙撤回した。それなのに「隅田公園ならいい」という東京メトロの一貫性のなさ。

 東京メトロがはじめに提案したのは、現行案の隅田公園からあまり離れていない花川戸公園の地下案でした。花川戸公園は台東区立浅草小学校の正面で、台東区民会館の隣です。この案は住民の反対で白紙撤回となりました。しかし、表立った反対運動(署名運動等)がない段階であっさり、東京メトロは撤回しました。隅田公園は冒頭説明したように、区民避難場所です。花川戸公園はまずいが、隅田公園ならいい、という根拠は一切示されていません。

50mプール大の地下変電所を建設する根拠があやふやで、説明責任が果たされていない。

 鉄道変電所を建設する理由として、東京メトロは、「銀座線の輸送力増強および利便性向上のために、浅草駅発着本数の増発及び浅草駅発着ホームの固定化を実施するために浅草駅奥に折返し線延伸を計画し」「これにより運行本数は、1日あたり25本増える予定です」としています。そして、列車が走行するのに電圧は直流400V以上必要で、210m線路を延伸すると、電圧が末端で391Vになり、必要な400Vから「9V」電圧が不足し、列車走行に支障が出る、としています。(前号で「6V不足する」と言いましたが、9Vの誤りです。訂正します。)
 ところが、210m延伸というのは、当初の花川戸公園案でのことで、隅田公園案だとこの論理は破綻します。終点浅草駅奥に200mの延伸線が現在すでにあります。もしさらに110m延伸の範囲(全体で310m)であれば、400Vの範囲内で変電所を新設する必要はありません。銀座線は1編成6両100mなので、310mで、十分1日25本増発は可能です。これは、東京メトロが出した資料から推測できることで、この住民の指摘に東京メトロは説明責任を果たせないでいます。

嫌悪施設は資産価値が5%下落する、といわれる。変電所は嫌悪施設である。周辺住民への影響は大きい。住民の声を聞くべきだ。

 東京メトロは、変電所の周辺への影響を少なく見せようとしています。しかし、変電所など嫌悪施設ができれば、地価は5%以上下落するのは、不動産関係者では常識です。すでに、その影響は出ています。変電所建設で一番打撃を受けるのは周辺住民です。その人たちの声に謙虚に耳を傾けるべきです。
 今回の隅田公園変電所計画は、台東区長が東京メトロに公立公園の占有許可を出すか否かが焦点です。表面的には台東区はなにもないように装っていますが、東京メトロの説明書では、「公園占有の許可につきましては、現在、台東区と申請に先立つ事前協議中ですが、大筋で理解を得られています」と書いています。【大久保貞利】

変電所反対陳情を区議会が不採択

 東京メトロ地下変電所建設に反対し、住民たちが3本の陳情書(「東京地下鉄株式会社の変電所建設についての陳情」)を台東区議会に提出しました。12月12日に区議会産業建設委員会で審議された結果、賛成2、反対8、で陳情はいずれも「不採択」となりました。審議時間も短く、議員の不勉強が目立った審議内容だった、と傍聴した住民たちは怒っていました。この結果にかかわらず、住民たちの反対運動は続けられています。以下に3本のうちの1本を掲載します。【大久保】


陳情28-47(写)

東京地下鉄株式会社の変電所建設についての陳情

陳情の趣旨
 私共は、台東区花川戸1丁目12番で代々履物業を営んでおりましたが、平成28年7月19日に東京地下鉄株式会社(以下東京メトロという)から私共の目の前にある隅田公園に地下鉄変電所を建設する計画説明を受けました。
 私見ですが、下町浅草の繁栄は東京メトロさんの大きな協力があったことと感謝をしております。今回の引き込み線路増設や駅のバリアフリー化は大変結構なことでぜひ進めてもらいたいと思います。しかし、変電所を建設することは、東京メトロさんが施設の拡充対策として民間の土地を探して進めることであり、今回の駅改良工事とは別なものです。一度建設されると百年・二百年も撤去できない嫌悪施設として存在することとなります。また、説明会で「東京メトロさんは他で変電所を公園に設置した事例がありますか」とお聞きしたら「無い」とのお答えでした。用地が無いといって公園使用を認めたら都内すべての公園に変電所の設置が可能となります。
 都市公園法では鉄道施設の変電所が認められますが、このために江戸通りから地下トンネルを隅田公園まで延長し無理やり鉄道施設にしています。さらに変電所は嫌悪施設であり、私達の資産価値への影響や風評被害も考えられることから、公共の用地を提供して建設することは認められません。当初花川戸公園に計画したものを、反対を受け今回の場所を選定したと聞きましたが、区民、都民や多くの方が利用する公園を利用するのであれば、周辺住民にとっても納得できる場所を選定すべきです。
 台東区議会におかれましては、この陳情の趣旨をお汲み取りいただき、下記の内容について東京メトロへのご指導をいただきたく、お願い申し上げます。
1 変電所建設は、民間用地を取得して建設してください。
2 公園に建設するのであれば、周辺住民の納得が得られる場所に建設してください。
(電磁波の影響が無い様に民家より150m以上離してください)
 平成28年11月14日

台東区議会議長
    太 田 雅 久 殿

カテゴリー: 超低周波, 変電所 

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