第5世代移動通信システム(5G)の全国展開を希望している携帯電話事業者4社に対する公開ヒアリングが10月3日に総務省で開かれました(議事録)。日本では東京オリンピック・バラリンピック(オリパラ)が行われる2020年の5Gサービス開始を目指すとされてきましたが、4社のうち、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社は、来年(2019年)から一部のサービスを始めると表明しました。
本格開始は2020年から
ドコモは、ラグビーのワールドカップが日本で開幕する2019年9月に「プレサービス」を開始。その時点ではまだ5G対応端末は台数が少ないため販売はせず、ワールドカップ会場などで端末を無料で貸して5Gを体験してもらうとのことです。そして2020年春に商用サービスを開始し、端末の販売も始めるとのことです。
ソフトバンクも、ドコモが言うプレサービス的なことを、2019年夏に同社が福岡ドームで開くイベントなどで行うと説明。2020年のオリパラの時には商用化が始まっていると述べました。
KDDIは、2019年に一部エリアで高精細映像の配信、スタジアムでのサービス、ドローン警備などの5Gサービスを開始し、2020年から本格展開するとのことです。
携帯電話事業に新規参入する楽天は、2019年10月に4Gサービスを東京23区、名古屋市、大阪市から始め、2020年から5Gサービスを開始すると説明しました。
スタジアムでの5G
4社ともオリパラなどスポーツイベントでのサービス展開をアピールポイントの一つにしています。各社は以下のようにその具体例を挙げました(上の図もご参照ください)。
- スタジアムから、パブリックビューイング(大勢が集まってテレビなどで観戦する)会場へ、高精細な動画をリアルタイムで送信する(ドコモ、ソフトバンク)。
- メガネに情報を表示できる「スマートグラス」をかけながらの観戦(KDDI)。
- ドローンからの高精細映像と顔認識技術を使用したスタジアム監視(楽天)。
5Gは4G(LTE)と比べて、より高速・大容量通信になるだけでなく、より多数の端末に同時接続でき、より低遅延(タイムラグが小さい)になるとされています。スタジアムに集まった大勢の人たちに高精細な映像をリアルタイムに届けることなどは、5Gのこうした特徴を発揮しやすいことから、各社とも力を入れているものと見られます。
一方で、大勢が密集したスタジアム内などの中に多くのメガヘルツ帯電波が電波が飛び交うことになり、健康面での影響が心配です。【網代太郎】