次世代スマートメーター制度検討会が「取りまとめ案」 Wi-Fi通信機能の搭載可能に 4月6日までパブコメを募集

 現在のスマートメーターに代わって2025年度からの導入を目指している「次世代スマートメーター」の仕様などを検討してきた経済産業省資源エネルギー庁(エネ庁)の「次世代スマートメーター制度検討会」が「取りまとめ案」を公表し、4月8日まで意見(パブリックコメント)を募集しています。ぜひ、皆さんからも意見を出していただければと思います。
 取りまとめ案の主な内容は、以下の通りです。

一部メーターから5分ごとの電力使用量データなどを取得
 一般家庭、商店などに供給される200V以下の「低圧電力」用の現行スマートメーターは、(スマートメーターを拒否した需要家を除く)すべての需要家(電力消費者)について、30分ごとの電力使用量(有効電力量)データを、電力小売事業者へ60分以内に届けています。
 次世代スマートメーターは、これに加えて、10%程度以上の需要家から、5分ごとの電力使用量データを、送配電事業者へ数日以内に届けるとしています。
 さらに、3%程度以上の需要家から、5分ごとの電力使用量データを、送配電事業者へ10分以内に届けるようにもするとしています。
 細かい説明は省きますが、5分ごとのデータは、現行スマートメーターが取得している有効電力量に加え、無効電力量、電圧のデータも送信するとのことです。これにより、送配電系統における需給の安定、電力損失の削減などのメリットがあると、取りまとめ案は述べています。

30分ごとの送信を15分ごとへ変更可能に
 現行では30分ごとに送信している電力使用量データを、15分ごとの送信に切り替える機能を、次世代スマートメーターにあらかじめ備えるとしています。現状の電力市場は「30分値同時同量」[1]ですが、将来的には欧州等と同様に再生可能エネルギーの普及拡大を目的に15分市場への変更もあり得ることを、取りまとめ案は理由として挙げています。

Wi-Fi通信を可能に
 次世代スマートメーターは通信部を交換可能な仕様とするとのことです。標準では現行と同じWi-SUN(920MHz帯)で通信を行います[2]が、Wi-SUNとWi-Fi(2.4GHz帯)の双方で通信できる通信部も選択できるようにするとのことです。会報前号でも報告した通り、Wi-Fi導入の理由は、Bルートの利用促進です。
 一般的に、Wi-Fi電波は、Wi-SUN電波より、かなり強いです。次世代スマートメーターに搭載させるWi-Fiの出力がどの程度になるのか分かりませんが、検討会の下に置かれていた「スマートメーター仕様検討ワーキンググループ」の第3回に提出された「Bルート通信の実証試験の概要」(電力中央研究所)は、Wi-SUNの送信出力を約20mW、Wi-Fiの出力を約40mWとしており、これに基づけば、Wi-SUNだけのスマートメーターに比べて、Wi-SUNとWi-Fiの両方を搭載したスマートメーターの出力は、約3倍(計60mW)ということになります。

ガス・水道との共同検針への対応
 スマートメーターネットワーク経由で、ガスメーターや水道メーターの1時間ごとの計量値をガス・水道事業者へ1日1回送信し、ガス・水道メーターの遠隔での検針を行うことができる機能を持たせるとしています。
 もちろん、実際にガス、水道もスマートメーターにするかどうかは、ガス・水道事業者側の判断によります。

スマートメーターの仕様統一
 東京電力パワーグリッド、関西電力送配電など、全国に10社ある一般送配電事業者による現行スマートメーターは仕様が2種類ありますが、調達コスト低減などのために次世代スマートメーターは10社で仕様を統一する方針とのことです。
 仕様を統一した次世代スマートメーターは、できるだけ電波遮蔽の影響を受けにくくするよう、通信部をメーターの最上段に配置するよう、取りまとめ案は示しています(上の図)。

オプトアウト
 スマートメーターのオプトアウト(拒否)について、取りまとめ案には「オプトアウトの在り方については、諸外国の事例も踏まえつつ、具体的な手続等について、一般送配電事業者と国の審議会とが連携し、今後検討を行う」とだけ、書かれています。

意見(パブコメ)の出し方
 とりまとめ案の内容と、意見の出し方については、「次世代スマートメーター制度検討会取りまとめ案に関する意見募集について」をご覧ください。【網代太郎】

[1]30分間に使われる電気量と作る電気量を一致させること。
[2]関西電力のみ現行スマートメーターでWi-Fi電波を利用している。

電磁波研によるパブコメ

 当会は、以下の通りの意見を提出しました。

経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部政策課電力産業・市場室 パブリックコメント担当 御中

「次世代スマートメーター制度検討会取りまとめ(案)」に対する意見

[団体名]電磁波問題市民研究会

[意見1]
・該当箇所
 「低圧メーターに関して、
-有効電力量・無効電力量・電圧の5分値について、需要家の10%程度以上のヒストリカルデータを数日以内に、
-有効電力量・無効電力量・電圧の5分値について、需要家の3%程度以上のリアルタイムデータを10分以内に
Aルート経由でHES・MDMSに送信できるような機能とする」(5~6頁)
・意見内容
 5分値を取得する需要家に対しては、取得する旨とその理由等について説明のうえ、取得の許可を得るものとする。
・理由
 5分値を取得する場合は30分値を取得する場合と比べて、通信頻度が増えて電磁波への曝露も増える。また、より詳細なプライバシーデータが取得されることになる。

[意見2]
・該当箇所
「低圧メーターに関しては、
-メーターの通信部のみを交換可能な仕様とし、柔軟性を確保するとともに、基本仕様としては、その通信部において、引き続きWi-SUN(無線)方式の通信を可能としつつ、Wi-SUN(無線)方式とWi-Fi2.4GHz(無線)方式の双方の通信を可能とする通信部を併せて設計することが適当である。」(7頁)
・意見内容
Wi-Fi方式を可能とすべきではない。
・理由
Wi-FiはWi-SUNよりも電磁波が強くなり、電磁波による健康影響に悩む需要家をはじめとした市民に有害な影響を与えるおそれがある。Wi-SUN以外の通信方式が必要であれば、高圧と同様、Ethernet(有線)方式とすべきである。
[意見3]
・該当箇所
 「なお、オプトアウトの在り方については、諸外国の事例も踏まえつつ、具体的な手続等について、一般送配電事業者と国の審議会とが連携し、今後検討を行う。」(15頁)
・意見内容
 (1)現在、スマートメーターを拒否する需要家に対しては、一般送配電事業者により、アナログメーターへの交換、または、スマートメーターの通信部を外す対応が行われていることから、オプトアウトは事実上開始されていることを、本「取りまとめ」に明記すべきである。
 (2)オプトアウトを選択した需要家から追加料金をとるべきではない。
 (3)5分ごと、または30分ごと(将来的には15分ごと?)の電気使用量データの電力会社側への提供を望まない旨、需要家から申し出があるときは、このデータを取得するべきではない。
 (4)今後、国の審議会等でオプトアウトのあり方について検討する場合は、当該審議会等において、オプトアウトを選択している需要家から直接意見を聴くべきである。
・理由
 (1)について オプトアウトについて今後検討するときは、オプトアウトが事実上開始されているという現状を踏まえたうえでの検討が必要であるから。
 (2)について 資源エネルギー庁は「諸外国の事例」について、米国のみという偏った情報を根拠に追加料金徴収を視野に入れてる。また、当の米国では、追加料金を障害者から取ることは違法であるという主張が裁判所で認められている(https://ehtrust.org/electric-company-pge-refunds-smart-meter-opt-out-fees-to-emf-disabled-customer/)。
 (3)について オプトアウトの趣旨を踏まえれば、当然である。
 (4)について 次世代スマートメーター検討会においてオプトアウトについては、具体的な議論がほとんどなされていない。オプトアウトを選択している需要家の事情について、同検討会の委員らがほとんど知らないためと思われる。したがって今後の検討を適切に進めるためには、審議会の委員等がそうした需要家から直接意見を聴く必要がある。

 

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