当会報はこれまで、スマートフォンを有線LAN(イーサネット)で使う方法をご紹介してきました。スマホ利用を積極的におすすめするものではありません。しかし、現代社会でネットをまったく利用せずに生活することは厳しい面があります。電磁波過敏症でも症状によっては、パソコンよりスマホのほうが体への負担が少ないという方もいらっしゃいます。家族から理解されないこともある過敏症の方が、同様の悩みを抱える方々とネットでつながることができれば、たいへん心強い面もあるでしょう。
有線LANを利用すれば、スマホを電波を送受信しない機内モードにしながらネットを利用でき、電磁波曝露を大幅に減らせます。料金も節約できます。できるだけ安全にスマホを使うよう十分に工夫と配慮を重ねることを当然の前提として、あらためてスマホで有線LANを使う方法などをとりあげます。
iPhone(アイフォン)の場合は簡単で、専用のアダプタ(Lightning – USB 3カメラアダプタ)を利用することで、有線LANが使えます。
問題なのは、アンドロイド・スマホです。有線LANでネットにつながる機種は限られています。しかも、携帯電話ショップのスタッフのほとんどは、有線LANが使える機種について知識を持っていません。また、スマホに有線LANケーブルをつなぐアダプタについても、アンドロイドの場合、すべてが利用できるわけではありません。
当会報で、有線LANが使えるアンドロイドスマホやアダプタをご紹介してきましたが、新しい情報を含めて、あらためてご紹介します。
一番確実なのは、マニュアル(取扱説明書)で、有線LAN(イーサネット)が利用できることを明記している機種で、以下があります。
・エクスペリア(Xperia)10 III(図1)
・エクスペリア 5 II
・エクスペリア 1 III
・ギャラクシー(GALAXY)A20(図2)[1]
・ギャラクシーA21
ほとんどの携帯電話メーカーはマニュアルをネットで公開しています。ただし、マニュアルに記載がなくても、有線LANを使える機種もあります。実際に試してみたら有線LANが使えた機種の情報を、化学物質過敏症を発症している三浦浩平さんが教えてくださいました。
・GALAXY A7
・GALAXY A30
・オッポ(OPPO)A73
・ファーウェイ(Huawei)P20 Pro
筆者が試して有線LANが使えたものは、以下の通りです。
・ファーウェイ P30 lite
・ファーウェイ P20 lite
また、アンドロイドスマホに有線LANをつなぐアダプタで、使えることを筆者が確認したのは、以下の通りです。
・ラトックシステム RS-UCLAN
・Cable Matters 201013-BLK
イーサーネットテザリング対応機種なら有線LAN経由で通信できるかも
上記に挙げた以外にも、私たちが知らないだけで、有線LANでネット接続できる機種は、あるだろうと思います。
そして、「イーサネットテザリング」対応をうたっている、最新型のアンドロイド・スマホは、もしかしたら、有線LANに接続できるかもしれません。
唐突に「テザリング」という用語を使ってしまいましたが、このテザリングとは、スマホが中継役となって、スマホが送受信する携帯電波をWi-Fi電波など[2]に変換して、ノートパソコン、タブレット、ゲーム機などをインターネットに接続させる機能です(図3)。
そして「イーサネットテザリング」とは、このWi-Fiの部分を有線LANに置き換えたものです。
イーサネットテザリングに対応したスマホは、他の機器と有線LAN経由で通信できるわけですから、そのスマホじたいが有線LANでネットに接続できそうな気がします。実際、イーサネットテザリングに対応したスマホに、有線LANアダプターを付けたら、有線LANでインターネットに接続できたというネット記事[3]があります。しかし、イーサネットテザリングに対応したすべての機種が有線LANでネット接続できるのかどうかについては、現時点で筆者は情報を持っていません。
なお最新型は5G対応なので怖いという方は、スマホの設定で5Gだけをオフにできるそうです(すべての機種で可能かどうかは分かりません)。
皆様からも情報をお寄せいただければ幸いです。【網代太郎】
[1]アナログメーターの存続を望む会の東麻衣子さんから情報をいただきました。
[2]Wi-Fi電波ではなく、ブルートゥース電波や、USB有線接続を利用するものもある。
[3]充電しながら有線LANでテザリングできるType-C用イーサネットアダプター