真の意味でのデジタルリテラシーを身につけることで、電磁波との付き合い方にヒントがあるはず

コロナを発症した自宅療養者が登録するスマホ画面

 総務省「通信利用動向調査」によると2021年の情報通信機器の世帯保有率は「モバイル端末全体」で97.3%であり、その内「スマートフォン」は88.6%、パソコンは69.8%となっています。2008年に日本でiPhone 3Gが発売されてから、2012年に49.5%を超えてからは一気に広がった感があります。
 社会はデジタル化が進み、「スマホありき」になりつつあるように感じます。
 というのは、今年1月、筆者がコロナに感染したかもしれないと感染の有無を確かめに医療機関に行ったところ、仮説テントの入口で「ここのQRコードを読み取って、メールが来ますので、そこからサイトに移動してまず登録をしてください」と当たり前のように言われました。こちらがスマホを持っていることを確かめることもしないでです。幸い筆者はスマホを持っていますし、かなり使っているので登録に対して健康であれば簡単にできたことでしょう。たが、なにしろ体調がかなり芳しくないので、そんな面倒くさいことをしたくなかったのですが、悪戦苦闘しながら登録しました。

スマホありきのコロナ発症者対応
 抗原検査では陽性でした。「PCR検査の結果は先程登録されたメールに届きます。陽性なら世田谷区から食料などの支援がありますので、そちらも先程のサイトから申し込みして下さい」と医師から伝えられて医療機関をあとにしました。
 もしスマホがなかったら、どうだったのだろう。ふとそんなことを思いました。
 デジタル化はある意味必要でしょうが、私たちのデジタルに対しての意識はどうでしょう。
 電車に乗れば、ほぼみんながスマホの画面を見ています。何か調べようと思ったらインターネットを当てにします。今ではChatGPTに聞くと、まことしやかに文章が現れ、正しいかのような答えが返ってきます。ただ、新しいことを聞くと、「申し訳ありませんが、私の知識は2021年9月までのものであり、その後の情報は持っておりません」と返してくることもあります。「さまざまな観点から検討し、今後の可能性を鑑みてこの問題に対応します」と答えになっていない答えをよく聞くが、それと変わりないようでもあります。
 ChatGPTに関しては意見がさまざまで、これからの議論が待たれるが、日本政府は諸手を挙げて賛成しています。国民と議論をするなどの必要があると思いますが、あまりに無防備な姿勢に大丈夫なのかと疑問を持ってしまいます。
 日本社会はデジタル化が遅れているとの批判に対して、デジタル化があまりに早急なような気がします。急速なデジタル化のために、犠牲になっているものも多いと感じます。その一例がスマートメーターではないでしょうか。黙って取り替えたり、需要家とのコンセンサスを得なかったりしています。
 デジタル化が見えないうちに進み、支配されていくものも実は多くあります。スマホでサイトを検索すると自分に興味のあるものが次々と現れます。それは個人の嗜好のデータを集めて、この人はこれに興味があるはずだとコンピュータ側が予め予測しているからです。そして商品を買わせるように仕向けるのです。つまりは一日中スマホなどでネットを見続けていると、個人情報が集められ自然に支配されていくともいえます。
 何か事が起こると、ネットの書き込みも一つの方向に一気に流れるようにも思えます。支配する側の都合のいい情報だけ流して、知らず知らずのうちの、支配側の思うつぼとなりかねません。

デジタルやその依存のリスクを知る必要
 スマホやネットを否定するつもりはありません。私たちは、もう少し深くデジタル化についてしっかり考えなければならないと思います。そのことで電磁波に対する考え方もより見えてくると思うし、電気に依存しすぎない社会になれば電磁波の発生源も減らせることもできるのではとも考えます。
 デジタルリテラシーという言葉を調べてみると、デジタルのソフトとハードをいかに使いこなすかについてのみ記述されています。しかし、もう一歩踏み込んでデジタルのリスク(セキュリティではない)やデジタルに完全依存することの盲点などについても知っておくべきだと考えます。昔はよかったなどのノスタルジーに浸らずに、しっかりデジタル化を見据えることで、電磁波との付き合い方もヒントになることがあると考えます。【鮎川哲也(電磁波研事務局)】

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