中高生52万人を蝕む「スマホ亡国論」 ~スマホ熱中で若者が壊れていく!~

 『文藝春秋』3月号で久里浜医療センター院長の樋口進氏が「中高生52万人がネット依存症の疑いがある」と警告しています。

学校に行けない重症患者
 昨年内閣府が発表した調査によると、中学生の25%、高校生の56%がスマホを持っているという。その1年前の調査では、中学生の5%、高校生の7%がスマホ所有率だったので、1年でいかに急速にスマホが普及したかがわかります。
 樋口氏が院長を務めている久里浜医療センターは国立病院機構で、アルコールや薬物の研究と治療で知られた専門病院です。
 久里浜医療センターには全国に先駆けて「ネット依存専門外来」が2011年に開設されました。すでに開設わずか2年で250人以上を受け入れ、予約は7カ月待ちです。外来に来る人は圧倒的に未成年が多い。そこで、喫煙や飲酒調査に「ネット依存」の調査をつけ加えてもらったら、冒頭の「中高生52万人が依存の疑い」という推計が出たのです。
 重症の子は学校に行けなくなり、身体を壊してしまいます。

依存の自覚がなく、治療法も未確立
 スマホ依存はまだ疾患の輪郭がはっきりしていませんし、日常的使用法と依存の境があいまいです。だから自分が「依存症」だという認識がないケースが多いのです。でもこのまま放置すれば深刻な社会問題になる、と樋口氏は危険性を感じています。依存の疑いが強い中高生の59%は「睡眠の質が悪い」、68%が「気分が落ち込むことがある」と訴えています。学校に行かなくなったり、取り上げると暴力をふるうケースも少なくありません。
 一般的に依存状態とは、自分の意志でコントロールできない状態をいう。アルコールや薬物の依存患者には心の中で「葛藤」があり、それが治療に向かう力にもなります。しかし、ネット依存の患者にはその「葛藤」がないため、治療法も確立していません。
 「葛藤」がない理由は、患者が未成年が多く精神的に未発達であることです。現実世界での経験不足からネット上のバーチャルなアイデンティティに固執する傾向が強いと思われます。日本でも必要な対策をとるべきです。【大久保貞利】

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