被害者の声に背を向けた臆病判決 10月17日、延岡基地局訴訟で住民らの請求棄却

 全国の基地局問題に取り組む住民たちから注目されていた宮崎県延岡市の基地局訴訟で、10月17日、宮崎地裁延岡支部は住民の操業差止請求を棄却する不当判決を出しました。電磁波問題市民研究会はこの判決に対し、後掲の通り「声明」を出しました。

「ノセボ効果」とはひどい
 判決は、症状は被害者のうそとは考えらず、基地局稼働後に発生したと認めています。それでいて基地局電磁波との因果関係は認めないとしています。その理由づけとして、電磁波を受けているという思い込みが症状を引き起こす「ノセボ効果」や反対運動で症状意識が増幅された可能性があるとしています。ノセボ効果とは、偽薬でも効くと思いこむと効いてしまう「プラセーボ効果」のように、思い込みが症状を引き起こす効果のことです。反対運動が症状を増幅させたというに至ってはなにをかいわんやです。症状を訴える人が先に多く出たにもかかわらず、KDDIが誠意もって対応しないから住民たちは提訴せざるをえなかったのです。その逆ではありません。

10月29日に住民たちは控訴
 裁判官たちは現地聞き取り調査もしました。それでもなおこのような不当判決を下したのは、基地局被害を認め操業停止判決を出した場合の国内外への影響を考ええ、その影響の大きさにたじろぎ臆病になったためです。被害の事実に目をつぶり自らの保身に走った判決です。
 10月29日、住民原告と原告弁護団は福岡高裁宮崎支部に判決を不服とし控訴しました。被害者たちの苦しさを思うと、胸が痛みます。裁判所は逆に「基地局と症状は関係ない」ことを科学的に立証すべきです。支援活動を続けましょう。【大久保貞利】

延岡不当判決への声明

 2012年10月17日、宮崎地裁延岡支部は延岡市大貫町の住民がKDDIを相手取り携帯電話基地局の操業差止めを求めた訴訟で、住民原告請求を棄却する判決を行った。
 延岡大貫の基地局裁判は、基地局から発信される電磁波により周辺住民に健康被害が出ていることを争う日本で初めての裁判であり、その判決は全国の基地局反対運動に取り組む住民たちから注目されてきた。
 しかるに判決は、基地局設置後に住民の訴える耳鳴りや頭痛、鼻血などの症状が実際に出ていることは認めておきながら、その原因が基地局の電磁波かどうかは現時点で科学的な裏付けがない、として住民の請求を棄却した。
 症状があるのにそれが基地局電磁波と関係するとは限らない理由として、判決は「電磁波を受けていると思うことが症状の出現の引き金に十分なりうるというノセボ効果」や「反対運動を通じて、電磁波の健康被害の不安を意識したことや、被告の対応に対して憤りを感じたことにより、症状に関する意識が主観的に増幅されていき、重くとらえるようになった者がいる可能性がある」としている。つまり、思い込みや反対運動により症状意識が主観的に増幅されたため、というのである。
 原告側は、具体的な原告意見陳述、医師証人の書面尋問、延岡で起こっている症例は国際的な調査で示された症候群と同様であること、等々証拠を積み重ねて来た。ところが判決は、反対に「思いつき」であることの立証はしないで判決を下した。
 このことは、徳田靖之原告弁護団長がコメントしているように「原告の請求を認めた場合の国内外への影響を裁判官を考慮し、“結果の重大さ”におびえた結果」であり、臆病な判決以外のなにものでもない。
 原告側は10月29日、福岡高裁宮崎支部に控訴した。
 私たち電磁波問題市民研究会は、全国の仲間とともに延岡大貫の原告たちの勇気ある、そして正義の闘いを全面的に支援する。

2012年11月25日
電磁波問題市民研究会

カテゴリー: 携帯基地局, 裁判 

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