ロシア当局が携帯電話の子どもへの影響について決議

 ロシア非電離放射線防護委員会(RNCNIRP)は3月3日、「携帯電話からの電磁場:子どもたちとティーンエイジャーに対する健康影響」を決議しました。
 決議は現時点の見解と科学的なデータを考慮して、2001、04、07、08、09年のRNCNIRP決議を発展させたものであり、科学者の見解を立法・行政当局へ示すとともに、公衆・携帯電話利用者への普及も図るものであるとのことです。
 この決議の一部を以下に抜粋・要約します。

 ロシア世論調査センターの2010年の調査によれば73%の人が携帯電話使用が健康に影響を及ぼすかもしれないと考えている。
 2001年以降、RNCNIRPは携帯電話からの電波(RF EMF)による子どもたちの健康影響について調査していて、健康影響の可能性について懸念を抱いている。RNCNIRPのこの立場は、ロシア連邦の強制力を持つ法令「陸上移動無線通信手段の配置と運転の衛生学的要求」を考慮している。
 2008年4月に、RNCNIRPは携帯電話使用の子どもたちへの長期的及び短期的影響についてレビューした。特に、知的能力と認識力の減退、てんかん発作、後天性痴呆、大脳神経構造変質について調べた。臨床研究は電波への慢性曝露が境界型心身障害につながる可能性を示した。2010年にロ
シア内外の査読付きジャーナルに発表されたいくつかの論文は、電波曝露による免疫系の反応を示した。
 携帯電話使用が引き起こす可能性があるとRNCNIRPが特定した子どもの疾患の発症率が一貫して増加していることを、2009年、10年に公表された統計データが示している。たとえば、09年までに15~17歳の中枢神経系疾患が85%増加した。

 この決議は、名指しはしていませんが、おそらくWHOなどを批判している次の記載も、非常に興味深いと筆者は思いました。WHOの見解(の一部)をひきあいにするばかりで電磁波の健康問題に向き合おうとしない日本政府との違いが際だっているからです。

 携帯電話の取扱説明書に記されている携帯電話についての安全宣言は、概してロシア国外で登録されている公共団体の勧告に基づいているが、それらは、起こり得る健康影響に対して法的にも道徳的にも責任を持っていない。それらの勧告は古くて、現在の携帯電話電波の曝露状況ともはや一致していない。

 そして、決議は、子どもとティーンエイジャーを守るための優先施策として、以下のことなどを挙げています。

  • 携帯電話などの本体に、これが電波の発信元であることを表示すること
  • 携帯電話などの取扱説明書に、有害な電波発生源であることを掲載すること
  • 18歳未満の携帯電話使用は推奨できない
  • 妊婦による携帯電話使用は推奨できない
  • 学校で携帯電話使用とそれによる電波曝露について学ぶコースが必要

【網代太郎】

出典:RUSSIAN NATIONAL COMMITTEE ON NONIONIZING RADIATION PROTECTION “ELECTROMAGNETIC FIELDS FROM MOBILE PHONES: HEALTH EFFECT ON CHILDREN AND TEENAGERS”

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