インドでの調査 携帯電話基地局、多くの住民にとって安全ではない

『テルカ誌』の驚くべきレポート
 インドの都市には、いまや危険と死が潜伏している! 最近の『テルカ誌』(Tehelka magazine)に掲載されたレポートを仮に信じるとすれば、デリー市の住人の約5分の4は、市内の住宅地に野放図に設置された携帯電話基地局から発射される、潜在的に危険な電磁波放射線(EMR)を浴びて暮らしていることになる。
 携帯電話基地局(タワー)がいかに市民の生活を健康面で危険に曝しているか調査する目的で、インドの首都デリーでテルカ社が音頭をとって、多くの人が関心を抱いている放射線調査が実施された。今回の調査は、テルカ新聞 (the Tehelka newspaper)の依頼で、放射線の安全問題に取り組んでいるデリーに本社があるコージェント (Cogent) が実施したものだ。

デリー市内の100箇所を測定した
 2010年5月前半に、デリー市内の100箇所が選ばれ、研究のために測定された。研究結果は不安を実際にもたせる内容だっだ。そのハイライトを以下列挙する。

  • デリー人口の約5分の4は,放射線レベルが“ボーダーライン”“安全じゃない(unsafe)”“特に異常(extremly anomaly)”のどれかである、安全とはいえない地区で暮らしている。
  • 100箇所のうち40箇所は、放射線レベルが“特に異常”であった。40箇所のハイリスク地区は安全限界の7倍も放射線が測定された。40箇所の中には Connaught Place や Khan Market(市場) や Safdarjung Hospital(病院)や デリー警視庁やISKCON寺院やModern School in Vasant Vihar(学校)が入っている。
  • 31箇所は“安全じゃない”地区で、9箇所が“ボーダーライン”だった。“ボーダーライン”の中にはAIIMS や PM’s residens(住宅街)が入っている。
  • わずか20箇所が安全と判断された。その中にはソニア・ガンジー国民会議議長の住居やデリー市長セイラ・ディクシットの住居が入っている。
  • デリーの5分の1の住宅とオフィスが安全あるいは危険でない地区だが、偶然かもしれないが、その中に特に重要なVIP地区が入っている。
  • 毎年10月に開かれるイギリス連邦競技会は、12日間以上にわたって競技が繰り広げられるが、競技会場は放射線曝露が“最もリスキー”な場所にある。

第二の都市ムンバイの大混乱
 電磁波災害はムンバイも襲う。2004年に、ムンバイの Ulhasnagar 地区にある Panchratnaアパート団地のテラスに、1本の携帯タワーが建てられた。2005年以降、そのアパート団地で4人がガンになり、それ以外にも、数人が疲労、偏頭痛、不眠症を訴えた。そのため、アパート団地に1ヵ月につき3万ルピーが支払われた。金が支払われたために、アパート住民は不満であっても携帯タワーの移転は要求できなくなった。
 もう一つの事例として、アジアで一番大きいスラム街である Dharaviの近くに、巨大な通信タワーが見える。その近くに携帯タワーも数本建っている。携帯タワーからムンバイの多くの住宅地に向かって、無造作に電磁放射線EMR)が発射されている。
 健康被害をもたらすという考えは全く関係無く、電離放射線は撒き散らされている。デリーの調査を手本に、ムンバイでも調査が実施された。その調査によれば、ムンバイ住民の大多数は“安全でない地域”(unsafe zone)で暮らしている。そのため、Pancharatna アパート団地と同じように携帯タワーのEMRが原因で、市内の数ヶ所で集団がん発生がおこっているようだ。

死の鐘-何が悪いのか?
 テルカ・レポートによれば、デリーの非核種放射線(訳注:「非電離放射線」の意味と思われる)レベルは安全範囲をはるかに越えているようだ。このことは、行政当局が全く規制もせずに、放射線を撒き散らす非合法な携帯タワーを、都市のどこにでも建てることを許可しているためである。
 インド人は、最近10年の間に携帯電話を大いに使い始めた。多くの人は、通信電話のハザードに対して、ほとんど無視するか無関心で見過ごしてきた。放射線は見えないし感じないからだ。それが、大気や水や騒音などの公害汚染と違うところだ。
 携帯電話タワーから出る放射線は、タワーの半径300メートル以内に住む住民に、有害な影響を与えると、パイロット調査は指摘している。論破できない位な証拠でもって、研究報告でさらに証明がされたたならば、EMRは生活と生命を脅かすナンバーワンの病気に、とってかわるであろう。

携帯電話ハザード
 インドでは、携帯電話は各層各階級を問わず普及している。いまや、それこそ魚屋からインテリまで、若い人から老人まで、携帯電話を使う。
 携帯タワーが、健康にとってハザード(危険)なものであることを、私たちはすでに知った。しかし、携帯電話がガンの原因であることを私たちは見逃してきた。携帯電話ユーザーが懸念するに十分な研究結果が、既にいくつも出ている。
 米ピッツバーグ大学がん研究所チーフのロナルド・ハーバーマン博士は、過度な携帯電話の使用に警告を最近発した。特に若い人に対して。
 携帯電話はラップトップ型コンピュータと同じく個人用の通信手段だが、900メガヘルツか1800メガヘルツの無線周波数を使い、基地局ネットワークを介して電波を送受信する、低出力の機器だ。携帯電話は1ワット~2ワット程度の高周波エネルギーを発する、無線送信機を内蔵する。そして、高周波エネルギーは電話内部のアンテナから発せられるので、電話を通話中に頭の近くに持つと、かなりな量のエネルギーが頭に吸収される。

高周波電磁放射線の影響
 国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)によると、無線周波数(高周波)放射線(電磁放射線の1種)曝露による唯一証明された効果は、細胞温度を上げるということだ。温度上昇がたいしたことのない範囲では、身体に備わっている温度調節機能で調節される。しかし温度上昇が大きい場合は、ラットや人間に次のような現象が起こる。

  • 細胞ダメージ
  • BBB(脳血流関門)への浸透
  • 神経筋肉機能の変調
  • 疲労感
  • 集中力低下
  • 水晶体混濁/白内障
  • 精子減少

 高周波電磁放射線に常時曝露されると、疲労高血圧・頭痛・いらいら・不眠・消化機能障害・低血圧・筋肉がぴくぴくする・神経心臓疾患・男性不妊・ガン、等がますます症状が出てきていると医師たちは見ている。

研究結果が明らかにしていること

  • 南ドイツ・ナイラ市の医師たちが行なった携帯電話放射線の健康ハザード影響評価研究では、基地局周辺に住む住民のがん発症が増加しているとしている。
  • スウェーデンの総合的研究では、携帯電話を多使用すると脳腫瘍リスクが240%になることを立証した。この場合の多使用とは1日当たり1時間で10年以上使用または2000時間使用である。
  • 別のスウェーデンの研究グループの研究では、子どもの携帯電話長期間使用と小児白血病の関係を立証した。
  • インドのデリーにあるジャワハラーラルネルー大学(JNU)の研究者たちの研究は、20匹のラットを使ったパイロット研究で最近発表された。その研究では、携帯電話放射線がDNAを損傷し、精子を減少させるとしている。
  • テルアビブ大学の疫学調査では、耳下腺腫リスクが50%増加している。
  • 米国リプロダクティブ医学学会は精液の質が顕著に悪化していることを発見した。また、研究結果では、精子数・運動性・生存力・精子量のどれも、長期間連続で携帯電話を使っている人には減少、低下しているのが明らかになった。
  • 研究によると、妊娠女性への電磁放射線リスクは増大している。
  • グルーナナック大学人間遺伝子科が行なった研究では、携帯電話から出る無線周波数(RF)電磁波を曝露すると、認識、生理学、認識学、行動学、神経学上と行動学上の変化、につながるDNAと染色体の損傷が増加することがわかった。

【訳・渡海伸】

原文:Dr. Reeja Tharu”Cell Phones and Cell Towers – Are They Transmitting Death?”2010年6月14日Medindia


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