講演と診断デモンストレーション「歯科医からみた電磁波障害」

 歯科医師の藤井佳朗先生(新神戸歯科)をお招きした「歯科医からみた電磁波障害」を6月27日、電磁波問題市民研究会の主催により東京都中央区浜町区民館で開き、約50人が参加しました。身の回りの電磁波の影響で健康障害が起きている方々を藤井先生が診断、治療している模様のビデオを上映しながらの、強烈なインパクトのご講演でした。診断デモンストレーションは希望した約10人全員が受けることができました。
 藤井先生は、もともと歯の噛み合わせの治療(咬合治療)に取り組んできました。歯は食べるためだけにあるのではなく、全身を支えるためにあるといいます。歯の噛み合わせは、全身の骨や筋肉と密接な関係があり、噛み合わせに異常があれば全身に影響が及ぶとのことです。噛み合わせの調整により、腰痛、頭痛、肩凝り、膝痛などの不定愁訴や、痴呆症、リウマチ、寝たきり、脳血管障害による半身麻痺などの高齢者疾患、膝関節症、顎関節症、自律神経失調症、さらにスポーツ分野の治療などに、藤井先生は取り組んできました。
 しかし、従来の治療では治らない患者が増えてきたことから、あるアトピー患者の治療をきっかけに、藤井先生は電磁波による体調影響に注目するようになりました。
 先生のご講演をすべて掲載することは紙幅の都合上できませんので、抜粋・要約して、以下にご紹介します。先生はビデオを上映しながらご講演され、この記事の< >内はビデオの内容についての説明です。【網代太郎】

 皆さんこんにちは。今年6月4日の「虫歯の日」にテレビのBS11チャンネルの番組「歯と身体の健康」に出演しました。テレビ局は「電磁波の話は出すな。出したら放送しない」と言われました。マスメディアからの取材は時々受けますが、電磁波とアマルガムの話はせんといてくれと言われ、タブー視されています。
 もともと僕は電磁波に興味はなかったのです。噛み合わせのことばかりやっていました。その時の話から、まず見ていただきたい。

寝たきりの女性がマウスピースで立つ

 <1995年3月撮影。寝間着姿の女性患者>この方は若いのに寝たきりでした。関節が悪くて立つことができなかったので、往診しました。
 <藤井医師が作った噛み合わせ調整のためのマウスピースを女性が着ける>これを入れると、痛くなくて、すぐに立つことができました。
 <女性がマウスピースを取る>これを取ると、激痛が走って立てなくなるわけです。
 <同年4月撮影の、同じ女性>1週間後、寝間着じゃないですね。リハビリもしていないのに、歩けるようになりました<藤井先生の「痛くないですか?」の問いかけにうなずく女性>。
 <1994年11月撮影。別の女性>この方も関節が痛くて「障害者」でした。<ビデオの中で女性は立とうと足を踏ん張るが、立てない。両手も上げられない。藤井医師がマウスピースを入れると、立った。マウスピースを外すと「痛い」と言って立てない。再び入れたら、立った>。
 <同年12月撮影。同じ女性が廊下を一人で歩く。手を上げられるようになり、「顔を洗えるようになった」と言う>
 <1995年11月撮影。別の女性が他の人に支えられながら歩いている>脊髄小脳変性症という進行性の病気で、バランスを崩してどんどん歩けなくなってしまいます<総義歯の上にマウスピースを装着後、自分で歩く。笑顔の女性>。
 <1995年12月撮影の同じ女性。よろつきながらも、後ろ歩きする>病気が良くなると、やっぱり髪型や服がおしゃれになりますね。
 こういう治療を行えば社会の役に立つと15年前からずっと言ってきたけれど、こういう治療は普及していないでしょ。そこに日本の社会の閉鎖性があるわけですね。縦割りとか権威主義がはびこっているわけです。

電磁波の影響に気付いた症例

 こうやって、かなり効果を上げてきました。ところが7、8年ぐらいから、治療がうまくいかない例が増えてきました。なんかおかしいぞということで、これは電磁波ちゃうかということになってきました。15年前は携帯電話をそんなにみんな持っていませんでしたからね。
 身をもって電磁波の被害を受けた人は、電磁波が悪いことが分かりますが、それを分からない人に説明するのは、なんか幽霊の話をするみたいでイライラしてきますね。
 <1999年7月撮影の女性>この人はアトピーで、ステロイドを使わずに治療する病院に入院し、食事療法を主とした治療を行い、はっきりと改善してきました。退院後、同じように食事療法を続けましたが、アトピーがぶり返しました。私が「入院中と今と、何が違う?」と尋ねたら、患者は「あ、そう言えば、病院では携帯電話を使わせてもらえませんでした」と言ったんですね。私は「もしかしたら携帯電話でアトピーが悪化したのとちゃうかな」と思って、この実験をしたのです。私が初めて携帯電話に注目した症例でした。
 <ビデオの女性は直立し、携帯電話を持つと体がよろめいた。携帯電話を置いて再度直立し、再び持つと、やはり後ろへよろめいた>この症例の3年後ぐらいに、京都の木俣肇先生が、携帯電話の電磁波がアトピー悪化の要因になるという論文を発表され、私は「やっぱり、そうやったんか」と思いました。その論文は日本では無視同然でしたが、イギリスの雑誌に発表されてから高い評価を受けて、スウェーデンのカロリンスカ研究所から勉強しに来ないかと誘いがかかったそうです。世界から評価される論文が日本では抹殺される。恐ろしい国なんだな、ということが分かったわけです。

携帯電話で体がよろめく

 <藤井先生の講演会。背後から携帯電話を近づけられた女性が前によろめいた。携帯電話を近づけた状態でO-リングテストを行うと、指が開いた>「O-リングテスト」というのは、その人の体にとって悪いものによって脳血流が下がり握力が低下して、2本の指で作った「O」が開くのだと思ってください。携帯電話でどのくらいの距離まで影響するかという実験です<携帯電話を女性から少しずつ遠ざけ、約10m離すと指が開かなくなった>。
 <別の講演会。女性の前から携帯電話を近づけたら、後ろへよろめいた。ビデオの中で藤井先生が「たとえば、この人が電車をホームで待っているとします。だれかが携帯電話を使ったら…」と言いながら、携帯電話を持ってその女性の後ろへ行くと、女性が前へよろめいた。藤井先生が「自殺しちゃいました、この人」と言った。どよめく会場。本人に携帯電話を持たせても、体がよろめいた>
 携帯電話などの電磁波で体が揺れるのは、だいたい5~6人に1人は起こります。だから、電磁波問題の運動をやるなら、駅ホームでの携帯電話禁止を求める裁判をやってはどうか。裁判で負けても、他の人たちが自分で試して「ほんまや」と気付く。知らしめれば勝ちです。

口の中の金属が電磁波を“受信”

 <パソコン(液晶画面)の前に立つ女性のビデオ。体が左右にふらついている。藤井先生が「(電磁波が)気にならなくなるまで下がってください」と言うと、女性はパソコンから約3m離れた。もう一度パソコンに近づいてもらい、体が揺れている時に、パソコンにアルミホイルをかけると、女性の揺れが収まった>アルミホイルで磁場は遮断できませんが、電場は遮断できます。遮断というか、散らしているという感じでしょうか。このようにアルミホイルで簡単に散らせそうだということが分かります。
 <再びパソコンから楽な距離まで離れてもらい、歯科衛生士がインプラントを女性のすぐ前の床に置くと、女性はたちまち顔をしかめ、体が揺れ出す>パソコンから離れると電磁波は弱くなるが、インプラントを置くと、それが中継基地とかアンテナのようになって、電磁波が来てしまうようだと分かります。
 <歯科衛生士がインプラントを同じ女性のすぐ後ろの床に置くと、やはり女性は顔をしかめ、胸を手でおさえた>心臓に影響が来ているように見えたし、実際に「胸苦しい」と訴えるので、装置を借りて心電図、脈拍をとったのですが、異常はありませんでした。今の医学ではとらえることができない異常です。脳波にも異常は出ません。だけど、実際に苦しんでいるんですよね。本人にしか分からない苦しみは、結局「異常なし」で片付けられてしまう。心電計を売っている人もこのビデオを見て「こら出るで!」と言って装置を貸してくれたのですが、異常は出ませんでした。ここらへん、電磁波は幽霊みたいなところがあります。O-リングテストは脳血流の低下を反映していると考えられていますが、脳血流を機械で測ろうとすると、機械から電磁波が出るので、電磁波がある状態とない状態を比較してデータを取ることがなかなか難しいのです。
 <パソコンにアルミホイルをかぶせてから、同じ女性のすぐ前の床にチタン製インプラントを置いたところ、女性は身体への影響を感じなかった。アルミホイルを取り除くと、女性の体はたちまち揺れ始めた。この女性はインプラントをしていて、これが電磁波を“受信”して慢性疲労症候群のような症状を引き起こしている可能性があったので、インプラントを取り除いた>インプラントは骨に埋めるわけですから、そんな簡単に取ることができず、骨ごと取らなければなりません。相当時間がかかる手術になります。
 <インプラントを取った後の同じ女性がパソコンに近づいたら、体は揺れなかった。しかし、パソコンと女性の間に、女性から取ったインプラントを置いたら、女性は大きくよろめいた。パソコンの液晶画面の前にコンロの油はねよけのアルミ板を立てると、体は揺れなかった>。

その人にとって良い金属も

 <別の女性。目隠しをして女性を立たせ、藤井先生が女性の前に横向きに立ち、右手に携帯電話、左手(女性と携帯電話の間)にアルミホイルを持つ。藤井先生が左手を上げて、女性と携帯電話の間にあったアルミホイルを取り除くと、女性の体が左右に揺れ始めた=写真>本人の気分としては、まっすぐ立っているつもりらしいです。<左手を降ろして女性と携帯電話の間を遮る位置にアルミホイルを戻すと、女性の揺れは止まった。再び左手を上げると、女性は左右に揺れ始め、再び手を下ろすと、揺れは止まった。しかし時々首を後ろに傾けた>首を後ろに傾けるのは、携帯電話からの電磁波ではなくて、これを撮影しているビデオカメラからの電磁波の影響らしいと、後で分かった。この女性は、虫歯が一本あったので、これを治しました。もちろん、O-リングテストで詰める金属の種類を決めます。電磁波の障害を出す金属と、障害を防ぐ金属がありまして、防ぐ金属を入れると、電磁波による反応が消えるのです<治療後の同じ女性。やはり目隠しをして立たせ、藤井先生が前から携帯電話を近づけても、体は揺れない>。

「テロリスト診断法」

 <別の女性のビデオ。ふらつきながら歩いている>数十年間フラフラしていた方です<段差を上り下りする時に、壁か床に手をつけないとできない。藤井先生が手を使わないで上り下りしてみるよう求めても、やはり使ってしまう。藤井先生がアルミホイルで女性の口の周りを覆った>これは(見た目から)「テロリスト診断法」と言います。これで良くなれば、口の中が怪しいということになります<女性は手を使わずに段差を上り下りした。藤井先生が「全然違いますな。やっぱり歯が原因かな」と言うと、女性は「私はそう思って、ここに来たんです」。この女性を立たせて藤井先生が携帯電話を近づけた>この人はふらつきはしないけれど、気分が悪くなりました。
 どの歯が悪いのかをO-リングで調べます。必ずしも金属の詰め物が悪いとは限らず、プラスチックが健康影響を起こすこともあります<藤井先生が「右上の一番奥の歯が一番反応が大きいんだわ。小さい金属やねんけど、たぶんアマルガムちゃうか。アマルガムは水銀が入っていて金属の中でも一番悪いんやけど」と女性に説明。除去時にアマルガムが飛び散ったり、それを吸わないよう、患者、藤井先生、歯科衛生師とも準備>このように十分に防護しないと危険です。毒物に指定されている水銀を口に入れるほうがおかしい。そういう国なんですよ、日本は。
 <アマルガム除去直後、女性が「すっきりしてきたな」と言う。藤井医師が再び女性を立たせて携帯電話を近づける。「何も感じません?」との藤井先生の質問にうなづく女性。口をアルミホイルで覆わなくても、手を使わずに段差を上り下りした>私は大学の研究者とは違うから、簡単で金のかからずにできる診断法を使っています。銀紙1枚で、安上がりでよろしい。しかし何億円の機械よりもすばらしいです。

電磁波による症状を抑えるサプリメント

 私は、こういう症状を防ぐ薬はないかなあと、いろいろな漢方薬のサンプルを取り寄せて調べたのですが、なかなか良いものがありませんでした。よく考えてみたら「中国4000年の歴史」とか言いますけれど、4000年でこんなに携帯電話を使った時期はなかったですし、そもそもこのような病気を対象にしていません。
 たまたま、タイの芋「プエラリア・ミリフィカ」(別名・白ガウクルア)が内分泌を活発にして美容に良い、シワがなくなると言われているのを聞いて、それから作った健康食品を試してみました。<壁に貼り付けた方眼の前に女性が立っている。体が左に傾いている>コンピューターの前に居るとしんどいとか訴えていました<この女性本人の携帯電話にシールが貼ってある>これは電磁波を防ぐとかいうシールで、このようなものがよく売られていますが、O-リングで調べると9割はうそっぱちですわ。<藤井先生が携帯電話を女性に近づけたら、体の傾きが大きくなり、よろめいた。藤井先生がインプラントを女性の胸元に貼り付けたら、携帯電話を近づけなくても体の傾きが大きくなり、よろめいた。藤井先生が「インプラントがアンテナになり、このへんの蛍光灯からの電磁波などを集めてしまうのでしょう」と言う。藤井先生がプエラリア・ミリフィカの錠剤が入ったびんを女性に近づけると、体の傾きが直ってきて、びんを遠ざけると、再び左に傾いてきた。プエラリア・ミリフィカを1錠飲ませたあと、体の傾きが改善した。藤井先生の「だいぶ楽?」の問いかけにうなづく女性。携帯電話を近づけると、やや左に傾いた。インプラントを胸元に貼り付けると、さらに左に傾いた。藤井先生が「きつい?」と尋ねたら、女性はうなづいた。携帯電話を近づけると、さらに傾いた。プエラリア・ミリフィカをもう1錠飲ませた。携帯電話を近づけたが、体はほとんど傾かなかった>。
 飲めば治りますが、時間がたてば代謝されて体からなくなり、症状が戻ってしまいます。だからこれは対症療法であり、できたら根本治療したいわけです。口の中が原因なら根本治療できる可能性があるので、対症療法で症状を抑えて、その間に原因を探すわけです。診断をする時には、薬やサプリメントを飲まないで来てもらいます。体を悪い状態にしてもらったほうが診断しやすいわけです。
 こういう電磁波社会になってしまったがために、かつては悪くなかったものが悪役になる可能性があります。みなさんも今日はなんでもなくても、明日は悪役にやられてしまう可能性がなくはないです。
 うちの歯科衛生士の一人が電磁波で症状が出ています<立っている歯科衛生士の前から別の歯科衛生士が携帯電話を近づけると後ろへよろめいた>。これは、ソフォン(赤ガウクルア)のサプリメントです<ソフォンを1錠手に持たせて、再び携帯電話を近づけると、揺れるが、よろめかなかった。もう1錠(計2錠)持たせると、揺れはわずかになった。この歯科衛生士が1錠を飲んだら、小さく揺れ、もう1錠のんだら、揺れは収まった。しかし、藤井先生が「何か感じる?」と尋ねると、「感じることは感じます」と答えた>。

電磁波で関節可動域が狭くなる

 <別の歯科衛生士。パソコンから数メートル離れた場所で前屈するが、手は床まで届かない>有害電磁波は関節可動域を減らしてしまいます。<ソフォン2錠を歯科衛生士のすぐ前の床に置いた。再び前屈したら、手が床についた。ソフォンを取ってから前屈させたら、また手がつかなくなった。ソフォン2錠を飲んでから前屈すると、手が床についた>。
 <藤井先生が若い女性の頭に、前から携帯電話を近づけると、女性の体が後ろに傾いた>この人は陸上選手ですが、試合に勝てないのです。レースを撮影しているテレビカメラからの電磁波の影響だと思います。この人は、頭が怪しいのです。<藤井先生がアルミホイルで前頭部を覆い、携帯電話を近づけてると、体は傾かず、その状態でアルミホイルを素早く取ると、たちまち体が揺れ出した。次に口をアルミホイルで覆って携帯電話を近づけたら、やはり体が揺れた>銀紙をあてる場所によって、体のどこで電磁波を受信しているのかが、わかるわけです。この人は口の中が原因ではなく、脳に重金属が沈着して、それで頭で電磁波を受信しているのではないかと思います。
 <中国パセリが入った容器を同じ女性に持たせてから携帯電話を近づけたら、体は揺れなかった>中国パセリは重金属を排出すると言われています。
 これはプエラリア・ミリフィカを化粧水に混ぜたものです<藤井先生がその化粧水を同じ女性の前頭部に塗り、携帯電話を近づけると、まだ若干揺れた。さらにたくさん塗り、再び携帯電話を近づけると、体は揺れなかった>頭の中の重金属は、頭蓋骨をかち割って洗うわけにはいかないので、プエラリア・ミリフィカの化粧液を塗って、あとは、中国パセリや海洋深層水などを飲んで、たまった金属を気長に出すしかないですね。もちろん食べ物によっては重金属が入っているものもあるので、無農薬の地場のものを食べるようにしないといけないと思います。

診断デモンストレーション

 藤井先生の講演の後、希望者約10名全員が、和気あいあいとした雰囲気の中で、藤井先生の診断を受けました。
 一人目の女性に横になってもらい、足がどこまで上がるかを藤井先生が調べると、左足に比べて右足が硬くなっていました。アルミホイルを口で覆うと、右足が柔らかくなって上がるようになり、外すと硬くなりました。藤井先生が口の中を見ると、入れ歯が1本あり、「これがあやしい」と言ってはずしたら、右足が柔らかくなり、入れ歯を入れたら、また硬くなったので、この入れ歯をこの女性と合うものに交換することが治療の方針となりました。あまりにも分かりやすかったので、当研究会事務局長の大久保は「サクラじゃないよね!」と言い、女性は笑いながら頭を大きく横に振っていました。
 2人目の女性は、口をアルミホイルで覆うかどうかで、関節可動域もO-リングも変わりませんでした。本人はインプラントによる電磁波影響を疑っていましたが、藤井先生は「電磁波はあまり関係なく、噛み合わせの問題かもしれない。今日は噛み合わせを調べる道具は持ってきていないので分からない」とのことでした。
 3人目は、電磁波過敏症の女性でした。携帯電話の電波が「つらい」といい、アルミホイルで口を覆っても「(電磁波が)くる」と言いましたが、お腹を覆うと「こない」とのこと。肝臓などに重金属などがたまっている可能性があるとのことで、ソフォンを持たせると、女性は「持っているほうが楽」と言っていました。

質疑応答

 数人の参加者が質問しました。
 都内の歯科医師が「電磁波障害を出す金属、抑える金属があるとおっしゃったが、具体的には?」と質問。藤井先生は(もちろん個人差があるが)良い金属は代表的には金、銀、鉄です。パラジウム、チタン、水銀は良くないです。ただ、24金(純金)は柔らかくて使えないので、他の金属との合金にしますが、パラジウムとかを混ぜてしまうと、意味がなくなる可能性があります。合金化した状態でO-リングで調べたほうがいいです。あと、詰め物の形としては、表面積を小さくします。凝った歯形彫刻をしない。なるべく球体に近いツルツルにしておいたほうが、電波が入りにくい」と答えました。
 「化学物質過敏症の患者も藤井先生の診療所に来ますか」との質問に対して、藤井先生は「電磁波過敏症の方は、だいたい化学物質過敏症にもなっていますから、化学物質過敏症の患者さんも多いですよ。そういう人の時は、口の中の薬品を消毒薬も含めて気をつけて、O-リングで調べてやります。うちは、診察室に入っても歯科医院のにおいがしません。薬品は密閉した容器に入れて、使う時だけ開けます。チェアの横にふたを開けたまま置いたりしていません。そんなことをしたら、うちの患者はひっくり返ってしまいます」と答えました。

藤井先生を応援する歯科医グループ

 この日は、藤井先生の活動を支援する「噛み合わせと全身との関連を考える会」のメンバーなどで、関東で藤井先生と同様の診療を行っている先生3名も、お越しくださいました。
 高橋博水先生(高橋歯科医院・港区南青山)
 白野茂生先生(白野歯科医院・横浜市鶴見区)
 原澤良之先生(原澤歯科・江東区牡丹)
 同会のメンバーは全国にいらして、ウェブに名簿が掲載されています。ただし、電磁波障害の治療等の場合、自費診療(健康保険が使えない)となってしまう場合が多いことを、あらかじめご了承いただきたいとのことでした。

アンケート結果から

 参加者にアンケートをお願いしたところ、19名にご協力いただき、評価は1名を除いて「とてもよかった」または「よかった」でした。
 他の1名の方の評価は空欄で、「(実験は)二重盲検でないと認められない。自分は化学物質過敏症・電磁波過敏症だが、過敏症と思い込んでいる人もかなりいると思う」とのコメントをお寄せくださいました。たいへんごもっともなご指摘だと思います。
 藤井先生がビデオでご紹介された実験の手法について、「科学的でない」と指摘される余地があることは、先生自身もご承知のことでしょう。先生の治療によって改善した患者がいるという事実を筆者は重視しますが、いろいろな意見、評価があることは、むしろ当然だと思います。しかし、あまり先入観を持たず、まずは、先生のご講演を聴き、先生と直接お話をし、あるいは診断を受けてみて、それから皆さんなりにご判断いただければと思います。
 今回診断デモンストレーションを受けた方で、それを参考に治療された方は、ぜひ経過をお伝えいただければと思います。
 また、電磁波問題市民研究会は、今年10月23日午後、池袋の「東京芸術劇場」で、再び藤井先生をお招きしての催しを開く予定です。

「電磁波と歯科金属との関係」がわかる医師が東京近郊にも「いた」!

ノンフィクションライター 古庄弘枝

 2009年9月、新神戸にある「新神戸歯科医院」の歯科医・藤井佳朗さんを訪ねて、「電磁波と歯科金属との関係」を取材した。そのときの個人的な感想は、「電磁波と金属との関係がわかる歯科医が、東京にもたくさんいたらいいのにな」というものだった。

 高校時代からの虫歯治療で、口の中に、たくさんのアマルガム(約10本)が入っている私は、「早く取りださねば」と思いつつ、歯科医に行くのに、二の足を踏んでいた。
 なぜなら、09年10月、スウェーデンで、電磁波過敏症の人たちの取材をしたとき、「アマルガムを取り外している時期と、電磁波過敏症になった時期が同じだ」と言った人が多かったからだ。つまり、「用心してアマルガムを除去しないと、それがきっかけで電磁波過敏症になる可能性がある」ということだ。そのため、「気になりつつ」、時間ばかりが過ぎていた。
 6・27「集会」の最大の利点は、会場に、「電磁波と歯科金属との関係がわかり、アマルガムを安全に除去できる『東京近郊在住』の歯科医師たちが参加していた」ことだ。私自身、「これで、やっと歯医者に行ける」という思いをつよくした。ところが、私と同じように「歯科医を探していた」人は多かったようで、藤井さんに紹介された「東京近郊在住」の歯科医師たちの名詞は、飛ぶように、参加者の手に渡っていった。
 また、当日、印象的だったのは、「診断デモンストレーション」を受けた人の全てが女性だったことだ。これは「電磁波過敏症の大半が女性」ということとも関係するのだろうが、電磁波に対して「より感受性が高い」のが、女性だということだろう。
 日本では、「O-リングテスト」を診察に取り入れている歯科医や医師はまだ少ない。しかし、「病名」さえまだなく、「発展途上」にある「病気」を治すには、「使えるものは何でも使う」という柔軟な姿勢が、医療者側に必要ではないだろうか。 
 その意味で、アルミ箔ひとつでさまざまな実験を行い、着実に「患者」を治す藤井さんのような「徹底した現場主義者」の存在が、今後ますます求められていくことだろう。

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