規制値以下の電磁波で酸化ストレス スイス専門家団体が公表

 スイス連邦環境局(FOEN)に対する諮問グループ「電磁界と非電離放射線に関するスイスの専門家グループ(BERNIS)」は1月21日、「電磁界による酸化ストレスの証拠はあるのか?」と題するレビュー結果の要約版を公表しました。2010~2020年に公表された動物実験、細胞実験の結果をまとめたものです。多くの実験が規制値以下でも酸化ストレスを引き起こすことを示し、既往症がある人や、子ども、高齢者などは、より深刻な健康影響を受ける可能性があると指摘しています。この結論部分をご紹介します。【訳・網代太郎】

出典 Newsletter BERENIS – Special Issue January 2021


 まとめると、動物実験の大部分と細胞実験の半数以上が、高周波電磁波または超低周波電磁波による酸化ストレスの増加の証拠を提供した。これは、規制値の範囲内で、曝露時間と線量(SARまたは電界強度)が異なる多くの種類の細胞での観察に基づいている。確かに、いくつかの研究は、方法論的な不確実性や弱点があり、曝露時間、曝露量、バイオマーカーの数、定量分析などの点で、あまり包括的ではない。これらの方法論的な弱点を考慮しても、低線量の電磁波曝露が酸化バランスの変化を引き起こすという傾向が明らかになってきている。生物や細胞は一般的に酸化ストレスに反応することができ、多くの研究では回復期を経て電磁波曝露に適応することが示されている。免疫不全や疾患(糖尿病、神経変性疾患)などの既往症は、抗酸化防御を含む身体の防御機構を損なうため、これらの疾患を持つ個人は、より深刻な健康影響を受ける可能性がある。さらに、この研究では、幼い人や高齢者は、電磁波によって誘発される酸化ストレスに対して効率的に反応しないことが示されているが、これはもちろん酸化ストレスを引き起こす他の因子にも当てはまる。これらの現象や観察結果をよりよく理解し、確認するためには、標準化された条件下でのより広範な研究が必要だ。

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