フランス政府機関、子どもへの影響で報告書 「電磁波曝露基準の再考を」

 フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は、高周波電磁波曝露による子どもの健康影響の可能性についての報告書を7月8日に公表しました。その報道発表は、高周波電磁波への曝露が子どもの認知機能と健康な暮らしぶりに影響する可能性があるして、親が携帯電話通話の頻度や時間を制限するなど、子どもが無線通信技術を適度に利用することを求めています。さらに、電磁波曝露基準の再考が必要との見解も示しました。
 報道発表「高周波電磁波への子供たちの曝露:無線通信技術の適度な、そして監督された使用のための要請」を紹介します。出典:Exposure of children to radiofrequencies: a call for moderate and supervised use of wireless technologies 【網代太郎、訳も。監訳・上田昌文さん(NPO法人市民科学研究室代表)】


 ANSESは高周波電磁波への子どもたちの曝露とその健康影響の可能性について本日、専門家の評価を発表しました。結論として、子どもたちには大人にはない特徴をもった組織もあることに加えて、形態学的にも、解剖学的にも、とりわけ体が小さいことのために、子どもは成人よりいっそう曝露されやすいことを当庁は強調します。新しい技術の利用が拡大して非常に幼い時から電磁界への曝露が始まっていますが、そうした状況下での子どもたちの曝露を減らすために規制値を変えるべきだとする一連の勧告がこれまでにも出されています。ANSESも同様の立場から、子どもたちにとって無線通信技術が適度に、そして監督のもとに使用されることを推奨しています。

 子どもたちを対象にした無線機器の市場での販売については、現行の規定が6歳未満の子どもたちの健康と安全を十分に守るものになっているかどうかを判定するよう、ANSESは当局から正式に依頼されました。国民からの意見聴取のために2015年6月9日から8月21日まで仮報告が当庁のウェブサイトで公開され、関心を持つ利害関係者からのコメントが集められました。

認知機能と健康への影響の可能性
 各国の科学文献の最新データに基いて当庁によって専門家の評価作業がなされましたが、子どもたちの行動、聴覚機能、発育、男女の生殖器系、免疫機構、全身的な毒性、あるいは発がん性または催奇形性に影響があるかどうかについては、結論付けることができませんでした。
 他方、当庁は、高周波電磁波への曝露が子どもたちの健康的な生活ができるかどうかと認知機能(記憶、実行機能と注意力)に影響する可能性があることを見出しました。しかし、健康的な生活ついて観察された影響は、携帯電話からの高周波電磁波より、むしろ携帯電話の使用(自体)に一層関係があるかもしれません。

高周波電磁波により早くから曝露される子どもたち
 曝露について得られているデータは、特に、非常に幼い子どもたちの間で、新しい無線通信技術の使用が強力に拡大していることを示しています。無線機器(タブレットPC、ネット接続玩具など)の使用が急速に進む中で、子どもたちが多種多様な場所に頻繁にでかけることができるようになってきたため、複合的な曝露が生まれています。
 加えて、子どもたちは今の大人よりもずっと若い年齢から自分の携帯電話を持っています。さらにこれまでの世代とは違って、子どもたちの大半は今日、より幼い年齢、そして、もしかすると子宮内での成長の段階から高周波電磁波の複合的な発生源に曝露されています。子どもたちには大人にはない特徴をもった組織もあることに加えて、形態学的にも、解剖学的にも、とりわけ体が小さいことのために、子どもは成人よりいっそう曝露されやすいことを専門家による評価の作業は示しました。

当庁による勧告
 こうした専門家の評価に基いて、当庁は以下に述べることが達成できるように規制を変えるべきだと勧告します:
・すべての無線装置、そして特に子ども向けのもの(タブレットPC、ベビーモニター、ネット接続玩具など)は、曝露レベルの管理と一般への情報に関して、携帯電話を管轄している規制と同じ規制が適用されねばなりません
・曝露規制値は、使用される無線通信機器にかかわらず、合理的に予想できる使用状態(例えばどの位置で体と接触させることになるか)にしたがって適用されます。

 以下も必要と思われます:
・一般住民、特に子どもたちの健康と安全を守るためには十分大きな安全マージンを保証することが必要だが、そのために電磁波の環境曝露制限の参考レベルを再考すること
・高周波電磁波で、すでに健康影響があると証明されている健康影響(熱作用)からの防護を目的に、個人向けの曝露制限として設定されているSAR値が、どのように妥当性があるのかを再評価すること。そして、使用条件(信号の使用、受信状況の良し悪し、使用方法(音声通話、データ通信など))に関わらず携帯電話ユーザの実際の曝露を表す、SARに代わる指標を開発すること

 特に携帯電話に関しては、「子どもの曝露を減らすためには、ほどほどに使用することが望ましく、ハンズフリーキットを用いることをおすすめしたい」と、以前にも行った呼びかけをANSESは繰り返しています。
 最後に専門家は、若者が携帯電話をひどく頻繁にかつまた不適当なやり方で使用することと若者の精神衛生上の問題(危険行動、うつ病、自殺願望など)との相関関係をハイライトしたいくつかの研究があることを確認しました。しかし、これらの研究から、観察された相関の因果関係を探ることはできませんでした。
 無線通信技術利用と関連した子どもたちの健康と社会心理学的影響(学校での学習、社会・家族との関係など)の評価、特に依存症的な行動や概日リズムの障害などのためにそうした影響が出ているのではないか、ということをさらに研究すべきであるとANSESは推奨しています。これらの問題に結論を出すことは保留しつつも、ANSESは、両親が自分の子どもに働きかけて夜間には携帯電話を使用せず、通話の頻度や時間も少なくするようにすべきだと勧告しています。

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