フランスで法律成立 保育園で無線禁止、過敏症の調査

訳・N.A.さん(会員、東京都)

 フランスで、公衆への電磁波放射を管理する画期的な法律が1月に制定されました。この法律は、以下のことを義務づけています。(1)
○保育所等で、無線LAN(Wi-Fi)等の禁止
○小学校で無線LAN等の機器は授業で使う時以外は停止させること
○携帯電話のどのような広告にも(イヤフォンのような)頭の被曝を選らす推薦を含めること
○Wi-Fiを提供しているすべての公共の場所は、入口にそのことを明示すること
○すべての無線機器は、無線機能をオフにする方法を使用説明書に明示すること
 この法律について報じる1月29日付ル・モンド紙の記事を、N.A.さんが訳してくださいました。原題は「Une loi pour encadrer l’exposition aux ondes」。【会報編集担当】


 

 2年を経て、無線技術(携帯基地局、携帯電話、タブレット)による一般で使われている電磁波の拡散を規制する法律が、2015年1月29日木曜日午前ぎりぎりに、国会の小さな(ニッチな)自然環境保護運動家(エコロジスト)グループを足掛かりとして、国民議会で可決された。UDI(国民独立連合…中道)は、ベルトラン・パンシェ(ムーズ県選出)を除いて棄権、UMP(国民運動連合)は、デジタル産業の開発への障壁だとして反対したが、この法律は過半数で可決された。
 様々な電磁波(無線周波数)の健康被害の可能性に対する予防策を、フランスで初めて制定したこの法律は、まさにいろいろな障害のただ中で、最初の要望が真剣に検討され、下方修正された結果だ。この法案は、ローレンス・アベイユ議員(ヨーロッパ環境(エコロジー)-緑の党)(バル・デ・マルヌ選出)によって、2013年1月に提出されたものだが、2014年1月の国民議会に戻す前に、社会党によって委員会に送り返され、表現を和らげた上で、2014年6月上院で再度削り込まれ、国民議会の、最初の上程で可決された。
 これら、さまざまな後退にもかかわらず、自然環境保護運動家(エコロジスト)グループは、法案をそのまま採決することにした。というのも、新たないくつもの遅れの原因になり、又間違いなく余分な時間を費やす原因にもなる事を避けるために。したがって、これは最終的で、アベイユ夫人は「政令は、これ以上待たずに実施されるでしょう」と喜んで語った。

制限を下げない
 最終的に、<<電磁波拡散に対する慎重・透明性・情報・協議に関するこの法律>>は、この分野のより厳しい管理規制の支持者と、あらゆる規制による障害に反対する携帯電話会社との折衷の法律であることが明らかとなる。現行の法律は<<全ての争点で完全なものではないと、エコロジスト議員は認めているが、しかし根本的な初期段階ではある。>>
 より重要な目新しい点は、公共の電磁波の拡散に対する<<節度(慎重)>>主義をフランスの法律に導入したことだ。もし効力があるとしても、この主義は、しかしながら、漠としていて、拘束力もない。
 そのため、周波数によって41~61V/mである拡散制限を、オリジナルの法案が目指していた<<合理的に可能な限り低く>>または0.6V/mへ引き下げることは、置き去りになっている。

特異な場所(携帯基地局)
 しかしながら、AFNR(国立周波数機関)は、毎年<<特異な場所>>の調査をしなければならない。特異な場所とは、つまり<<公共の電磁波の拡散が大幅に超過しており、国の基準値を守らせなければならない場所>>の事。電話通信会社は<<技術的に可能という条件の下>>6ヶ月以内に改善しなければならない。
 今日フランスにおける電磁波の平均拡散は、およそ1V/mになっている。しかし、フランスの代表的な16自治体を対象として携帯電話業務委員会(Copic)が行った研究(2013年発表)によると、たとえ90%のケースで0.7V/mを下回っていても、放射のピークにおいて<<最大出力10V/mを超えた>>例があった。ANFRはこれまで6V/m以上を特異な場所と見なしている。
 透明化については、今後、携帯基地局設置計画を事前に地方自治体共同機構の市町村長と議長に通達しなければならなくなり、その上で、義務ではないが、彼らは住民達と協議体制をとれる様になるだろう。その上、思慮深い、自制した携帯基地局の使用について関心を持たせ、情報を与えるキャンペーンをはるだろう。

託児所、保育園のWi-Fiは禁止
 この法律の中の一条項は、より幼い子供達に当てられている。<<3歳未満の子供達が活動し憩う場所>>つまり託児所や保育園では、無線を使った機器は禁止になる。その一方、冒頭のエコロジスト達が望んでいるのとは反対に、小学校では、Wi-Fiを使う事が認められている。しかし、それ(無線機器)は<<デジタル教育活動>>以外では使用不可にしなければならない。
 電磁波過敏症に苦しんでいる人々の、多くの場合劇的な状況が、初めて考慮される様になった。政府は、1年以内にこの問題に関する報告書を国会に提出しなければならなくなるだろう。
 携帯電話基地局の規制について、アンチ電磁波協会(Priartem)は、<<電磁波、その環境と健康への影響について初めて捧げられたこの法律の文言は、携帯電話や全ての無線を使用した機器の開発を規制する必要がある事を、法律ができる事により認識させる最初のものとして意味がある>>と説明している。まだ半分空なコップという考え方よりも、むしろ既に半分満たされたコップという楽観的な考え方をPriartemも好む。彼らの目には<<この最初の立法は、住民をより保護する為に、励ましになる>>と映っている。

人々をより慎重にさせる
 この法律は、電磁波発生源の急激な増加という状況下で効力を発する。4G(第4世代)という非常に大きな情報量の携帯電話では、特に意味を持つ。フランスで4G用に認可されている携帯基地局は、相当数にのぼると、ANFRは、2015年1月1日に発表している。また、1年前には12,525施設だったものが、現在無線を使用するあらゆる施設の統計は18,699に及び、そのうち15,424施設が稼働していると指摘した。
 たとえ、電磁波(無線周波数)が、健康への危険性を持つ可能性があるという科学的なコンセンサスがないにしても、多くの調査研究や忠告意見は、より慎重に考える方向に向かっている。
 世界保健機関(WHO)は、2011年、電磁波を<<発がん性有り>>の段階にランク付けした.2013年には、食・環境・労働に関する保健安全国家機関(Anses)が、次の事を忠告した。
 <<特に携帯電話に関して、電磁波にさらされる人々、とりわけ子供達、又、集中的に利用する人々に被曝量を制限する様>>強く勧め、<<携帯基地局から生じる通常の電磁波拡散を抑制する様>>強く勧告した。

(1)パワーウォッチ”05/02/2015 – Wifi banned from nurseries in France”


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