フランスの裁判所 再びスマートメーターを禁止

訳・武藤由紀子さん

 フランスの裁判所が昨年11月、電磁波過敏症の女性の住居に設置された水道のスマートメーターが女性の症状を悪化させたとして、このメーターを撤去するよう命じる判決を下しました(会報第106号既報)。それから10カ月たった今月9月、フランスの同じ裁判所で、過敏症の男性の家へ電気のスマートメーター(フランスでは「リンキー」と呼ばれる)を設置することを禁じる判決を下しました。出典La justice interdit la pose d’un compteur Linky et condamne Enedis


司法はスマートメーター「リンキー」の設置を禁じ、エネディス社が敗訴
ネクストアップ提供資料より

 フランスでほぼ独占的に配電事業を行っている、(株)エネディスへの反対運動が実り始めている。
 フランス南東部の都市、グルノーブルの地方裁判所は、2017年9月20日の判決でエネディス社に対し、住人の息子が電磁波過敏症をもつ家庭に電気用スマートメーターを設置することを禁じた。
 このグルノーブル地裁ではイゼール県在住のある夫妻と、エネディス社との裁判が行われていた。
 2015年末、エネディス社はこの夫妻に従来のメーターから、「リンキー」の名で知られる遠隔計測可能なスマートメーターへの変更予定を通知したが、息子が電磁波過敏症である夫妻はこれに反対した。
 夫妻の要求は次の3点である。
1)無線を使用しているリンキーの設置を禁止すること。
2)従来のメーターの使用継続で問題がないと認めること。
3)エネディス社は夫妻に800ユーロを支払うこと。
 エネディス社側はこの要求を拒否。その根拠として、
1)夫妻の息子は電磁波過敏症であったとしてもその明らかな症状を発症してはおらず、予防措置であること。
2)息子は夫妻と同居していないこと。
を挙げ、明らかな違法性や差し迫った危険性が無いため、この訴えを取り下げるよう求めていた。
 これについて裁判所は、原告の息子は医者によって電磁波過敏症であると診断されており、その状況では全てのスマートメーターの設置を避けるべきであるとの考えを示した。
 この訴えにおいて夫妻は息子の法定代理人ではなく、また同居もしていないが、疑いの残るスマートメーターを設置した自らの住居に息子を迎える可能性がある以上、訴えを起こす権利があると認めた。
 そして差し迫った危険を避けるため、または明らかに違法なトラブルを避けるためには、現状の維持や元の状態への復元措置を命じることも可能であるとし、スマートメーターが発する電磁波が引き起こすリスクは限られた人にのみ関するものであったとしても、科学的根拠が確立されていない現状においては完全には否定できないとした。
 夫妻の息子は問題となっている住居に同居していなくとも、家族である以上定期的に出入りすることは考えられ、リンキーの設置によって明らかに違法であると認識できる健康被害を受けることもあり得る。さらに電気使用量の計測は従来のメーターのままでも可能であるとして、裁判所はエネディス社に夫妻の住居へのリンキーの設置を禁じ、訴訟費用の負担と夫妻への800ユーロ(約10万円)の支払いを命じた。
 エネディス社の主張に反して、リンキーが無線で交信していることを司法が考慮したのは注目すべき点である。さらに注目したいのは、今回勝訴に導いたのが、ジャン=ピエール・ジョセフ弁護士であるということで、彼は1年前にも水道用スマートメーターの撤去に関する裁判で勝訴した人物である。


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