各国で広がる5G異議申立

 海外各国で5G電波への異議申立の動きが始まっています。

ブリュッセルが5G一時停止
 前の記事で見たとおり、ベルギーのブリュッセル首都圏地域政府のフレモー環境大臣は、5G導入が現在のところストップしていることを表明しました。
 ウェブサイト「Environmental Health Trust」によると、フレモー大臣はブリュッセルの電波規制値を6V/mから14~15V/m(52~60μW/c㎡)に上げたいと考えていました。しかし、環境団体がこれに反対して司法手続を開始しました。また、調査の結果、基準値を高くしても5Gアンテナはその設計上、その基準値を超えないことを保障できないことが明らかになりました。その後、環境大臣は5G中止を表明しました。

参照:
・Environmental Health Trust, Brussels Belgium And Municipality XII Of Rome Action On Wireless 5G Antennas

スイス州議会が一時停止決議
 スイスもICNIRPの国際指針値より厳しい電磁波基準値を設けている国です。日本経済新聞によると、スイスでは4月17日、通信機器大手エリクソンと通信大手スイスコムが5Gの商用サービスを始めました。ヨーロッパでは初の本格的な5G商用化とのことです。
 同時に5Gへの反対運動が起きていると、スイス公共放送協会国際部のウェブサイト(swissinfo.ch)は伝えています。同サイトによると、ヴォー、ジュネーブ、ヌーシャテル、ジュラ各州が5Gの一時停止を検討、または事実上導入してきたのに続き、ベルン、ザンクト・ガレン、シュヴィーツ各州の議会も近くこの問題に対処する予定とのことです。
 これらのうちヴォー州議会は4月9日、5Gの一時停止を求める決議を採択しました。5Gによる健康影響などに関するスイス連邦環境庁の報告を受けるまで、中止されるべきとしています。ヴォー州はスイスで3番目に大きい州(ウィキペディアによると人口約77万人)で、州都はローザンヌです。緑の党ヴォー州支部のアルベルト・モッチ代表は「5Gを根本的に拒絶するわけではない。現時点で、この技術が健康にどれだけ影響を及ぼすのか十分な情報がないことが問題」と話しています。
 ウェブサイト「20min」によると、ジュネーブ州議会には4月10日に5Gの一時停止を政府に申し立てました。
 AFP通信によると、首都ベルンでは5月10日に抗議行動が行われ、参加者らは「ストップ5G」「人類とハチと木のため」「5G問題には、気候変動よりもっと熱くならないと」などと書かれたプラカードを掲げて市内を行進しました。

参照:
・日本経済新聞のウェブサイト, 2019.4.17, スイス通信大手、欧州初の5G商用化 エリクソンと
・swissinfo.ch, 2019.5.10, 5G商用化が進むスイス 沸き起こる不安
・AFP, 2019.5.16, スイスで5G反対運動
・Take Back Your Power, 5G: Vaud (Switzerland) Adopts Resolution for a Moratorium
・20min., 2019.4.11, Genf stoppt Bau von 5G-Antennen

ローマの行政区が5Gに反対
 イタリアの首都ローマ市の第12区は3月、市による5Gプロジェクトへの反対を決議しました。決議は電磁波曝露の基準値を上げないことなども求めています。ウィキペディアによると、ローマ市には19の区があります。

参照:
・Environmental Health Trust, Brussels Belgium And Municipality XII Of Rome Action On Wireless 5G Antennas

米・カナダで5G抗議の一斉行動

5G Day of Action。ノースカロライナ州ダラムにて(Americans for Responsible Technologyのフェイスブックより)

 米国とカナダの各地で5月15日、5Gへの抗議行動「5G Day of Action」が行われました。「責任ある科学技術のための米国人(Americans for Responsible Technology)」という団体が呼びかけ、30以上の地元団体が参加。5G電波リスクについての意識高揚と、5Gで利益を得る者たちにプレッシャーを与えることを目的に、米国カリフォルニア、ハワイ、イリノイ、メリーランド、マサチューセッツ、ミシガン、ノースカロライナ、ニューヨーク、ワシントン各州、カナダのブリティッシュコロンビア州などで、市民が抗議の声を挙げました。数十のニュースメディアが、この運動を報じました。
 これらのうち、カリフォルニア州サンラファエルでは、小雨の中「5Gを私たちの家から遠ざけてください!」「意図しない被曝をやめてください!」というプラカードを掲げて街なかをデモ。講演した神経科医のJulie Anne Griffith(ジュリー・アン・グリフィス)博士は「電波への曝露が生殖障害を引き起こし、がんのリスクを高めると考える」と述べ、「私たちの懸念を共有するために地方、州、連邦の議員に手紙を書きましょう」と参加者に呼びかけました。

参照:
・Electromagnetic Radiation Safety, 5G Day of Action
・Marin Independent Journal, Marin activists rally against 5G

米上院議員が5Gへの懸念を表明
 米国上院通商・科学・運輸委員会の「5G技術の将来とその米国市民及び経済への影響についての聴聞会」で、Richard Blumenthal(リチャード・ブルメンタール)上院議員は2月7日、潜在的な健康上のリスクについての科学的研究とデータが欠如しているとの懸念を表明しました。
 ブルメンタール議員らは、新しい5G無線技術によってもたらされるかもしれない健康上のリスクに関する回答を求めて2018年12月、FCC(連邦通信委員会)長官に手紙を送りました。しかし回答がなかったと、この日の公聴会でブルメンタール議員は非難しました。

参照:
・At Senate Commerce Hearing, Blumenthal Raises Concerns on 5G Wireless Technology’s Potential Health Risks

ドイツ議会に5G電波割当て停止を請願
 5G電波の事業者への割当てを停止するようドイツ議会に求める請願書が4月に提出されました。請願したのは定足数を超える54,643人。請願の趣旨は「ドイツ連邦議会は、この技術の安全性について科学的に正当な疑いがある限り、5Gモバイル通信ライセンスの付与手続を停止し、5Gモバイル無線規格の導入を中止することを決定することができる」というもの。

参照:
・Joel Moskowitz, 54,000 Germans petition Parliament to stop 5G auction on health grounds

【網代太郎】

 

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