携帯電話に関するスイス政府勧告に対するマグダ・ハバス博士の見解

 マグダ・ハバス(Magda Habas)博士はカナダのトレント大学准教授で、環境と資源学分野の専門家です。化学汚染や電磁波汚染を中心に出版物やレポート等を発表しています。議会公聴会でもしばしば証人として証言もしています。
 スイス連邦政府公衆衛生局(FOPH)は日本の厚生労働省にあたる部局で、そこが携帯電話に関する勧告・見解を発表しました。日本政府と比較すれば、かなり進んだ勧告・見解ですが、それでもハバス博士はかなり批判的です。ここらへんが面白いところです。【訳・渡海伸】

  2011年1月27日に、スイス連邦政府公衆衛生局(FOPH)は、携帯電話に関する勧告・見解を発表したが、それについての私の意見を述べたい。
FOPHの勧告内容は以下である。

  1. 車の運転中は絶対に携帯電話を使わない。例え、ハンズフリーキットでも使ってはならない。
  2. 低出力のブルートゥース装置を付けた、(ヘッドフォンやハンドセットのような)ワイヤレスタイプのハンズフリーシステムは、頭部への放射線曝露量は少ないので、使用するのは悪くない。
  3. 携帯電話を買う時は、その携帯電話のSAR(電磁波エネルギー吸収率)の低いものを確かめて選ぶべきだ。
  4. 携帯電話を使う際は、使用時間を短くするか、あるいはテキストメッセージ(訳注:携帯メール)のどちらかにすべきだ。特に子どもや青少年はこのことを遵守すべきだ。
  5. 可能ならば、通信状態が良好な時だけ、携帯電話を使うべきだ。
  6. 放射線曝露を制限する放射線シールドや同様の“電磁波保護”を謳った製品には気を付けるべきだ。なぜならば、そのような物は通信状態を悪化させるために、携帯電話がつながろうとして、かえってより強い出力(したがってより強い電磁波)を出すためだ。
  7. 埋め込み式の医療機器を付けている人は、装置から携帯電話を少なくても30センチは常に離すべきだ。

 携帯電話に関するウェブサイトを見る時は、この勧告が掲載されているスイス政府のウェブサイトをクリックすべきだ。なぜならば、この勧告はとても良い内容だからだ。たとえブルートゥースのような装置であっても、電磁波曝露は依然として高い。
 世界中の政府健康部門の情報提供と違って、スイス政府公衆衛生局(FOPH)の携帯電話通信方法に関する技術データ・曝露測定・健康影響・法的規制・関連文献、等について、詳しい内容を提供している。
 驚いたことに、データを搬送するために使われるマイクロ波だけでく、いろんな機種の携帯電話表側の磁場についても、スイス政府のこのウェブサイトでは情報提供している。ちなみに、5機種の携帯電話の表側の磁場は、83ミリガウス~193ミリガウスが測定されている。携帯電話裏側の磁場の値はもっと高く、最大で758ミリガウスにまで達する。
 ICNIRPは国際非電離放射線防護委員会の略称だが、メンバーは放射線の安全なガイドラインのための世界的基準値を設定する。提案された磁場ガイドラインは、周波数毎に設定されている。驚くことに、各国政府が資金提供した研究では、テストされたGSM携帯電話が中間周波数において、ICNIRPガイドライン値を超えてしまった。マイクロテスラからミリガウスに換算するには10倍すればいい。すなわち、6マイクロテスラは60ミリガウスである。

携帯電話の使用/乱用による有害影響と何か?
 携帯電話の安全な使い方に関する、スイス政府の勧告は一方で賞賛に値するが(ただし、走行中の車内での携帯電話は決して使うべきでない)、しかしながら、健康影響に関する解説の中には改善されるべき余地がいくつかあると、私は感じている。
 FOPH(スイス連邦政府公衆衛生局)は、ホルモン系や免疫系システム、脳活動、認識や刺激プロセス、マイクロ波の聴覚影響、心臓血管システム、安寧、睡眠、成人と子どもの脳腫瘍、成人のそれ以外の腫瘍、注意力欠損障害、精子、医療インプラント機器や自動車事故への干渉、等と携帯電話の関係について言及している。
 しかし、この部分を読むと、携帯電話使用に関する勧告の積極面と有害な影響を慎重に評価している面との間に、連携が欠けているように感じる。携帯電話の有害な影響を否定する理由として、結論がほとんど出ていないことや、証拠が散発的、もしくは証拠に一貫性がないことをあげている。それにもかかわらず、公衆に対して放射線(電磁波)曝露を最小にすべきだと強く勧告するのであろうか。例えば、マイクロ波の聴覚への影響は問題ないと、FOPHは言及しているが、これは正しくないと私は考えている。そこには、ICNIRPの傾向とFOPHが別行動は取りたくないという感じが見えてくる。
 すなわち、私の意見としては、このFOPHのサイトは完ぺきではないが、スイス政府が電磁波の研究に資金提供している点と、携帯電話の安全な使い方に関する勧告をしている点は賞賛したい。

原文:Dr. Magda Havas, PhD “SWISS GOVERNMENT’S ADVICE ABOUT MOBILE PHONE USE”

カテゴリー: 携帯電話, 行政, 海外情報 

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