過敏症の家族 220km歩いて基地局問題訴える

 8月12~23日の12日間をかけて、電磁波過敏症発症者のAさんは、長野県伊那市の自宅から、東京のNTTドコモ本社まで約220kmを歩く「心をもって命にかえろうウォーク2010」を行いました。やはり過敏症であるAさんの夫・Bさんと、長女・Cさん(13歳)も、体調等の事情に応じて一部を歩いたほか、各地の支援者も同行。歩いたのは主に午前中だけとは言え、猛暑の季節に、過敏症発症者が220km歩くという強い信念を持った行動は、道中で多くの方々との交流を生み、また、電磁波問題に取り組む団体をはじめ全国の多くの方々の共感を呼んだようです。
 1999年、Aさんの家から約250m先にNTTドコモの基地局が建ってから、一家は過敏症を発症。2004年、携帯電話圏外である伊那市高遠町に転居し、体調は回復へ向かっていました。
 しかし、自宅近くにドコモが携帯基地局を建てることに。設置場所に最も近い集落の住民の約7割が反対しましたが、不同意書を提出した住民にはドコモの説明会の案内が届かないなど問題のある進め方がされました。
 Aさん、Cさんは、7月5日にドコモ本社を訪れ、Cさんの通学路から500m以内に基地局を設置しないこと、及びAさんの自宅から半径500mを“圏外”にするよう求める、ドコモの「コンプライアンス推進委員会」委員長らに宛てた署名を提出しました。しかし、同月13日には基地局が設置され、同月26日からは電波の送受信が始まりました。その後、Bさんは頻繁に倒れるようになりました。さらに、この署名がコンプライアンス推進委員会に届いていないことも分かりました。
 このため、提出済みの署名を同委員会へ渡すこと、同委員会で厳正に審査すること、問題を多くの人に知らせ問題を共有する人と一緒にドコモ前でアピールを行うこと、道中で基地局と電磁波の問題について知らせることを目的に、今回のウォークを企画したとのことです。
 さらに署名を追加して集め、ウォーク最終日のドコモとの交渉の場で提出する予定でした。しかし、7月5日に提出していた署名がコンプライアンス推進委員会に受理されたのは、同月26日に送受信が開始された後であることが分かり、受理が遅れた理由については「ドコモ内部の問題なのでコメントする必要はない」と発言するなど、ドコモの対応が不誠実だったため、提出せずに持ち帰ったとのことです。(この記事の一部は同会『アース通信29号』を参考とさせていただきました)【網代太郎】

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