イタリアの裁判所 携帯電話をがんの原因と認める

 イタリアの裁判所が、耳に腫瘍が出来たのは携帯電話からの電磁波のためだという男性の訴えを認め、障害年金の支払いを命じる判決を出したと、科学、技術分野のニュースサイト『Phys.org』(4月20日付)などが報じました。原題はItalian court rules mobile phone caused tumour【訳・網代太郎】


携帯電話ががんを引き起こしたと裁判所が判断
 もしかすると画期的なケースで、イタリアの裁判所は、仕事に関連した携帯電話の過度の使用が会社幹部の者に良性の脳腫瘍を発症させたと判断した。4月11日に判決が下されたが、木曜日に公開されたばかりのイブレア(Ivrea)の北部の町の裁判所は、原告に国の年金を与えた。この判決は控訴の対象となり得る。
 ロメオ(Roberto Romeo 57歳)は、15年にわたって仕事の日は3~4時間、自分の携帯電話を使用ぜざるを得なかったと証言していた。「世界で初めて、裁判所が携帯電話の不適切な使用と脳腫瘍の間に因果関係を認めた」と、彼の弁護士、ベルトーネ(Stefano Bertone)とアンブロジオ(Renato Ambrosio)は声明で述べている。
 ロメオは携帯電話を悪者にすることを望まなかったと言いつつ「しかし、私たちはそれを使う方法をもっと意識しなければならないと思います」「同僚と話をしたり仕事を整理したりするために私の携帯電話を使用すること以外は選択肢がありませんでした。私は15年間、自宅から車に常時電話していました」「私の右耳がいつもふさがれているように感じ始めました、そして2010年に腫瘍が診断されました」「幸い、それは良性でした。しかし私の聴神経を除去されなければならず、何も聞こえなくなってしまいました」。
 医療従事者は、ロメオについて身体機能の23%の損害を推定し、労災事故をカバーする国の保険制度であるINAILが支払う補償を毎月500ユーロにするよう裁判官に促した。
 携帯電話の健康リスクの可能性に関する科学的研究はたいてい、人々が使用しているレベルでは人間の健康に深刻なリスクを及ぼさないとの結論を出している。より多い使用は若干のリスクをもたらす可能性があることを他の研究は見出しており、多くの専門家は、この比較的新しい技術の適切な評価を行うのは時期尚早だと指摘している。

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