(会報第135号より)関西電力送配電に対してスマートメーターの設置を拒否したところ、「月に1度だけ電波を飛ばすスマートメーターがあるので、それを設置させてほしい」というようなことを言われたというご報告を、同社エリアにお住まいの複数の方々からいただきました。実際にそのようなスマートメーターを設置しているのか、また、設置しているとすれば、どのようなものなのかを確認するために2月21日、同社に質問・要求書を送付しました。
同社からの3月31日付回答によると、そのようなスマートメーターは設置していないし、設置の予定もないとのことです。ただし一部の客には、「常時は電波を発信せず、また広域への電波発信機能を持たない通信部」を取り付けて、検針員が月に1回ハンディターミナルという装置とメーターを通信させて検針しているとのことでした。
この回答からは、「常時」「広域へ」ではない電波を送信していると解釈できるので、その点を確認することなどを目的に、3月24日、あらためて質問・要求書を送付しました。
関西電力送配電への質問・要求書(1回目)
2022年2月21日
関西電力送配電株式会社
代表取締役社長 土井 義宏 様
要求・質問書
電磁波問題市民研究会
代表 野村修身
平素より送配電事業にご尽力いただき、ありがとうございます。
私たちは、全国の会員で構成する環境NGOです。
御社が設置を進めているスマートメーターについて、メーターから放射される通信電波の被曝により健康影響を生じた方々や、メーターからの電波による健康影響の不安を訴えている方々、また、メーターが取得する30分ごとの電力使用量というプライバシー情報を電力会社等へ知られたくない方々から、たくさんのご相談が当会へ寄せられています。
最近、御社の送配電エリアにお住まいの方々から、次のようなご相談が寄せられました。
○スマートメーターは不安なのでアナログメーター(誘導形電力量計)へ交換するよう求めたところ、関西電力側から「1カ月に1回だけ電波を飛ばすだけのスマートメーターに交換してはどうか?」と言われた。
○知らないうちにアナログメーターがスマートメーターへ取り替えられてしまった。自分は電磁波過敏症なので、アナログメーターへ戻すよう求めたところ、関西電力側から「30分に1度のデータ送信ではなく、月1回のデータ送信の機械に取り替える事は可能。その機械の名称は『PLC単極ユニット』だ」と言われた。
○自分は電磁波過敏症なので、近所の方にお願いして、その家のスマートメーターをアナログメーターに交換してもらった。先日、いつの間にかスマートメーターに交換されていたので、関西電力の営業所へ抗議したら、担当者から「通信部をはずしたスマートメーターなので了解してほしい」と言われた。その時、その担当者は「普段は電波を飛ばさず月に1回90秒だけ電波を飛ばして使用量を検針するスマートメーターを今、製造中だ」とも言った。
以上の各件に関連して、以下、質問・要求をさせていただきます。
1.30分ごとの使用量データを月に1回送信するスマートメーターをすでに設置していますか。または将来設置する予定がありますか。
2.30分ごとの使用量データを月に1回送信するスマートメーターをすでに設置している場合、または将来設置する予定がある場合は、その通信方法(電波の場合は、通信方式(Wi-Fi、Wi-SUNなど)、周波数、通信頻度、1回あたりの通信時間、電波の強さなど。PLCの場合は通信頻度、1回あたりの通信時間、信号の周波数など)をお教えください。
3.スマートメーターから発信される電磁波に被曝することで健康影響を生じている需要家、スマートメーターからの電磁波による健康影響の不安を感じている需要家、また、30分ごとの電力使用量というプライバシー情報を電力会社等へ知られたくない需要家が希望した場合は、アナログメーターを設置してください。
4.上記1~3について、3月14日までに、書面でご回答ください。
5.ご回答について、御社の担当者と私たちが面会して意見交換する場を設けてください。
以上
関西電力送配電からの回答(1回目)
2022年3月11日
電磁波問題市民研究会
代表 野村 修身 様
関西電力送配電株式会社
要求・質問書への回答について
拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、貴会からの2月21日付「要求・質問書」に対して、下記の通り回答させていただきます。
敬具
記
質問1.30分ごとの使用量データを月に1回送信するスマートメーターをすでに設置していますか。または将来設置する予定がありますか。
回答1,弊社では遠隔検針のための使用量データの送信頻度が月に1回である仕様のスマートメーターは取り扱っておらず、導入予定もございません。一部のお客さまには常時は電波を発信せず、また広域への電波発信機能を持たない通信部をお取り付けしてご対応させていただいております。こちらに関しましては、月に1回の現地検針時に限り、検針員のハンディターミナル(※)との間でのみ通信を行うものとなっております。
(※)スマートメーターより検針データを収集する端末機器
質問2,30分ごとの使用量データを月に1回送信するスマートメーターをすでに設置している場合、または将来設置する予定がある場合は、その通信方法(電波の場合は、通信方式(Wi-Fi、Wi-SUNなど)、周波数、通信頻度、1回あたりの通信時間、電波の強さなど。PLCの場合は通信頻度、1回あたりの通信時間、信号の周波数など)をお教えください。
回答2.遠隔検針のための使用量データの送信頻度が月に1回である仕様のスマートメーターの導入、および導入予定はございません。
質問3.スマートメーターから発信される電磁波に被曝することで健康影響を生じている需要家、スマートメーターからの電磁波による健康影響の不安を感じている需要家、また、30分ごとの電力使用量というプライバシー情報を電力会社等へ知られたくない需要家が希望した場合は、アナログメーターを設置してください。
回答3,アナログメーターに関しましては既に製造が終了しており、新規の調達ができないことから提供しておりません。なお、上記をお客さまにご説明の上、ご理解が得られない場合には、回答1に記載の通信部をお取り付けしてご対応させていただきます。
質問4.上記1~3について、3月14日までに、書面でご回答ください。
回答4.本書にてご回答とさせていただきます。
質問5.ご回答について、御社の担当者と私たちが面会して意見交換する場を設けてください。
回答5.申し出いただいた需要家さまに対し個別で丁寧にご対応させていただきます。
以上
関西電力送配電への質問・要求書(2回目)
2022年3月24日
関西電力送配電株式会社
代表取締役社長 土井 義宏 様
要求・質問書
電磁波問題市民研究会
代表 野村修身
私たちがお送りした「質問・要求書」(2月21日付)に対して、3月11日付の回答をいただきました。ありがとうございます。
回答につきまして、以下の通り要求・質問をさせていただきます。
1.回答に「一部のお客さまには常時は電波を発信せず、また広域への電波発信機能を持たない通信部をお取り付けしてご対応させていただいております」とお書きです。すなわち、「常時」「広域へ」ではないものの、月に1回の現地検診時に限り、メーターとハンディターミナルとの間で、電波で通信しているという理解でよろしいでしょうか?
2.上記1の理解で正しい場合は、その通信方式(Wi-Fi、Wi-SUNなど)、周波数、1回あたりの通信時間、電波の強さなど)をお教えください。
3.上記1の理解が正しくない場合は、メーターとハンディターミナルの間で、どのような方法で通信しているのか、お教えください。
4.ハンディターミナルにより取得するデータは、30分ごとの電力使用量データですか。30分ごとの使用量データである場合は、これを取得されたくない需要家から申出があった場合は、ハンディターミナルを使わず、目視で検針して下さい。
5.上記4について、ハンディターミナルが取得するデータが30分ごとの電力使用量データでない場合は、どのようなデータなのかお教えください。
6.3月11日付の回答は、御社のご担当者の所属、お名前、ご連絡先電話番号の記載がありませんでしたが、これらをお教えください。
7.上記1~6について、4月14日までに、書面でご回答ください。
8.ご回答について、御社の担当者と私たちが面会して意見交換する場を設けてください。
以上
(会報第136号より)関西電力送配電に対してスマートメーターの設置を拒否したところ、「月に1度だけ電波を飛ばすスマートメーターがあるので、それを設置させてほしい」と言われたというご報告を、同社エリアにお住まいの複数の方々からいただいたことについて、当会は同社へこの説明などを求める要求書を2回にわたって提出しました(会報前号参照)。2回目の要求書への回答(4月14日付)の中で、同社は月に1回だけ電波で通信するスマートメーターの存在を認めました。
回答書によると、送信する電波は周波数920MHz、出力20mWということで、関電以外の電力会社のマルチホップ(バケツリレー)方式のスマートメーターで利用されている電波と、ほぼ同等のようです(関電の従来型スマートメーターのみWi-Fi電波を利用)。本当に月に1回だけ電波を出すのであれば、従来型のスマートメーターより電波の送信は大幅に減ります。もちろん、だからと言って、すべての電磁波過敏症の方にとって安全だとは言い切れません。また、スマートメーター本体内に蓄積された、30分ごとの電力使用量データを、月に1回、ごっそりと電力会社に持って行かれることになります。
当会は、月に1回の通信でデータを取得する検針ではなく、目視による検針のほうを需要家(電力消費者)から求められた場合は、それに応じることを求める3回目の要望書を、5月に提出しました。
なお、東京電力パワーグリッドは、需要家の希望によって通信部を外したスマートメーターから、関電と同様に月に1回、30分ごとの電力使用量データ1カ月分を取得しています。その際の通信手段は電波かどうかを質問したところ、東電は「セキュリティのため答えられない」と回答を拒否しました(会報第134号参照)。この点で比較すれば、電波であると説明した関電のほうが、まともであると言えます。
関西電力送配電からの回答(2回目)
2022年4月14日
電磁波問題市民研究会代表 野村修身殿
関西電力送配電株式会社
要求・質問書への回答について
拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、貴会からの3月24日付「要求・質問書」に対して、下記の通り回答させていただきます。
敬具
記
質問1.回答に「一部お客さまには常時は電波を発信せず、また広域への電波発信機能を持たない通信部をお取り付けしてご対応させていただいております」とお書きです。すなわち、「常時」「広域へ」ではないものの、月に1回の現地検針時に限り、メーターとハンディターミナルとの間で、電波で通信しているという理解でよろしいでしょうか?
回答1.ご記載のご理解で相違ございません。
質問2.上記1の理解で正しい場合は、その通信方式(Wi-Fi、Wi-SUNなど)、周波数、1回あたりの通信時間、電波の強さなど)をお教えください。
回答2.電波を発しない通信部とハンディターミナルの間の通信については、以下の通りとなっております。
通信方式:920MHz方式
電波の強度:20mW
1回あたりの通信時間:数秒程度
質問3.上記1の理解が正しくない場合は、メーターとハンディターミナルの間で、どのような方法で通信しているのか、お教えください。
回答3.–
質問4.ハンディターミナルにより取得するデータは、30分ごとの電力使用量データですか。30分ごとの使用量データである場合は、これを取得されたくない需要家から申出があった場合は、ハンディターミナルを使わず、目視で検針してください。
回答4.ハンディターミナルにより取得するデータは30分ごとの電力使用量データとなります。また、基本的には、電力の小売全面自由化に伴い、30分値計画値同時同量制度が導入され、電気をご利用いただくお客さまの30分毎の電力量データを取得する必要があり、弊社の託送供給等約款におきましても、原則30分単位での計量を規定しております。
質問5.上記4について、ハンディターミナルが取得するデータが30分ごとの電力使用量データでない場合は、どのようなデータなのかお教えください。
回答5.–
質問6.3月11日付の回答は、御社のご担当者の所属、お名前、ご連絡先電話番号の記載がありませんでしたので、これらをお教えください。
回答6.「関西電力送配電株式会社配電部配電高度化グループ」宛てに書面にてご質問をいただけますと幸いです。
質問7.上記1~6について、4月14日までに、書面でご回答ください。
回答7.本書にてご回答とさせていただきます。
質問8.ご回答について、御社の担当者と私たちが面会して意見交換する場を設けてください。
回答8.申し出いただいた需要家さまに対し個別で丁寧にご対応させていただいており、今後も同様の対応をさせていただきます。ご不明点等ございましたら、上記の通り書面にてお問い合わせいただけますと幸いです。
以上
関西電力送配電への質問・要求書(3回目)
2022年5月23日
関西電力送配電株式会社
代表取締役社長 土井 義宏 様
要求書
電磁波問題市民研究会
代表 野村修身
私たちがお送りした「質問・要求書」(3月24日付)に対して、4月14日付の回答をいただきました。ありがとうございます。
回答につきまして、以下の通り要求をさせていただきます。
1.前回、「30分ごとの電力使用量データを取得されたくない需要家から申出があった場合は、ハンディターミナルを使わず、目視で検針してください」という主旨の要求をいたしました。これに対し、御社から「30分値計画値同時同量制度が導入され、電気をご利用いただくお客様の30分毎の電力量データを取得する必要があり、弊社の託送供給等約款におきましても、原則30分単位での計量を規定しております」とのお返事をいただきました(下線は当会が追加)。資源エネルギー庁「次世代スマートメーター検討委員会」は、スマートメーターのオプトアウト(拒否)の権利を認めることを打ち出しております。需要家がオプトアウトを求める理由の一つが、30分毎の電力量データという個人情報を提供したくないというものです。したがいまして、電力使用量データを取得されたくない需要家から申出があった場合は、「原則」的なご対応ではなく、「例外」的にハンディターミナルを使わず目視で検針することを要求いたします。
2.私どもは御社による送配電地域を含む全国の需要家から、スマートメーターを拒否したいという相談を受けています。その切実な声を直接お届けいたしたく、ぜひとも、御社担当者と私どもの面談の機会を設けてください。
3.上記1~2について、6月13日までに、書面でご回答ください。
以上
(会報第137号より)関西電力送配電(関電)が、スマートメーターを拒否する需要家(電力消費者)に対して、月に1回だけ電波で通信するスマートメーターの設置を求めています。そもそも、アナログメーターを設置すべきですし、関電の場合は今のところ、需要家が強く要求をすれば、アナログメーターへ交換しているようです。
月1回だけ電波で通信するスマートメーターが設置された場合、検針員はハンディターミナルという装置で、メーター本体の内蔵された30分ごとの電力使用量データ1カ月分を取得します。30分ごとのデータという個人情報を提供したくない、月に1回でも電波はいやだ、という需要家から、通信ではなく目視による検針を求められた場合は、それに応じることを求める要望書を、当会は5月に関電への提出しました。
関電から6月13日付回答が送付されました。「電力の小売全面自由化に伴う30分値計画値同時同量制度による30分毎の電力量データの必要性からも、約款に規定の通り原則30分単位での計量を実施させていただきます」という従来通りの回答でした。ただし「なお、お申し出いただいた需要家さまに対しましては個別に対応させていただきます」とも付記し、目視検針要求について頭から否定していませんので、心ならずも月1回だけ通信するスマートメーターを設置されてしまった方は、目視での検針を関電へ要求してみてはいかがでしょうか。
関西電力送配電からの回答(3回目)
2022年6月13日
電磁波問題市民研究会
代表 野村 修身 殿
関西電力送配電株式会社
要求・質問書への回答について
拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、貴会からの5月23日付「要求書」に対して、下記の通り回答させていただきます。
敬具
記
要求1.前回、「30分ごとの電力使用量データを取得されたくない需要家から申出があった場合は、ハンディターミナルを使わず、目視で検針してください」という主旨の要求をいたしました。これに対し、御社から「30分値計画値同時同量制度が導入され、電気をご利用いただくお客様の30分毎の電力量データを取得する必要があり、弊社の託送供給等約款におきましても、原則30分単位での計量を規定しております」とのお返事をいただきました(下線は当会が追加)。資源エネルギー庁「次世代スマートメーター検討委員会」は、スマートメーターのオプトアウト(拒否)の権利を認めることを打ち出しております。需要家がオプトアウトを求める理由の一つが、30分毎の電力量データという個人情報を提供したくないというものです。したがいまして、電力使用量データを取得されたくない需要家から申出力であった場合は、「原則」的なご対応ではなく、「例外」的にハンディターミナルを使わず目視で検針することを要求いたします。
回答1.検針につきましては、あくまで託送供給等約款に基づき実施させていただいており、電力の小売全面自由化に伴う30分値計画値同時同量制度による30分毎の電力量データの必要性からも、約款に規定の通り原則30分単位での計量を実施させていただきます。なお、お申し出いただいた需要家さまに対しましては個別に対応させていただきます。
また、オプトアウト制度につきましては、弊社は国の審議会等の決定に基づき対応してまいります。
要求2.私どもは御社による送配電地域を含む全国の需要家から、スマートメーターを拒否したいという相談を受けています。その切実な声を直接お届けいたしたく、ぜひとも、御社担当者と私どもの面談の機会を設けてください。
回答2.申し出いただいた需要家さまに対しましては、個別で丁寧にご対応させていただいており、今後も同様の対応をさせていただきます。ご不明点等ございましたら、書面にてお問い合わせいただけますと幸いです。
要求3.上記1~2について、6月13日までに、書面でご回答ください。
回答3.本書にてご回答とさせていただきます。
以上