電波による心臓ペースメーカー等への影響防止指針改正案への意見(2013.1総務省に)

「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針」の改正案に対する意見

電磁波問題市民研究会

1 「携帯電話から最長で数cm程度の離隔距離で影響」とケースを単純視することの問題点
 改正案では携帯電話と植込み型医療機器との間に最長数cm程度あれば医療機器に影響を受けることはない、としているが、たとえば車内において、満員電車に限らず急停車やカーブ等で乗客が身につけている携帯電話が心臓ペースメ―カ―装着者に数cm以内に近づくケースが考えられるが、そうしたケースを見ていないのは問題である。

2 携帯電話と医療機器を1対1の関係で捉える誤りを克服していない
 車内あるいは病院内において、複数の携帯電話所有者に心臓ペースメーカ―等の植込み型医療機器装着者が囲まれた場合、1対1とは異なった影響が発生する可能性は否定できない。それを一律に「15cm程度以上離す」ことで問題が発生しないかのように捉える改正案は現実を見ていない「改悪」案である。

3 電車内やエレベーターのような金属で覆われた状態での電磁波影響を考えていない
 「最長数cm程度の離隔距離」は通常の空間における携帯電話端末電磁波と植込み型医療機器の影響を前提にしている。しかし、金属で四囲を囲まれた電車内やエレベーター等においては、電磁波の乱反射により通常の空間時より数倍あるいは数十倍の電磁波発生することが容易に考えられる。そうした様々なケースを考慮せず一律に「15cm程度以上離せば影響がない」かのように捉える改正案は、確実な「影響防止」措置にならない。

4 「配慮」でなく「対処」とした点は前進である
 離隔距離を22cm程度から15cm程度に縮めたことは、上記理由から問題であるが、
現行では「電源を切るよう配慮することが望ましい」であったのが、改正案では「電波を発射しない状態に切り替えるなどの対処をすることが望ましい」と1歩踏み込んだ表現にしたことは評価できる。

5 植込み型医療機器以外の人体への直接影響を指針に入れるべきだ
 2011年5月にIARCA(国際がん研究機関)は高周波の発がんリスクを「2B」(発がんの可能性がある)とした。また近年電磁波過敏症に苦しんでいる人が増えている。こうした現状を踏まえ、たんに「携帯電話端末と植込み型医療機器」との電磁波影響だけに限定せず、幅広い視点に立った「指針」の検討をすべき段階に来ている。そのことを当研究会は強く要請する。

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