7カ国による超低周波の疫学調査 より多い曝露で脳腫瘍リスク上昇

 超低周波電磁波の職業曝露と脳腫瘍との関連を調べた7カ国共同の大規模な疫学調査の結果が6月に発表されました。発症の1~4年前により多く曝露された人のほうがリスクが上昇するという結果でした。その要約をご紹介します。出典“Occupational exposure to extremely low frequency magnetic fields and brain tumour risks in the INTEROCC study” Cancer Epidemiology, Biomarkers & Preventiony 2014 Sep;23(9):1863-72【網代太郎・訳も】

背景
 超低周波磁界(ELF)の職業曝露は脳腫瘍のリスク要因である疑いがあります。しかし文献は一貫していません。(略) この研究は大規模な「INTEROCC」研究でELFと脳腫瘍の相関関係を調べます。

方法
 7カ国(オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イスラエル、ニュージーランド、イギリス)で2000~2004年の成人の主な神経膠腫と髄膜腫の症例が集められました。職業曝露マトリックスに基づいて平均就労時間におけるELF曝露の推定が割り当てられました。累積曝露、平均曝露、最大曝露と曝露持続時間が、生涯および診断/調査の1~4年前、5~9年前、10年前以上の期間について計算されました。

結果
 3761人の脳腫瘍の症例(神経膠腫1939、髄膜腫1822)と5404人の対照が集められました。ELFの生涯累積曝露と神経膠腫、髄膜腫のリスクとの間に相関はありませんでした。しかし、診断/調査の1~4年前の累積曝露と神経膠腫の間に正の相関がありました(90パーセンタイル値対25パーセンタイル値のオッズ比(OR)1.67(95%信頼区間(CI)1.36-2.07)、P<0.0001)。髄膜腫については、いくらかのより弱い相関がありました(90パーセンタイル値対25パーセンタイル値のOR1.23(95%信頼区間(CI)0.97-1.57)、P=0.02)。

結論
 結果は近い過去のELFと神経膠腫の間に正の相関を示しました。

影響
 職業上のELF曝露は脳腫瘍形成の後期ステージ(促進と進行)における役割を果たしているかもしれません。

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