総務省「検討会」 高周波のEHCは再来年夏

 総務省「生体電磁環境に関する検討会」(以下「検討会」といいます)の第7回会合が8月30日に開かれ、傍聴しました。 検討会の「開催要綱」が変更され「平成22年頃をめどに報告書をまとめることとする」との項目が削除され、検討会は当面、無期限に存続することになりました。また、
「電波の医療機器等への影響に関するワーキンググループ(WG)」が設置されることになり、ペースメーカーなど体内の医療機器(植込み型医療機器)が携帯電話などの電波で誤作動しないための総務省指針(1)を見直すこととなりました。WGと検討会での議論、及びパブリックコメントの募集を経て、見直すとのことです。
 また、6月5~6日にWHO電磁界プロジェクトの会議が開かれ、高周波電磁波の環境保健基準(EHC)の進捗状況が説明されたとのことで、検討会の大久保千代次座長が報告しました。それによると、EHC発行は2014年夏の予定で、最初の案は今年9月ごろ完成予定(もう9月も終わりますが)。評価対象機器は携帯電話だけでなく、無線自動認証装置(RFID)、電子商品監視機器(EAS)、レーダーを含めるとのことです。

ペースメーカーと携帯電話の距離22cmから15cmへの変更提案
 9月13日には上記WGの初会合が開かれました。筆者は傍聴できませんでしたが、ウェブサイトに掲載されている当日配布資料によると、①現在、植込み型医療機器と携帯電話を「22cm」離すこととしているものを「15cm」に変更する、②携帯電話等の所持者は「植込み型医療機器の装着者と近接した状態となる可能性がある場合(例:満員電車等)、その携帯電話端末等の電源を切るよう配慮することが望ましい。」の中の「近接」を「密着」に変更する-の2カ所の変更が提案されました。
 1997年に現行指針を決めた際は、第2世代携帯電話による実験で15cmで影響が出たため余裕をみて22cmと決めましたが、今年7月までに第2世代サービスが終了し、第3世代による実験では影響はより小さかったことから「国際基準」の15cmに合わせると、資料では説明されています。
 また、「近接」を「密着」へ変更するのは、距離をとることができない状況をわかりやすく伝えるため、とのことです。
 電波環境課生体電磁環境係に問い合わせたところ、WG内の意見をなるべく早い時期(具体的には今年度内かどうかも含めて未定)に固めたうえで、検討会で見直すかどうかを決めるとのことです。WGの会議を再度開くかどうかは未定とのことです。
 資料には「表現を変えたことで、携帯電話及びPHS端末所持者側に求められる対応に変わりはない」と書いてありますが、万が一にも電車内における携帯電話電源オフなどの対応が後退することがあってはなりません。【網代太郎】
(1)「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針」

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