経産省(在庫ある限りとの条件付きながら)アナログメーターへの交換を容認

当会と経産省担当者との話し合い。=2月13日、衆議院第一議員会館の大河原議員事務所で

 スマートメーターを望まない需要家(電力の消費者)への対応についての検討状況などを聞くために、当会(電磁波問題市民研究会)は2月13日、経産省資源エネルギー庁の担当者と面談をしました。経産省の担当者は「アナログメーターの在庫がある限り」という“条件”付きながら、スマートメーターを望まない需要家への「柔軟な対応」にはアナログメーターへの交換も含まれるとの見解を示しました。これまで経産省がアナログメーターへの交換を是認するような発言をしたことはないため、一歩前進したと思います。もちろん「在庫がある限り」との“条件”を付けること自体が不当なので、希望者はだれでもアナログメーターを選択できることを今後とも目指していきます。
 当会が昨年4月に開いた「スマートメーター強制をやめさせる院内集会」に出席した経産相担当者は、参加者からの求めに応じて「スマートメーターの導入を望まない需要家への対応について検討する」ことを約束しました。昨年6月には、担当者に、その後の検討状況を文書で質問する書面を提出。担当者は、スマートメーター導入を望まない需要家への対応についての検討状況について、①総務省等へ照会しつつ調査分析をしており、近日、電磁界情報センターを訪問する予定、②諸外国における対応状況についても、欧米の事例を念頭にその方法を検討しており、これを踏まえ、今後は具体の調査を行う、③コスト(追加で係る検針員等)や実務面への影響(インバランス算定、システム改修等)を踏まえつつ、上記の調査も見ながら、引き続き対応のあり方を健闘する-という趣旨の回答を同年7月にしました(会報第113号参照)。
 この回答を受けて当会は、同年8月、「検討等の結果、スマートメーターの導入を望まない需要家への対応について結論を出すのはいつなのか」と質問するとともに「その結論が出るまでの間にも、電力会社によるスマートメーターの事実上の強制に悩む需要家が相次ぐことになるので、結論を出すまでスマートメーターの事実上の強制設置を仮に停止させ、アナログメーターを希望する需要家にはアナログメーターの設置を認めるよう、各電力会社に指導すること」などを求める要求書を提出しました。しかし、この要求書への回答はないままでした。

本当に電気を止めた東電
 昨年の院内集会に出席した東京電力パワーグリッド(東電PG)の担当者は、スマートメーターへ交換する1週間ほど前に案内のチラシを入れることが守られていないなどの不適切な事例があることを認め(ただし責任を工事業者に押し付けていました)再発防止を約束しました。
 しかし、院内集会の後も、事前の通知なくスマートメーターに交換されたという苦情が相次いでいます。しかも、スマートメーターを拒否したら電気を止められた事例まで発生しました。「拒否するのなら電気を止める」と脅迫されたという相談は、東京電力、関西電力、沖縄電力の各エリアから数例ありましたが、メーターから家の中への配線を除去し、本当に止めてしまったのです。昨年から当会へ相談があり、本人ご了承のもと東京新聞へ情報提供し、2月16日付同紙にも掲載されました。再発防止の約束はまったく実行されてきていないのです。

2019年2月16日付『東京新聞』24~25面

 スマートメーターを望まない需要家への対応について経産省によるその後の検討状況の説明を求めるとともに、特に東電PGに多い上記のような悪質な対応について把握しているか質すため、昨年の院内集会でもお世話になった大河原雅子衆院議員のご協力をいただき、総務省担当者の会談の場を設けました。
 会談には、経産省から、院内集会にもご出席くださった2名(A・資源エネルギー庁電力・ガス事業部政策課電力産業・市場室室長補佐と、同室電気計器担当)のほか、スマートメーター火災の担当である商務情報政策局産業保安グループ電力安全課課長補佐(電力・保安担当)の、計3名が出席しました。当会からは、野村修身代表、大久保貞利事務局長、網代太郎(スマートメーター問題担当スタッフ)の3名が出席。大河原議員ご本人と、秘書1名もご同席くださいました。経産省へは、あからじめ質問事項を示しました。

「東電の対応に驚き」
 冒頭で当会事務局長の大久保が「スマートメーターを望まない需要家に対して東電以外の電力会社はアナログメーターへ交換しているが、東電はアナログメーターは『在庫がない』『製造していない』ので『アナログメーターへは交換しない』の1点張り。事前にスマートメーター交換を知らせるチラシを入れない。あるいは入れて、その日のうちに交換してしまう。そして1度スマートメーターにしたら、絶対にアナログメーターへは戻さない。アンペアを変えたり、エコキュートを入れたり、家を買ったり改装したり、あらゆる機会にスマートメーターにしてしまう。スマートメーターを強制する法律はないのに、需要家の声を聞かず、商道徳に反している。訴訟したいという人もいる」と指摘しました。これに対して、経産省のAさんは「スマートメーターを希望しない需要家には導入の意義などを粘り強く説明するとか、場合によってはアナログメーターへの交換で対応している-それは当然在庫がある範囲内となってしまうが-と電力会社から聞いていた。指摘されたケースは、聞いていた話とかなり相違があり、驚いているというのが正直なところ。どの支社でどういうことがあったか細部をおうかがいしたい」と述べました。そこで当会は後日、最近相談があった東電による問題のある対応事例を大河原議員事務所を通して経産省へ提出しました。経産省として調査するとのことでした。

アナログメーターへの交換も「丁寧な対応」に含まれる
 スマートメーターを望まない需要家への対応についての検討について、経産省のAさんは、「諸外国について調査し、イギリス、フランスでもスマートメーターの電磁波に対する健康影響に対する見解は日本政府と同じスタンスであり、(スマートメーターを希望しない)需要家には丁寧に説明をするというスタンスも同じだった。これも踏まえて、スマートメーターを希望しない需要家には丁寧に説明するよう電力会社に伝えたというのが、検討の結論」と説明。時間をかけたわりには中身に乏しい検討内容であり、検討結果も「丁寧に説明する」では、院内集会からまったく前進していませんでした。
 一方でAさんは、前述の通り「場合によってはアナログメーターへの交換で対応していると電力会社から聞いていた」とも述べました。アナログメーターへの交換について経産省が認めたのは初めてだったので、筆者(網代)が「丁寧な対応の中にはアナログメーターに戻すことも含まれるということですね」と念を押すと、Aさんは「アナログメーターの在庫がある限りにおいてですね」と回答しました。さらに網代は「柔軟な対応をするよう電力会社へ伝えたということが現時点での経産省の結論ということだが、柔軟な対応を徹底すればアナログメーターを認めるというところに行き着く。在庫がなくなったとしても電力会社が発注すればメーカーに拒む理由はない。どうしてもスマートメーターが嫌な場合はアナログメーターで良いと、もう一歩踏み込んで経産省として方針を打ち出していただきたい」と追及。Aさんが「アナログメーターを入れると検針員や発注で数十億円レベルのコストがかかると聞いている」と答えたので、網代が「どういう前提で数十億円になるのか」と質すと、Aさんは「ちょっとすみません、私もややうろ覚えで」と答え、また「費用の話だけでなく、スマートメーターで省エネを目指すエネルギー基本計画の整合というのもある」とも述べました。網代が「スマートメーターで料金を安くしたい需要家もいれば、そういう料金プランは不要なのでスマートメーターもいらないという自由も尊重されるべきだ」と述べると、Aさんも「それはまさにそう」と認めました。網代は「本当に数十億円なのか」「アナログメーターの選択を認める場合の問題点があるというなら、もっと精密に検討してほしい」と経産省へ求めました。

ネジの緩み以外に火災原因がある?
 スマートメーターの火災が相次いでいる問題について、経産省の斎藤さんは「電力会社のほうの施工不良で、ネジの締めが不足していたため、そこでバチバチと火花が散って発火した。電力会社がシステム的にチェックをする体制や、すでに設置したメーターの調査をしているので、その対応を(経産省として)注視している」と説明。これに対して、当会代表の野村は「私も電気工事士の資格を持っているが、絶対に緩まないようにネジを締めるのは電気工事の基本中の基本。ネジの緩みとは信じられない。考え過ぎかもしれないが、他に本当の原因があるのではないか」と疑問を示しました。大久保も「スマートメーター(は、それ自体が電気製品なので、そこ)でショートしてガスに引火すると危険だから、ガス設備から離して設置すべき。しかし、電力会社の下請業者はアナログメーターがあった同じ場所に設置するものだから、ガス会社の人が心配していたという話を相談者から聞いた」と指摘。「東電は都合の悪いことは経産省に隠すだろうから、東電に話を聞くだけでなく、経産省が独自に調査すべきだ」と求めました。斎藤さんは「東電だけでなく消防もネジの緩みが原因だと認識していると報告されている。それだけでなく、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)に持ち込んで裏を取るということを、これからやる」と説明しました。
 また、網代が「施工不良で出火したメーターを設置した作業員らが設置したメーター3万台のうちの10%などを対象に施工不良がないか抜き取り調査をしているが、全数調査にすべき。また、火災原因は施工不良だけでなく製品不良もあり、不良メーターをすべて交換するのに今年末までかかると報道されている。スマートメーターの新設を中断して、これらの作業に人的リソースを集中すべき」と主張。斎藤さんは「抜き取り調査だけで(必ず)終わりというわけではなくて、抜き取り調査の結果を見てから、全数調査をするのかどうかを判断する」と説明しました。
 当会は今後とも経産省への働きかけを続けていきます。【網代太郎】

 

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