5G、最近の動きなど

東京都が「スマートポール」を試行設置

 東京都の5G推進政策の一環として都議会議事堂北側の歩道上に試行的に設置された、5G基地局などを搭載した「スマートポール」の運用が7月、開始されました。
 都は「TOKYO Data Highway基本戦略」で、都庁がある西新宿エリアを5G重点整備エリアの一つに位置付けていて、今回の試行設置により設置や運営に関するノウハウを蓄積し、都全域、さらには全国へ広げると、鼻息が荒いです。
 スマートポールは、街路灯に5Gアンテナなどを付けるタイプや、無電柱化したときに変圧器などを収納する歩道上の大きな箱に5Gアンテナやデジタルサイネージ(電子看板)を付ける「変圧器活用型」(ポール感が皆無!)などのタイプがあるそうです(上の図)。設置したのは、都の募集に応じた協力事業者です。どのようなものか、見に行ってきました。

アンテナが低い!
 まず、東京電力パワーグリッドが設置した、変圧器活用型。5Gアンテナの低さに驚きました。高さ3mほどでしょうか。電波の強さはどのぐらいなのでしょう。今後、都が言うようにバス停の上屋にも設置されるようになると、このような風景が増えるのでしょうか。ゾッとします。

変圧器に設置された5G基地局とデジタルサイネージ

 デジタルサイネージには、東京都の観光地などをPRする動画が繰り返し流れていましたが、それを見る人は、私が居た20分ほどの間にはだれもいませんでした。都の資料によると、このスマートポールは、Wi-Fi機能もあるそうです。

「スマート」じゃない!
 次に、住友商事と日本電気が設置したポール型のほうを見ました。2本のうち、1本は一部にカバーがかけてあって、まだ本格運用していない様子です。もう1本は、5Gアンテナが確認できましたが、前頁の図のように5Gアンテナがポールと一体化しているのかと思いきや、柱に無骨なアンテナが単純にくくりつけてあって、見た目全然「スマート」じゃないし!と心の中で突っ込みました。が、よく考えれば、アンテナの存在が分かりやすいほうが、警戒できて良いですね。

5G基地局が設置された都議会北側歩道の街路灯

 都の資料によれば、このポール型にはWi-Fi機能、人流計測カメラ、USB充電口もあるそうですが、カバーのせいか、よく分かりませんでした。
 ちょうど、これからお昼という時間で、ポールの下を大勢の人たちが行き交っていました。
 今年秋には近隣の3カ所で、別のスマートポールも運用開始されるそうです。

5G電波による過敏症の症状例

 国内で5G商用サービスが3月下旬に開始されて、4カ月がたちました。知り合いの電磁波過敏症の方に、5Gに曝露したときの症状を教えていただきました。過敏症の方々の症状は多彩で個人差が大きいのですが、同じ発症者にとって5Gと従来の電波の間に違いがあるのかを聞きたいと思いました。

後頭部に鈍痛
 関西地方の女性の方は、後頭部(下寄り)に鈍痛を感じたそうです。5Gの指向性が強い性質のためなのか、少し物陰に入っただけで症状が和らぎ、ピンポイントでつらい所があるが、まっすぐ15mも歩くと症状が出なくなるそうです。症状が出た場所は、携帯会社が発表しているエリアマップと合致したそうです。この方は、4Gに曝露したときは、通信量にもよりますが、頭全体が、ど~んと痛く、気分が悪くなり倦怠感が増すとのことです。

首の付け根に鋭い痛み
 また、関西在住の「アナログメーターの存続を望む会」の東麻衣子さんは、大阪メトロ四つ橋線なんば駅の階段前で、右側首の付け根に鋭い痛みが1回ありましたが、症状はすぐに消えたそうです。ドコモの5G通信利用可能施設・スポット一覧に「難波西口 難波四丁目周辺」とあることからも5Gだと確認できたそうです。東さんは、電磁波過敏症が寛解(全治とまでは言えないが、病状が治まっておだやかであること)していて、3Gや4Gの場合は、体調が悪い時のみ、端末を持つと指先がピリピリ痛む、手から腕にかけて筋肉が痛むといった症状が出るそうです。携帯電話基地局に反応したのは、東京出張で被曝して、戻ってきて体調が良くなかった数日のみだそうです。しかし、5Gに反応した時は、特に体調は悪くなかったそうです。また、Wi-Fi、スマートメーターの場合は、頭のもやもや、浮遊性のめまいが出るそうです。周波数によって症状が異なるのかも、とのことでした。
 お二人だけの事例ではありますが、5G電波へ曝露されたとき、4Gまでとは異なる症状が出ました。5Gは従来とは異なる健康影響を引き起こす可能性があり、また、電磁波過敏症の方にはより深刻な影響をもたらすかもしれないということが、あらためて実感できました。
 5G通信エリアはまだ限定的であり、5Gに被曝してもすぐ逃げられる状況ですが、エリアが広がっていけば、それも難しくなります。5Gの展開はやめるべきです。

総務省が5G基地局設置の前倒し方針-4G周波数の転用も

 総務省は6月16日「ICTインフラ地域展開マスタープランプログレスレポート」を発表しました。その中で、5G基地局の全国展開を前倒しし、2023年度末の目標を8.4万局以上から21万局以上へ大幅に引き上げる方針を示しました。この目標達成のため、現在4Gで利用している周波数を5Gに転用できるようにするための今年夏ごろの制度化、新たな5G用周波数の確保についての検討、5G投資促進税制の創設などを行うとしています。
 報道によると、4Gの周波数の5G転用は、ソフトバンクなどの強い要望によって実現しました。
5G用の3.7GHz帯、4.5GHz帯、28GHz帯は電波が届く距離が短いので、電波が飛びやすい4G周波数を5Gに転用できれば、5Gエリアを一気に広げることができます。一方で、4G周波数は5Gよりも帯域幅が狭いので、5Gに転用しても通信速度は速くなりません。
 総務省の情報通信審議会に提出された資料によると、2GHz帯以下の周波数帯については、5G化しても、Massive MIMOによるビームフォーミングは行わないようです。【網代太郎】

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