米カリフォルニアの電力会社 電磁波過敏症の客にオプトアウト料金を返金

 米国の非営利団体「Environmental Health Trust」のウェブサイトは4月24日、スマートメーター拒否(オプトアウト)に伴う追加料金を障害者から取ることは違法であるという主張が認められたというレポートを掲載しました。この会報の前の記事で見た通り、次世代スマートメーター制度検討会「中間とりまとめ」(2月)にスマートメーター拒否の場合は追加料金を取る方向性を盛り込んだのは、米国の例にならったからだと資源エネルギー庁(エネ庁)の担当者は説明しました。そうであるならば、米国のこの新しい動きを踏まえて、エネ庁は追加料金徴収の方向性を見直さなければなりません。原文:ELECTRIC COMPANY PG&E REFUNDS SMART METER “OPT-OUT” FEES TO EMF DISABLED CUSTOMER【訳・網代太郎】


電力会社PG&E、EMF障害者の顧客にスマートメーター「オプトアウト」料金を返金

 4月16日、パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック(PG&E)社は、電磁波過敏症の障害者であるニーナ・ビーティ(Nina Beety)さんの家族が支払ったスマートメーターの「オプトアウト」料金を返金した。ビーティさんは、PG&Eが無線式スマートメーターの導入を開始した際に、アナログ式の機械式メーターを設置するよう、PG&Eに障害者対応を要請した。ビーティさんは、電磁波を発生する機器が原因で、健康に障害をきたすと説明した。PG&E社はアナログ式の非デジタル式メーターを設置したが、ビーティさんの障害者対応の要求を無視し、いわゆる「オプトアウト」料金を払わないことを認めなかった。一家は、自宅のスマートメーターを避けるために、415ドルの料金を支払うことを余儀なくされた。「障害を持つアメリカ人法(ADA)」は、障害者に対する追加料金を禁止している。
 その後、PG&Eが2019年に破産を申請すると、ビーティさんの家族は、支払った「オプトアウト」料金について破産裁判所に債権を届け出た。債権の根拠は「障害者に対する違法な追加料金であるスマートメーターのオプトアウト料金(略)」。
 PG&Eはこの主張に異議を唱え、2021年2月25日に裁判所にこの債権の抹消を求めた。(略)
 同年3月24日、ビーティさんは、即時の回答を破産裁判所に提出した。「私たちの請求は、『通常かつ慣習的』な顧客の請求項目ではない。私が障害者であり、私への障害者対応を妨害する違法な料金が家計に計上されていたという事実に基づく、特殊なタイプの紛争債権である。(略)これは、かつて一度も解決されなかったメリットのある障害者の権利請求で、全額返金によって解決されるべきである。私の請求を閉じることは、私が市民の権利を放棄することになり、また新たな負担になる。どうか私の権利が守られるようにしてください」。
 ビーティさんの回答を読んだ連邦判事を前にして、PG&E社は破産裁判所への一家の請求に対する異議申し立てを撤回し、それ以上の異議申し立てをしなかった(2021年4月5日のデニス・モンタリ(Dennis Montali)判事の判決に記録されている)。
 4月20日、ビーティさんの家族は、PG&E社から415ドルの追加料金と、請求していなかった24.17ドルの利息を全額返金する小切手を受け取った。特筆すべきは、この還付金が、破産者の請求にありがちな、請求額の何%とか、何分の1ドルとかではなく、利息付きの完全な還付金であったことだ。
 PG&E社がADAに基づく違法な追加料金であり、障害者を差別する料金を返金するためには、破産判事と法廷で対決する必要があった。
 ビーティさんは、「今回の措置により、PG&E社をはじめとする公共企業は、電磁波過敏症やその他の電磁波に敏感な病態を持つ障害者に対して、違法な「オプトアウト」追加料金を請求する行為を中止し、これらの障害者がすでに支払った違法な追加料金をすべて返金しなければならない。公共事業者は、アナログ、機械式、非デジタル式の公共料金メーターを必要とするすべての障害者に対し、簡単で、容易に達成可能な、合理的な障害者対応を認めなければならない」と話した。

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