欧州議会報告書 過敏症対策盛り込みWHOにも注文

 欧州議会が4月1日、欧州委員会による電磁波規制についての勧告を見直すことなどを求める報告書を採択したことを、本会報前号でご報告しました(拘束力はなし)。この報告書について、前号では触れなかった注目したい点を、追加してご紹介します。
 報告書には、「スウェーデンの例にならって、電磁波過敏症に苦しむ人々に適切な防護と機会均等を与えるために障害者として認知すること」との項目もありました。
 スウェーデンは、電磁波過敏症発症者への対応がもっとも進んでいる国と言われているそうです。 スウェーデンでも、電磁波過敏症という病名が認められているわけではなく、電磁波過敏症にかかったことによって仕事を休んでも休業補償を受けられるわけではありませんが、別の福祉制度で生活費の保障を受けられるそうです。また、自治体には全ての人に適切な住宅を提供する義務があるので、電磁波過敏症の人でも住みやすい住宅にするための支援はしており、 例えば、ストックホルム市では、電気のケーブルにカバーをして、電磁波の強度を抑えるなどの支援をしているそうです。(1)
 電磁波過敏症という病気について「科学的証明」ばかりにこだわり、発症者を「電磁波をこわがるせいだ」と決めつける学者が国の政策を決めている日本と、病気について議論がある段階でも可能な支援を行うスウェーデンと、どちらが人間性のある国でしょうか。
 欧州議会の決議は、他の国もスウェーデンを見習うよう求めているのです。

「WHOは透明性を高めよ」
 決議にはまた、「基準値の設定に関して世界保健機関(WHO)と国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)はより透明性を高め、利害関係者との対話を受け入れること」との項目もありました。WHOなど国際機関の言うことは基本的に尊重して受け入れがちな日本と比べ、WHOに対しても注文する姿勢が、筆者には新鮮でした。とは言え、特に驚くべきことではありません。WHOがEHCやファクトシートを策定するにあたっての会議等の記録が一切公開されていない(2)ことに違和感を持っていた筆者にとっては、このような注文をつけることは、まさに腑に落ちます。

欧州議会とは
 ちなみに、欧州議会は、「EU主要3機関の一つで、予算を理事会と合同で決め、欧州市民の観点から法案を審議・修正する」(3)議会。議員は加盟国ごとに国民の直接選挙で選ばれます。「「欧州人民・欧州民主党グループ(キリスト教民主勢力)」と「欧州社会主義グループ(社民勢力)」が左右の二大勢力で、これにリベラル、環境保護派などが少数派として分布している」(4)。つまり、欧州で主流の中道右派・中道左派の議員が多数を占めており、“環境派議員”ばかりが特に強いわけではなく、ヨーロッパ市民の意識を概ね反映している議会であるようです。そのような欧州議会で、電磁波について上記のような内容を含む決議が行われたのでした。【網代太郎】

(1)日本弁護士連合会が2012年12月15日に都内で開いた「電磁波シンポジウム~予防原則と人権保障の観点から」の会場で参加者に配布された資料による
(2)2009年3月23日開催「第2回電磁界情報センターシンポジウム-WHOからのメッセージ-」での質疑に対し、大久保千代次センター長が「公開されていない」と答弁
(3)2009年6月8日付『毎日新聞夕刊』
(4)外務省「欧州議会の概要」

※この記事は2015年4月15日に加筆修正しました。

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