九電の送電線計画の環境アセスに同意したことへの抗議(2000.4宮崎県綾町長に)

2000年4月7日

前田穣綾町町長殿

綾町を縦断する送電線計画で九州電力の環境アセスを同意したことへの抗議

 私たちは電磁波公害を極力防ぐことを日的に活動している環境NPOです。このたび、日本一の広さを誇る照葉樹の森があることで全国的に知られている貴町で、照葉樹林地帯の入口からわずか500メートル手前に九州電力が50万ボルトの巨大鉄塔・送電線を通す計画が進められていることに大いに注目していました。
 送電線から出る電磁波が人体にどのような影響があるか、いま多くの先進国で調査されています。1979年に米国でワルトハイマー・リーバー両博士による疫学調査で送配電線の近くで小児白血病が約3倍多く出ることが発表されてから、電磁波が必ずしも安全ではないことが明らかになりました。すでに1995年にスウェーデンでは「慎重なる回避j政策がとられ、電磁波の安全性が証明されない段階では少なくとも子どもや病人の居住する地域では送電線を遠ざける努力が政策として採用されています。
 また、昨年(1999年)出された米国ラビッド計画最終報告書でも「NIEHS(米国国立環境衛生科学研究所)は、曝露が小児白血病を誘起するかもしれないという弱い科学的な証拠に基づき、ELF-EMF(極低周波電磁波)曝露が完全に安全であると認めることはできないと結論づける。」と述べています。
 さらに今年2月、スイス政府は低周波と高周波の両分野の電磁波の法規制を始めました。その理由は「電磁波は人体へ影響あり」という確信に基づくため、と法制化にあたっての説明書で述べています。
 日本の科学技術庁が昨年夏から約6千人の子どもたちを対象に大規模な電磁波疫学調査に乗り出したのもこうした世界的な動きと無関係にはいられなくなったためといえます。
 日本の環境アセスメントは別名「アワセメント」と揶揄される位に環境や住民を無視した仕組みです。それは計画段階から住民の意見を聞くような「計画アセス」でなく、事業化を前提とした「事業アセス」という致命的な欠陥をもっためです。送電線を設置したい九州電力(事業者)が実施する環境アセスメント(環境影響調査)が自分の首を絞めるような結果を出すはずがありません。したがって「環境アセスの実施jとは送電線を建設するための八百長芝居でしかありません。
 鉄塔建設予定地には絶滅のおそれのあるクマタカの生息が確認されていると聞きます。人体に影響ある電磁波が野性生物にも影響を与えることは避けられません。カラスを撃退するのに変圧器を置いた例がありますが、これは電離波が鳥こ影響するからです。
 私たちは今回の環境アセスメントを実施することに貴職が同意したことに以上の理由から抗議します。そして速やかに建設に反対する住民と話し合い、50万ボルト送電線計面の撤回を求めるように行動するよう要請します。

電磁波間題市民研究会
代表 野 村 修 身

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