予防原則に基づく対策を(2002.11首相、総務省、文科省、厚労省、経産省、環境省に)

2002年11月12日

内閣段理大臣殿
総務大臣殿
文部科学大臣殿
厚生労働大臣殿
経済産業大臣殿
環境大臣殿

電磁波間題市民研究会
代表 野 村 修 身

電磁波から身を守るため予防原則に基づいた対策を早急に求める要望書

<要望の要旨>
 電磁波の人体への影響について現在、国際的に論争が展開されています。しかし昨年(2001年)6月、世界保健機関(WHO)のがん研究専門機関であるIARC(国際がん研究機関)が家庭で使われる50・60へルツの極低周波電磁波を21名のメンバー全員で「ヒトに対して発がん性の可能性あり」と分類したことで、状況は大きく変わってきました。
 携帯電話に使われる高周波電磁波も同様にWHOが2003年~2005年を目途に健康影響評価に向けて調査を進めています。
 こうした中て、日本でも電磁波対策の遅れに不安をもつ国民が増えつつあり、全国各地で携帯電話中継基地戸建設や送電線・変電所建設を巡ってトラブルがいくつも起こっています。その原因は、携帯会社や電力会社が建設前に住民に対して十分な説明をせず強引に建設しようとしていることにあります。
 昨年6月にWHOが極低周波電磁波を「ヒトに対して発がん性の可能性あり」と分類したのは「0.4マイクロテスラ(4ミリガウス)以上で小児白血病発症リスクが約2倍」という疫学調査に基づいて決定したものです。そのためWHOは各国の政府や産業界に対して「電磁波暴露低減のための安全て低コストな方法を提供すべき」だし、個人に対しては「特定の電気器具の使用を最小限にとどめるとか、比較的高い電磁場を出す発生源から距離を離すことで、暴露低減のための選択をすることができる」と推奨しています。また送配電線の建設には景観や住民感情を配慮することが求められる、とも言及しています。
 携帯電話に使用する高周波電磁波に間しても、英国で2000年5月に独立専門家委員会(スチュワート委員会)が、携帯電話の脳への影響を考え「16歳未満の子供の携帯電話使用抑制と携帯会社の販売自粛」などの勧告をし、英国教育省はその勧告を受けてその趣旨のパンフレットを国内の学校に配布しています。また740万ポンド(約13億円)の資金で携帯電話の健康影響調査にも乗り出しています。
 さらにドイツをはじめいくつかの国では、携帯電話中継基地局について学校や幼稚園など子供のいる施設の近くでは建設を慎重にし、自治体や住民の意見に配慮するようになってきています。送電線建設の際の「景観や住民感情の配慮」は携帯電話中継基地局建設にもそのままあてはまります。

<要望項目>

  1.  極低周波電磁波(50~60ヘルツ)について、住宅地・学校・幼稚園・保育園・病院・遊び場など子供のいる居住環境で「0.4マイクロテスラ〈4ミリガウス)以上ある箇所」を調査し公表すること。そしてその数値以下になるように予防対策を可能なかぎり早急に講じること。また送電線や変電所の新規建設にあたっては景観・住民感情を考慮し、自治体や住民の意見が十分反映される措置をとること。
  2. 高周波電磁波について、16歳未満の子供の携帯電話使用を抑制し、中継基地局建設にあたっては、住宅地・学校・幼稚園・保育園・病院・遊び場など子供のいる居住環境近くはなるべく避け、景観・住民感情を配慮し建設前に周辺住民への説明を義務づけるなどの予防的措置をとること。
  3. 電磁波発生源調査や電磁波の人体への影響について調査研究を行政や産業界から独立した機関により実施し、内容を公開すること。
  4. 電磁波過敏症で体の変調を訴えている人が増えていることに目を向け、外国の先進例を踏まえ、早急に実態調査と治療や対応ついて真剣に取り組むこと。
  5. 電磁波による健康被害を未然に防ぐため、予防原則に立った極低周波・高周波の規制基準設定に向け検討すること。当面、周辺住民の意見を聞かず送電線・変電所・携帯電話基地局・電波塔などの建設を進める事業者には許可制限などのペナルティを課すこと。
  6. 国の電磁波問題対応窓口は縦割り対応てなく国民の健康を守る立場で対応できるように改善すること。とくに、業界と関係のある経済産業省や総務省でなく、環境省や厚生労働省に権能をもたせる体制とすること。

連絡先「電磁波間額市民研究会」

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