フランス政府機関、低周波電磁波の評価を発表 予防的アプローチを改めて勧告

 フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は6月21日、低周波電磁波曝露による健康影響について専門家による新しい評価を発表しました。低周波電磁場への曝露と小児白血病の長期的リスクとの関連の可能性に関して2010年に示した結論を維持し、高圧線の近くに学校などを新設しないことや、高圧線以外の低周波磁場が高い施設へ規制を拡大することを勧告しています。
 ANSESは2010年、小児白血病の発症と、0.2μTまたは0.4μTを超える低周波磁場への曝露との関連性を示す方向へ疫学研究が収束していると強調しました。2010年以降に発表された研究を考慮しても、限られたレベルの証拠があるという見解は変わりませんでした。
 今回ANSESは、フランスの人々、とりわけ子どもたちが高圧線から放出される高いレベルの磁場にさらされる割合を定量化する研究のため国立保健医学研究所(INSERM)に資金を提供。15歳未満の子どもの0.35%(約4万人)が自宅で0.4μTを超える磁場に曝露され、児童の約0.18%(約8000人)が0.4μTを超える磁場に曝露されている小学校に通っていることが分かりました。
 これらすべての結果を考慮して、ANSESは高圧送電線の近くで強い磁場にさらされるセンシティブな人々の数と曝露を制限するために予防的アプローチを採用するという2010年の勧告を繰り返しました。そして「1μT以上の磁界にさらされる高圧電線、地下ケーブル、変電所、基幹電線に近い場所に新しいセンシティブ施設(病院、産科医院、託児所や幼稚園、小学校などの施設)を建設する決定や許可を、できる限り避ける」という、都市計画についての2013年4月15日の命令(l’instruction)の重要性を強調しています。

「送配電線以外へ規制の拡大を」
 さらに、今日の一般公衆の低周波電磁波曝露について、以下を考慮すべきとしています。
・再生可能エネルギーによる分散型発電により個人から近い場所に発生源が移っていること
・新たな集中的発生源となり得るエネルギー消費型技術(データセンターなど)の著しい増加
・自動車、公共交通機関、変圧器など特定されている発生源に関するデータの欠如
・都市環境におけるさまざまな発生源(地下送電線、サイネージ、公共交通機関など)
 そのうえで、フランスの既存の規制は送配電線近くのみが対象となっていることから、一般公衆が曝露されるすべての発生源へ規制を拡張することをANSESは勧告しました。
妊娠中女性の職業曝露
 フランス国立安全衛生研究所(INRS)と労働安全衛生年金保険基金(CARSAT)が行った調査によると、ある種の産業用機械がある特定の職場環境では、妊娠中の母親の胎児が曝露される低周波磁場が欧州の規制値(50Hzで1000μT)を超える可能性があることを示しました。このため雇用者と産業医が妊娠中の女性に労働条件を変更できる規定を知らせることなどをANSESは勧告しています。
 ANSESはまた、髄膜腫、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などと低周波電磁波との関係についての継続的な研究も推奨しています。【網代】

参照
Effets sanitaires liés à l’exposition aux champs électromagnétiques basses fréquences

OPINION of the French Agency for Food, Environmental and Occupational Health & Safety on the “Health effects associated with exposure to low-frequency electromagnetic fields”

 フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は、健康・農業・環境・労働・消費者問題省の傘下で、健康、安全問題を担当する各機構をサポートするために、食品、環境及び職場のリスク評価を行う機関。2010年7月に二つの機関が合併して発足(内閣府食品安全委員会)。

 

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