都が5G推進の「基本構想」 都有施設を開放、基地局設置を後押し

 小池百合子都知事は8月29日、第5世代移動通信システム(5G)を早期に普及させようと、「TOKYO Data Highway 基本戦略(Version.1)~UPDATE TOKYO~」を発表しました。地方公共団体の施策による健康被害拡大のおそれが大きいだけでなく、特定業種の民間事業者を過度に厚遇する意味でも、極めて問題があります。
 この「基本戦略」は、都市の繁栄や都市間競争を支えるのはインフラであり、1964年の東京五輪をきっかけに整備されたインフラは道路や新幹線などだが、2020年大会を契機に整備されるべきは「電波の道」(高速モバイルインターネット)だと主張。全世界での5Gネットワーク競争を「東京がリード」するために、従来「民間が実施」してきたこの整備を「民間&東京都で最強タッグ」で行うことで、「インターネットを介し、どこにいようとも、誰一人取り残されることなく、医療や教育などの様々なサービスを受けられる。5Gを活用すれば、そのような夢のある社会の実現も、可能となります」と決めつけています。具体的なメリットとして、学校へのICT教材の導入、救急車から病院へ患者データの送信、自動運転、ビッグデータを用いた渋滞予測・信号制御による渋滞緩和、ドローンによる被災状況の集約、などが示されています。
公園、バス停、街灯にも5G基地局?
 基本戦略は、5G推進のために都が行うこととして、①都が保有するアセットの開放と手続簡素化、②「5G重点整備エリア」の設定、③都自らの5G政策の展開-を挙げています。
 これらのうち、アセットは「資産」の意味ですが、要するに都有施設のことを言っています。以下に挙げる都有施設について、フィージビリティ(実現可能性)を検証したうえで携帯事業者に開放し、5G基地局設置を「強力に後押し」するとしています(意味が分かりにくい横文字の頻出は、いかにも小池知事らしいですね)。
・建物(ビッグサイト、国際フォーラム)
・都道(約2,200km)
・橋梁(約1,200橋)
・公園(約2,000ha)
・バス停(都営バス停のうち、上屋付きで電気設備を有する分:約400カ所)
・地下鉄(都営地下鉄:106駅)
・信号(都全域:約16,000基)
・地下道、地下街(新宿駅周辺、東京都周辺、汐留等)
・街灯(都道:約17万本)
・電柱(都道、区市町村道:約69万本)⇒地中化してスマートポールを設置

東京都の5G推進のための「基本戦略」より

 手続の簡素化については、基地局設置について「ワンストップ窓口」を創設してスピード対応をするとしています。
 「5G重点整備エリア」としては、五輪会場、利用者が多く、都が所有するなど政策誘導が比較的可能なエリア(西新宿都庁周辺等)、都立大学などを挙げています。
 基本構想を中心になってまとめた東京都参与の宮坂学氏は元ヤフー社長であり、自らの出身母体への露骨な利益誘導です。しかも宮坂氏は副知事に選任される見通しであると、9月4日付東京新聞は報じています。
 この基本構想については、都にさらに詳しい説明を求め、健康影響の可能性を踏まえて必要な要求をしていくべきと考えます。【網代太郎】

 

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