調布市の住宅地で道路が陥没 リニアも採用の大深度地下利用は危険

調布市の陥没事故現場=NHKのウェブサイトより

 東京都調布市の住宅街で10月18日、市道が長さ5m、幅3m、深さ5mに渡って陥没する事故が発生しました。陥没現場の真下の地下47mの「大深度」で、東日本高速道路(NEXCO東日本)が東京外郭環状道路(外環道)のトンネル掘削工事を進めており、これが原因とみられています。さらに事故後の調査で、11月2日に現場の北40mの地中で幅4m、長さ30m、深さ3mの空洞が、そして11月21日に現場近くの地下4mの深さに長さ幅3m、長さ27mの空洞も見つかりました。現場付近の住民からは陥没事故の1カ月ほど前から「振動が感じられる」との苦情が寄せられていました。「大深度地下」の工事、利用は、一般的な地下鉄などに比べ、危険性が高いと言えます。そして、やはり大深度地下にトンネルを掘っているリニア中央新幹線の工事についても、同じことが言えます。

一般の地下鉄トンネル工事より危険
 大深度地下利用は「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(大深度法)」で定められた地下利用の方法です。地下40mより深いなど一般に利用されない深さの場合は、国土交通省の認可を得た上で、地上の地権者の同意なしに利用できます。これまで国は「大深度地下は、支持層下の比較的良好な地盤であり、かつ、大深度地下施設と地上建築物の相互離隔も一定量確保されることから、トンネル掘削時の地表への影響は通常問題にならないと考えられる」[1]などと説明してきました。しかし、この安全神話が崩れました。
 一般的な地下鉄のトンネルの多くの部分は、道路の下を通っています。私有地の下を通ると、地上の所有者から「区分地上権」を購入しなければならないからです。大深度地下の場合はそれが不要なので、上が道路なのか、繁華街や住宅地なのかとは無関係に、事業者に都合の良い最短コースのトンネルを掘ることができます。
 このことは逆に、事故が起きた場合の危険性が増すことを意味します。通常の地下鉄のトンネルは道路の下を掘るので、事故が起きても陥没するのは主に道路です。しかし大深度地下で事故が起きれば、住宅、店舗、事業所などが陥没し、死傷者が出る恐れが大きくなります。今回調布市で陥没したのが道路だったのはたまたまであり、死傷者がなかったのは不幸中の幸いと言えます。

リニアのトンネルの上は住宅地や繁華街
 リニア中央新幹線は「都市部においては、できる限り大深度地下を使用する」よう計画され、都心部(品川駅付近から町田市まで)33.3km、名古屋側(春日井市から名古屋駅付近まで)17kmという、かなりの長さに渡る大深度地下トンネルは、住宅地や繁華街の下を通過します。
 「リニア新幹線沿線住民ネットワーク」など4団体は11月20日、同様の事故が起きる可能性があるとして、工事認可取り消しや大深度法廃止などを求める要望書を国土交通省に提出しました。
 また、大深度法廃止を求めるネット署名運動も行われています[2]。【網代太郎】

[1]国土交通省都市・地域整備局大都市圏整備課大深度地下利用企画室「大深度地下利用技術指針・同解説 参考資料-4 大深度地下施設と地上建築物の相互影響」2001年6月
[2]change.org「東京・調布市の住宅地で陥没!空洞!住民の知らない地下トンネル⁈大深度地下法の廃止と認可取消を求めます!」

 

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