欧州議会、電磁波規制見直し求める報告書を採択

 欧州議会は4月1日、欧州委員会が1999年に示した電磁波規制についての勧告を見直すことなどを求める報告書を賛成559、反対22、棄権8で採択した。この決議は拘束力はないが、EU加盟各国から直接選挙で選ばれた議員が構成する欧州議会の大多数が賛成した意味は重い。
 フレデリック・リエス(ベルギー)が起草した同報告書は、無線技術などの利用による社会への便益を認つつ、健康リスクがある可能性が不確実であり続けていることへの懸念を表明し、より厳格な規制と住民保護などを求めている。
 欧州理事会は1999年の「勧告1999/519/EC」で、EU各国に対し、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が19 98年に示した指針値と同等か、それを超えない規制を行うよう勧告した。しかし、この指針値は短期的曝露による急性影響しか考慮せず、長期的曝露による影響を考慮していないことなどから、より厳しい対策を取っている加盟国も多い。同報告書はこのことも根拠の一つとして、1999/519/ECに示されている電磁界制限の科学的根拠と適切性を見直し、議会にその結果を報告するよう求めている。
 同報告書はこのほか、以下などを求めている。

  • 携帯電話基地局など、電磁波発信施設は、学校や保健施設などから一定の距離をおいた場所に設置されること
  • アンテナ、携帯電話基地局、高圧送電線の設置は、健康リスクと訴訟を最小にするため、産業側関係者、行政当局、住民団体の間で協議すること
  • 電磁波発信施設の曝露地域を示す地図をインターネットで利用できるようにするなど、市民が信頼できる情報にアクセスできるようにすること
  • 携帯電話と脳腫瘍の関係などを調査している国際共同疫学研究(インターフォン研究)の結果の公表が繰り返し延期されている。同研究のコーディネーターであるエリザベス・カーディスによる「子どもたちに関し携帯電話は合理的な制限を超えて使用されるべきではない」とする「警告のためのアピール」によって、欧州議会は特に懸念している。同研究に財政的寄与をしている欧州委員会は、結論が発表されない理由を責任者に問うべき
  • 特に脳がまだ発達中の子どもや若者に携帯電話のリスクがある可能性についてまだ不確実なため、携帯電話の危険性について意識を高めるととともに、ハンドフリーキットを使用し、通話時間を短くし、電源を切るなどの上手な使い方を促進するため、電磁波研究に向けられているEUの資金の一部を意識向上キャンペーンに切り替えること
  • 基準値の設定に関して世界保健機関(WHO)とICNIRPはより透明性を高め、利害関係者との対話を受け入れること
  • スウェーデンの例にならって、電磁波過敏症に苦しむ人々に適切な防護と機会均等を与えるために障害者として認知すること

【網代太郎】

決議に関する情報源
採択文
リエス報告書和訳(一部)
欧州議会プレスリリース和訳


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