「新電力契約にスマートメーター不要」国会で政府答弁

 3月14日の参議院予算委員会で、以下のような質問・答弁がありました(1)。

 小林正夫参院議員 2014年4月のエネルギー基本計画では、2020年代前半に各家庭と一般の全事業所にスマートメーターを導入するとうたわれております。したがって電力の供給契約を変えるときには現在の積算電力計のままでも切替ができる、スマートメーターが切替の条件ではないと私は受け止めていますけど、それでいいですか?

 経産省資源エネルギー庁電力ガス事業部長 お答え申し上げます。ご指摘の通り、スマートメーターが設置されておらずとも契約先の切替は可能でございます。

 新電力との契約にはスマートメーターへの切替が必要だとアナウンスされていますが、これは技術的な理由ではなく、国の政策上の理由からスマートメーターを押し付けているだけ、と2月の集会でも述べました
 この押し付けが、悪質なセールスのネタになってしまいました。「スマートメーターを付けると電気料金が半額になる」と言ってスマートメーターの設置費用を請求しようとする詐欺などの相談が増えているというのです(2)。マスメディアも悪徳業者への警戒を呼びかけるようになり、たとえば3月7日放送のNHK「首都圏ネットワーク」で「契約する会社を切り替える場合(略)各家庭に設置してある電気メーターを取り替える必要はありません」と放送しました(3)。こうした流れの中で、国会答弁が出ました。
 経産大臣直属の組織として設立された「電力取引監視等委員会」に、あらためて問い合わせました。同委員会のウェブサイト「よくあるご質問と回答集」に「最初に小売電気事業者を切り替える場合、スマートメーターが必要になるため、スマートメーターへの取替工事が原則必要となります」と書いてあり(4)、これは答弁と矛盾するが、どちらが正しいのか、と尋ねたところ、担当者は「答弁が正しい」と答えました。「新電力に切り替えると優先的にスマートメーターへ交換されるという意味で、誤解を招くので、表現を検討したい」と、苦しい言い訳をしていました。
 新電力に変更した後に、スマートメーターへの交換に来るのは、新電力ではなく東電や関電などです。その時に、東電などに対してスマートメーターを拒否することは可能だと思います。しかし私たちはそうした実例をまだ把握していないので、過敏症の方や電磁波を警戒したい方は、もう少し様子を見たほうが良いと思います。【網代太郎】

(1)参議院インターネット中継 3月14日予算委員会の動画2:47:07ごろ
(2)国民生活センター「あと3週間で電力自由化がスタートします」2016年3月14日
(3)NHK「首都圏ネットワーク「電力自由化に便乗した詐欺に注意」 」2016年3月7日放送
(4)電力取引監視等委員会「小売全面自由化に関するQ&A(消費者向け)」に以下の通り書かれています。
問48.小売電気事業者を切り替える場合、メーターの取替えは必要ですか。また、取替に伴い、個別の費用負担が必要となるのですか。
答.メーターの維持管理は、原則として引き続きこれまでどおりの電力会社(小売全面自由化後は一般送配電事業者)によって行われるため、小売電気事業者の切替に際して、その都度の取替は必要ありません。ただし、最初に小売電気事業者を切り替える場合、スマートメーターが必要になるため、スマートメーターへの取替工事が原則必要となります。その際、メーター取替のための個別の費用負担は原則発生しません(ただし、場合によってはメーター取替に伴う工事などの個別の費用負担が生じる可能性はあります。)。

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