訂正放送要求書(2017.7テレビ朝日に)

この要求書についての電磁波研会報記事


2017年7月20日

株式会社テレビ朝日
社長 角南 源五 殿

要 求 書

電磁波問題市民研究会
代表 野村 修身

 私たち「電磁波問題市民研究会」は、環境中の電磁波による健康被害が予防され、環境中の電磁波に悩む方々が支援される社会を目指す環境NGOで、全国の会員により構成されています。

 御社が本年6月29日に放送した「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」で、携帯電話やスマートフォン(スマホ)による人体への影響について取り上げました。その放送では「(携帯電話やスマホの電磁波は)気にする必要はないそうです。以前は今とは違う電波だったため、体への影響が考えられていましたが、今の携帯電話は人体に支障をきたさないよう、法律で規制されているんです。なので、電車や病院でも電源切らなくてもいい所が増えましたよね」というナレーションが流されるなど、携帯電話やスマートフォン(以下「携帯電話等」と言います。)の電磁波を「気にしなくて良いのが今の常識である」と断定する放送内容でした。

 この放送内容は、以下の通りの問題があります。

(1)同番組中のナレーションの通り、携帯電話等の電磁波は法律で規制されています。
 しかし、法律の規制対象は、電磁波による人体影響の一部だけです。すなわち、電磁波曝露が引き起こす発熱による人体への急性影響は規制対象ですが、発熱を引き起こすほど強くない携帯電話等の電磁波に繰り返し長期間曝露されることによる人体への影響は規制対象ではありません。
 よって、電磁波に対する法律の規制は十分なものではなく、法規制によって「気にしなくて良い」と言うことはできないので、放送の内容は不正確です。

(2)法律の規制をクリアしている携帯電話等の電磁波により、脳腫瘍等のリスクが上昇する恐れがあることを、各国の研究者らによる疫学調査結果が示しています。このため、国際がん研究機関(IARC)は、携帯電話等の電磁波を含む高周波電磁波について、発がん性リスクを「2B(人に発がん性があるかもしれない)」と評価しています。法律による規制を守っている携帯電話等の電磁波であっても健康影響が出る可能性を、国際機関が認めているのです。
 よって、携帯電話等の電磁波を「気にしなくて良い」と言うことは、国際機関の評価とも適合しないので、放送の内容は不適切です。

(3)同番組のナレーションで「以前は今とは違う電波だったため、体への影響が考えられていましたが」と語られました。
 「今とは違う電波」とは具体的には「第2世代携帯電話の電波」を指しているものと思われますが、上記(2)のIARCによる評価は、高周波電磁波すべてが対象であり、第2世代携帯電話電磁波に対象を限っていません。
 現在使用されている第3世代、LTEなどの電磁波について「体への影響が考えられていない」という事実はないので、放送の内容は誤っています。

(4)仮にナレーションの通り携帯電話等の電磁波は「気にする必要がない」のであれば、現在も世界各国の研究者が携帯電話等の電磁波による人体影響に関する研究を継続している理由が説明できません。

(5)携帯電話等の電磁波による健康影響が否定できないことから、海外各国では、携帯電話を使いすぎないよう国民に呼びかけています。特に影響を受けやすいかもしれない子どもについては、携帯電話を使用しないか、またはなるべく使用しないよう呼びかけています。以下は、各国によるそのような施策のごく一部を例示したものです。
(ア)英国
 英国保健省は2011年、携帯電話について啓発するリーフレットを作成し、携帯電話の長期的使用による影響はまだ不明で、より多くの研究を必要としていること、また、10代の子どもの神経系は発達途上であることなどを指摘。16歳未満の若者は重要な目的に限って携帯電話を使うこと、ハンズフリー・キットや(携帯電話機を頭にあてる通話の代わりに)メールの活用をすること、などを推奨しています。1
(イ)フランス
 フランス食品環境労働衛生安全庁は、携帯電話をよく使う成人はハンズフリー・キットを利用すること、すべてのユーザーはSAR値(人体が電磁波に曝露されることによって単位質量の組織に単位時間に吸収されるエネルギー量)の最も低い携帯電話の購入が望ましいこと、子どもたちは携帯電話を軽度に使用し被曝を減らすこと、などを推奨しています。2
(ウ)ロシア
 ロシア非電離放射線防護委員会は2011年の「携帯電話からの電磁場:子どもたちとティーンエイジャーに対する健康影響」の中で「18歳未満の携帯電話使用は推奨できない」と明記しています。3
(エ)ベルギー
 2013年に、7歳以下向けにデザインされた携帯電話の販売を禁止し、14歳以下の子どもを対象とした広告やテレビコマーシャルを禁止しました。4
 以上のように、携帯電話等の電磁波は「気にする必要はない」のが「今の常識」であるという番組の結論とは逆に、各国政府は「気にしたほうが良い」ことを市民に対して啓発しているのです。この点からも、放送内容は著しく不適切であると言うことができます。

1 https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/215711/dh_124899.pdf

2 https://www.anses.fr/fr/system/files/PRES2013CPA18EN_0.pdf

3 http://dennjiha.org/wp-content/uploads/2011/07/20110514-rncnirp_resolution.pdf

4 http://www.portfolio.nl/article/show/5162

(6)生活環境中の電磁波に曝露されることによりさまざまな症状が出る「電磁波過敏症」の方々がいらっしゃいます。電磁波過敏症の方々の中には、自分の近くで携帯電話等を使用されると、具合が悪くなる方々がいらっしゃいます。電磁波を「気にしなくてよい」ことが強調されると、そのような方々へ配慮する必要がないという誤ったメッセージを視聴者に送りかねません。
 また、電磁波過敏症は電磁波に繰り返し曝露されることにより発症する恐れがあるとされています。電磁波を「気にしない」ことによって携帯電話等を長時間使えば、結果として電磁波過敏症を発症する方々を増やす恐れもあります。

(7)番組のナレーションは「電車や病院でも電源切らなくてもいい所が増えましたよね」と、たいへん漠然と説明しています。正確に言うと、たとえば電車の場合は以下の通りです。
 2012年7月の第2世代携帯電話サービス終了を受けて、総務省は心臓ペースメーカーなどの「植込み型医療機器」と携帯電話等を「22cm離す」から「15cm離す」へ緩和する指針を2013年1月に出しました。これを受けて多くの鉄道事業者は、鉄道車両内の携帯電話利用ルールを「優先席付近では電源オフ」から「優先席付近では混雑時には電源オフ」へ緩和しました。
 総務省指針の緩和は、実験結果を根拠にしていますが、総務省による実験は「携帯電話等1台対植込み型医療機器1台」についての実験であり、多数の携帯電話等に取り囲まれている現実の生活環境から乖離しています。総務省による実験とその評価には、その他にも様々な問題点があります。さらに、携帯電話等の電磁波による乗客への悪影響は植込み型医療機器等の誤作動だけではありません。前述の通りIARCは、携帯電話等の電磁波を含む高周波電磁波の発がん性を2Bに分類しています。また、電車内等での携帯電話利用は、電磁波過敏症の方々による電車利用等の障害になる場合があります。
 以上のように、鉄道車両内の携帯ルールが緩和された経緯には問題があり、報道機関であれば、ルール緩和の妥当性こそを問うべきです。病院など医療機関についても同様のことが言えます。
 さらに「電車や病院でも電源切らなくてもいい所が増えました」というナレーションの言葉を言い換えると、「電源を切らなければならない場所が(問題がある経緯によって減ったけれども、まだ)ある」ということになります。「気にしなくていい」ことが強調されると、鉄道車両内等で守るべき携帯電話等のルールを守らない乗客等が増えてしまう恐れがあります。電磁波過敏症の方々や、その他の電磁波を避けたい方々が、ルールを守るよう他の乗客等にお願いしたときに協力を得ることが困難になることも懸念されます。

 以上から明らかな通り、携帯電話等の電磁波は、IARCが「人に発がん性があるかもしれない」と評価しているものであり、海外の研究者が安全なのかどうか研究を継続しているものであり、海外各国政府が市民に対して用心するよう呼びかけているものです。これらの事実に反して、不正確な情報に基づいて「気にしなくてもいい」のが「今の常識」と断定的に放送することは、視聴者をはじめとする市民の健康を損ねる重大な影響を引き起こす恐れがあります。したがいまして、以下について要求します。

1.速やかに訂正の放送を行うよう求めます。

2.本要求について、書面送達日から1カ月以内に、御社の検討結果を書面にてお伝えください。

(回答先)
〒273-0042 千葉県船橋市前貝塚町1008-22 大久保方
電磁波問題市民研究会事務局

賛同団体
 アナログメーターの存続を望む会(代表 東麻衣子)
 化学物質過敏症・電磁波過敏症倶楽部(代表 金城学)
 化学物質過敏症・ゆるゆる仲間(世話人代表 福田喜代子)
 化学物質問題市民研究会(代表 藤原寿和)
 「携帯電話・スマホ電源オフ車両」を求める会(代表 古庄弘枝)
 特定非営利活動法人市民科学研究室(代表理事 上田昌文)
 中継塔問題を考える九州ネットワーク(世話人代表 中原節子)

賛同個人
  (略)


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