数年後の子宮がんが心配 パキスタンで垣間見た電磁波事情

古庄弘枝さん(会員、東京都)


イスラム圏の異教徒・カラーシャ族

 4月の終わりから約1ヶ月、パキスタン・イスラム共和国(以下、パキスタン)在住の知り合いが当地に戻るのに同行し、パキスタンを訪れました。訪れたのは、アフガンスタン国境に近いチトラール地方。アフガニスタン東部からパキスタン北西部に横たわるヒンドゥークシ山脈の、3つの小さな谷だけに住んでいるカラーシャ族の村です。
 総人口は約3500人。イスラム教の国パキスタンの中にあって、彼ら独自の土着宗教と伝統習慣を守りながら生活している人々です。イスラム教では禁じられているお酒もここではOK。皆、開放的で朗らかで、自家製のワインを作り、楽しんでいます。
 文字をもちませんが、歌や踊り・語りなどによる豊かな文化をもち、祭りや葬儀の際、それらに触れることができました。「ブルーの瞳」「金色の髪」などから、アレキサンダー大王の遠征軍の末裔などとも言われていますが、確証はないようです。
 男性の衣装は他のパキスタン男性と変わりませんが、女性の衣装は独特です。黒地の貫頭衣に毛糸で鮮やかな模様を縫い付け、お腹のあたりを幅広の帯で固定しています。さらに、子どもから大人まで、「シュシュット」というビーズで作った髪飾りをいつも頭に載せ、祭りや葬式などのときには、さらに凝った「グパース」という貝などで作った髪飾りを頭につけます。

帯にスマホを挟む女性たち
 電気はきていますが、トイレは各家に必ずしもが完備されているわけではありません。まだまだ戸外で用をたす人が多いようです。石と木でできた家の中はシンプルで、ストーブと周りにベッドが置いてあるだけ。
 私が主に滞在したのはルンブール谷ですが、ここで携帯電話やスマホが使えるようになったのはほんの2年前です。ところが、今や、大人は皆スマホを持っています。なかには、スマホでアニメを見ている5〜6歳の少年も。まさに「トイレはなくてもスマホ」の世界です。
 もっとも驚いたのは、女性が帯の間にスマホを挟んで1日を過ごすということです。子どもを抱いたり、ストーブの上で薄いパンを焼いたりするときも、川で洗濯をするときも。
 以前、アメリカで、ブラジャーにスマホを入れていた若い女性が乳がんになったというニュースを読みましたが、カラーシャの女性たちを見て、その記事のことを思い出しました。友人とともに、接した人たちには電磁放射線の危険性を訴えましたが、どこまで真剣に受け止めてもらえたかは不明です。
 常に携帯してなければすぐに返事ができず、かといって、カバンなどを持ち歩かない彼女たちにとって、帯に挟むしか持ちようがないという事情もあります。彼女たちが、何年後かに、子宮ガンやお腹の不調に悩むようにならなければいいがと願うばかりです。

基地局に向かって礼拝
 カラーシャ族の住む谷から日本へ帰るには首都・イスラマバードまで行かなければなりません。チトラールからイスラマバードまで、乗り合いのワゴンに乗りました。すると、イスラム教徒の彼らは、乗り合いのバスであっても、何のアナウンスもなくバスを止めて、モスクでお祈りをします。運転手もしかりです。
 朝から夜中までバスに揺られていましたが、その間、2回、ワゴンはお祈りのために停車。あるモスクの横で車を止められたときには、びっくり。モスクの前にも後ろにも巨大な基地局があったからです。男性たちは屋外で、巨大基地局に向かって何度も礼拝を繰り返しています。その間、バスの中で待つ女性たちや非イスラム教徒は、強い電磁放射線を浴びっぱなしです。もし、電磁放射線の危険性を知って入れば、こんな光景は出現しないのではないかと思うことしきりでした。
 イスラマバードでもチトラールでも、商店が集まった場所には基地局がまさに盛りだくさん。夜に着き、泊まったホテルでいやに電磁放射線が強いな(簡易計測器を持参)と思っていると、朝、ホテルの上に基地局があったり、すぐ裏に巨大基地局があったりします。
 計測器で部屋の電磁放射線をはかり、あまりに強かったときには、少しでも弱い部屋に変えてもらったこともあります。もはや電磁放射線被曝から逃れるのは無理だとしても、少しでも無駄な被曝をしないためには、計測器は必要だなとつくづく思った旅でした。


Copyright(c)電磁波問題市民研究会 All Rights Reserved.